★前書刊行から6年、今も進展するアミノ酸研究を網羅した技術書!

アミノ酸科学の最前線-基礎研究を活かした応用戦略-
New Frontiers on Amino Acid Science-Strategy for Innovative Applications with Recent Research Outcomes-

商品概要
個数

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略称
アミノ酸科学
商品No
bk7486
発刊日
2014年05月30日(金)
ISBN
978-4-7813-0932-3
体裁
B5判、281ページ
価格
62,700円 (本体価格:57,000円)
送料
当社負担(国内)
発行
(株)シーエムシー出版
問い合わせ
Tel:03-5857-4811 E-mail:info@rdsc.co.jp 問い合わせフォーム
監修
鳥居邦夫、門脇基二
著者
鳥居邦夫   (株)鳥居食情報調節研究所
門脇基二   新潟大学
宮野博   味の素(株)
河合美佐子   味の素(株)
坂井良成   味の素(株)
吉田竜介   九州大学
二ノ宮裕三   九州大学
新島旭   新潟大学名誉教授
北村明彦   味の素(株)
畝山寿之   味の素(株)
加治いずみ   Department of Medicine ; 北海道大学
秋葉保忠   Department of Medicine
永森收志   大阪大学
金井好克   大阪大学
西条寿夫   富山大学
上野照子   富山大学
小野武年   富山大学
加藤久典   東京大学
吉澤史昭   宇都宮大学
木戸康博   京都府立大学
木村英一郎   味の素(株)
伊藤久生   味の素(株)
古瀬充宏   九州大学
勝俣昌也   (独)農業・食品産業技術総合研究機構
藤村忍   新潟大学
小林久峰   味の素(株)
下村
発刊にあたって
 地球型生命体は古代の原始の暖かい海の中で生まれたと考えられている。生命活動を担ったのは自然発生的に生じたL‐型アミノ酸が結合した蛋白質であり、遺伝情報の担い手の核酸合成の基質となり、単細胞生物から我々高等哺乳類まで進化してきた。哺乳類の血中アミノ酸20種の各濃度はマウス、ラット、イヌ、ネコ、サル、そしてヒトまでほぼ同じ濃度であり、一日中厳密に恒常性が維持される様、代謝調節している。体内で代謝による生合成が全く出来ないか、不十分なアミノ酸は食物中に含まれる蛋白質を消化吸収して獲得することにより、消費と摂取のバランスを保ち、それでも生じる不足はアミノ酸のプールである体蛋白質を分解することにより血中のアミノ酸の恒常性を維持している。 過剰になったアミノ酸は分解(異化)してエネルギー源として利用する。この各アミノ酸の恒常性はいつでも生理的欲求にもとづいて必要な生理機能を持った蛋白質を生合成して活動性と健康とを守る上での前提である。従って我々の脳は常に20種のアミノ酸の恒常性に注目して生理学的に許容される濃度範囲におさまる様、食事を量的質的に調節している。食事性蛋白質の長期にわたる欠乏状態は低アルブミン血症にともなう浮腫や体液の循環障害などの全身性疾患に至る。加えて体内で生合成出来ない特定の必須アミノ酸の欠乏ではより重篤な疾患、例えばトリプトファン欠乏に伴うナイアシン欠乏によるペラグラ症の発症などにつながる。小児および高齢者ではアミノ酸の代謝調節がエネルギー代謝とも深くかかわり、摂取エネルギー不足は糖原性アミノ酸が糖新生に利用され、結果的にアミノ酸恒常性の失調を生じ、成長や生活の質を低下させる。アミノ酸代謝の変化とメタボリック症候群との関係も重要性が増していることから、厳密な恒常性のわずかな失調を知ることにより、特定疾患の早期診断のバイオマーカーとしての役割も期待される様になった。
 人々は豊かな食生活を求め、経済の発展により嗜好性の高い動物性蛋白質への欲求が大きな市場を形成しているが、一方で畜産に伴う副生成物である排泄物が環境への負荷を高めている。畜産物の代替として期待される動物性蛋白質である海洋での魚介類も当然限界がある。地球環境をより良く守り、かつ我々の求める動物性食品も確実に手に入れるにはアミノ酸の有効な利用が欠かせない。穀物や豆類などの食糧資源の拡大も限界に近づくにつれて、これらの植物性蛋白質をおいしく食べ栄養学的にも充分な質と量とを確保することが重要であり、呈味や食感を含めた食品科学におけるアミノ酸の高度な利用も2050年ごろの90億の人口を支える上で今後の大きな課題となる。
 食糧問題は気候変動、人口増加、災害や流通の乱れで生じ、我々が得られる食糧の確保や備蓄も短期的には重要であるが、含まれる蛋白質の有効な利用を支えるアミノ酸科学の広がりが欠かせないと考える。
 本総説はアミノ酸科学の第一線研究者に執筆を依頼し、最先端の情報や臨床的知見を正しく理解できる様心がけ、全体をまとめてみた。 私としては自信をもってアミノ酸科学に興味を持つ人々に薦めたい本に仕上がったと考えている。
                                                 (「巻頭言」より)
書籍の内容
第1章 アミノ酸の科学

1 アミノ酸の発見と分析   (宮野博)
1.1 アミノ酸発見の歴史
1.2 アミノ酸分析
1.2.1 アミノ酸分析の歴史
1.2.2 現在のアミノ酸分析法
1.2.3 アミノ酸分析のための試料調製法

2 アミノ酸の呈味   (河合美佐子、鳥居邦夫)
2.1 はじめに
2.2 アミノ酸の代表的な味―基本味「うま味」の特性
2.2.1 うま味の独立性
2.2.2 うま味の相乗効果
2.2.3 うま味の嗜好性
2.3 種々のアミノ酸の味
2.3.1 個々のアミノ酸の味の特徴
2.3.2 食品中でのアミノ酸の呈味
2.4 おわりに

3 アミノ酸の生体恒常性   (鳥居邦夫)
3.1 生体恒常性とは何か
3.2 蛋白質摂取の認知と血中アミノ酸の恒常性
3.3 必須アミノ酸欠乏の認知と適応
3.4 リジン欠乏に関わる脳の機能
3.5 おわりに

4 アミノ酸の安全性   (坂井良成)
4.1 アミノ酸大量摂取の影響
4.2 栄養素の一日許容摂取量を求める上での課題
4.3 栄養素の安全性評価において考慮すべき二つのリスク
4.4 様々なタンパク質摂取条件に対する生体の適応能力
4.5 タンパク質・アミノ酸の上限量を求める手法開発
4.6 栄養素間の相互影響
4.7 おわりに

第2章 アミノ酸の栄養生理学

1 味覚   (吉田竜介、二ノ宮裕三)
1.1 はじめに
1.2 味覚受容器
1.3 味覚受容機構
1.3.1 Gタンパク質共役型受容体による味覚受容
1.3.2 チャネル型受容体による味覚受容
1.3.3 うま味受容研究の最前線

2 消化管でのアミノ酸による迷走神経応答とその反射   (新島旭、北村明彦、畝山寿之)
2.1 はじめに
2.2 内臓感覚
2.2.1 腹部内臓の求心性神経支配
2.2.2 腹部内臓に存在するアミノ酸センサーの働き
2.3 まとめ

3 アミノ酸と消化管粘膜応答   (加治いずみ、秋葉保忠)
3.1 はじめに
3.2 粘膜防御機構とin vivo実験法
3.3 胃酸分泌制御とアミノ酸
3.4 十二指腸におけるL-グルタミン酸受容体を介した粘膜防御機構
3.5 アミノ酸による粘膜保護作用を補佐する機構
3.6 粘膜傷害モデルにおけるアミノ酸の効果
3.7 管腔内アミノ酸による栄養素吸収への影響
3.8 おわりに

4 アミノ酸の吸収の仕組み   (永森收志、金井好克)
4.1 アミノ酸トランスポーターの輸送メカニズム
4.2 吸収上皮細胞に存在するトランスポーター
4.3 アミノ酸トランスポーターと補助因子
4.4 おわりに

5 うま味の味覚識別ならびに嗜好性の神経機構   (西条寿夫、上野照子、小野武年)
5.1 はじめに
5.2 味覚識別機構と食物摂取
5.3 橋結合腕傍核における味覚情報処理
5.3.1 味覚識別機構
5.3.2 摂取調節機構
5.4 扁桃体における味覚情報処理
5.4.1 味覚の情動的価値評価
5.4.2 連合学習における扁桃体の役割
5.5 眼窩皮質におけるうま味の認知機構
5.5.1 ラット眼窩皮質
5.5.2 ヒト眼窩皮質
5.6 自閉症スペクトラム障害における味覚障害
5.7 おわりに

6 アミノ酸摂取と遺伝子発現   (加藤久典)
6.1 アミノ酸による遺伝子発現調節の分子機構
6.2 mTOR経路
6.3 GCN経路とATF4の制御
6.4 アミノ酸摂取とmRNAレベル

7 アミノ酸とタンパク質合成調節   (吉澤史昭)
7.1 分岐鎖アミノ酸によるタンパク質合成促進
7.2 ロイシンのタンパク質合成促進作用
7.3 ロイシンセンサーとロイシンのタンパク質合成促進シグナルの伝達機構
7.4 おわりに

8 アミノ酸とタンパク質分解調節   (門脇基二)
8.1 はじめに
8.2 アミノ酸によるオートファジー調節
8.2.1 アミノ酸のセンシング
8.2.2 アミノ酸のシグナリング
8.2.3 最近のmTOR仮説の進展
8.3 調節経路の多様性
8.4 おわりに

9 アミノ酸の必要量   (木戸康博)
9.1 アミノ酸必要量の定義
9.2 アミノ酸必要量を決定する方法
9.3 乳児期(0~6ヶ月齢)のアミノ酸必要量
9.4 成長期(6ヶ月齢~17歳)のアミノ酸必要量
9.5 成人期(18歳以上)のアミノ酸必要量

第3章 アミノ酸と食糧生産

1 アミノ酸の製造方法   (木村英一郎、伊藤久生)
1.1 はじめに
1.2 アミノ酸の製造方法
1.2.1 抽出法
1.2.2 化学合成法
1.2.3 発酵法
1.2.4 酵素法
1.3 グルタミン酸発酵の最新の知見
1.3.1 グルタミン酸生産菌の発見
1.4 アミノ酸生産の最先端技術
1.4.1 アミノ酸発酵菌への合成生物学の適用
1.4.2 アミノ酸発酵プロセスと単離精製プロセスを統合した効率化の試み
1.4.3 含硫アミノ酸の発酵生産

2 ニワトリにおけるアミノ酸代謝の特異性およびアミノ酸研究への展開   (古瀬充宏)
2.1 はじめに
2.2 アミノ酸要求量
2.3 ニワトリにおけるアミノ酸代謝の特徴
2.4 ニワトリを用いたアミノ酸の脳機能研究ならびにヒト研究への展開

3 アミノ酸制御による養豚の新技術   (勝俣昌也)
3.1 アミノ酸を添加した低タンパク質飼料の給与によるブタからの窒素排泄量低減
3.2 アミノ酸を添加した低タンパク質飼料の給与によるブタ糞尿からの温室効果ガス(GHG)排出低減
3.3 アミノ酸を添加した低タンパク質飼料の給与技術のライフサイクルアセスメント(LCA)による評価

4 食肉の呈味とアミノ酸   (藤村忍)
4.1 食肉の機能
4.2 食肉のおいしさの要因
4.3 食味における呈味成分の役割
4.4 食肉の熟成とアミノ酸
4.5 呈味以外へのアミノ酸の寄与
4.6 脂肪交雑とアミノ酸
4.7 飼料アミノ酸による食肉の呈味向上
4.8 まとめ

5 アミノ酸と環境保護   (鳥居邦夫)
5.1 はじめに
5.2 蛋白質要求量と成長との関係
5.3 正常な成長に必要な蛋白質要求量
5.4 必須アミノ酸要求量と体蛋白質との関係
5.5 おわりに

第4章 ライフスタイルとアミノ酸

1 運動(リハビリテーション)を支えるアミノ酸   (小林久峰、下村
個数

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