★医療分野での実用化を目指した様々なバイオベースポリマーを紹介
★生体適合性、安全性に優れたバイオベースマテリアルの機能を解説
★治療用デバイスから再生医療まで、応用の可能性に期待が広がる

進化する医療用バイオベースマテリアル
Evolving Bio-based Medical Materials

商品概要
個数

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略称
医療用バイオベースマテリアル
商品No
bk7518
発刊日
2015年01月19日(月)
ISBN
978-4-7813-1054-1
体裁
B5判、272ページ
価格
74,800円 (本体価格:68,000円)
送料
当社負担(国内)
発行
(株)シーエムシー出版
問い合わせ
Tel:03-5857-4811 E-mail:info@rdsc.co.jp 問い合わせフォーム
監修
大矢裕一、相羽誠一
著者
相羽誠一   (独)産業技術総合研究所
大矢裕一   関西大学
岩田忠久   東京大学
辻秀人   豊橋技術科学大学
国岡正雄   (独)産業技術総合研究所
橘熊野   群馬大学
中山敦好   (独)産業技術総合研究所
川崎典起   (独)産業技術総合研究所
山野尚子   (独)産業技術総合研究所
塚本啓司   新田ゼラチン(株)
井田昌孝   新田ゼラチン(株)
平岡陽介   新田ゼラチン(株)
橋本朋子   奈良女子大学
玉田靖   信州大学
赤木隆美   大阪大学
明石満   大阪大学
宇山浩   大阪大学
佐藤浩太郎   名古屋大学
上垣外正己   名古屋大学
玄丞烋   京都工芸繊維大学
田口哲志   (独)物質・材料研究機構
田村裕   関西大学
八木伸一   (株)京都医療設計
山田博一   (株)京都医療設計
伊垣敬二   京都工芸繊維大学
笹井愛子   ホソカワミクロン(株)
辻本広行   ホソカワミクロン(株)
長尾章平   北九州市立大学
望月慎一   北九州市立大学
宮本寛子   北九州市立大学
櫻井和朗   北九州市立大学
木村俊作   京都大学
黒柳能光   北里大学名誉教授 ; (有)テクノサージ
川添直輝   (独)物質・材料研究機構
陳国平   (独)物質・材料研究機構
小林高臣   長岡技術科学大学
染川将太   京都工芸繊維大学
木村良晴   京都工芸繊維大学
山岡哲二   国立循環器病研究センター研究所
松崎典弥   大阪大学 大学院工学研究科
荏原充宏   (独)物質・材料研究機構
藤枝俊宣   早稲田大学 理工学術院
武岡真司   早稲田大学 理工学術院
中岡竜介   国立医薬品食品衛生研究所
発刊にあたって
 古来より、人間は自然界由来の材料を使いこなしてきた。医療の分野においても同様で、コットンからなる脱脂綿、ガーゼなどは今でも現場では欠かせない医療材料である。また、絹も縫合糸として重宝されていた。しかし、ここ半世紀ほどのうちに石油化学産業の発展に伴い、各種の高分子材料が開発され、人間生活を便利に豊にしてきた。医療においても、成形加工が容易で安価なプラスチック類は使い捨て用途の注射器、チューブ、バッグなどで現代医療の発展を支えてきた。さらにこの流れと平行して、生体に接触して用いられる医療材料の開発も活発に研究されてきた。人工皮膚などには生体由来材料のコラーゲン、キチンといった素材が応用されている。また、生体由来物質から合成された高分子も生分解性の観点から注目され、ポリ乳酸がその先頭を走っている。
 高齢化社会が現実感を帯びるようになってきた昨今、先端医療に求められる技術と材料は際限がない。再生医療、ドラッグデリバリー、遺伝子治療などの先端医療には高機能性バイオマテリアルが欠かせない。そのような医療材料を生分解性や安全性の観点から生体由来材料や生体由来物質から合成された材料(バイオベースマテリアル)から開発しようという動きが益々重要となってくると思われる。そこで、本書は関連分野の第一線の研究者を執筆陣に迎え、バイオベースマテリアルの開発、それらを用いた医療材料と医療技術の開発などに関する最新動向を俯瞰することを目的に企画した。
本書は「医療用バイオベースマテリアル」の総論に始まり、第1編では各種バイオベースマテリアルの基本特性をまとめた。第2編では生体に接触して用いられる治療デバイス、第3編ではドラッグデリバリー、第4編では再生医療用の材料と技術、第5編では新機能最先端材料、第6編では安全性評価を取り入れて編集した。いずれの稿も最先端研究を実践している先生方の力作であり、その熱意を感じ取って頂けたら幸いである。また、本書が今後の医療用バイオベースマテリアルの発展に貢献できたら、望外の喜びである。
 なお、本書の編集に関しては、関西バイオポリマー研究会(https://staff.aist.go.jp/s-ida/)の活動を大いに参考にさせて頂いた。同研究会は1997年より50回以上にわたって開催され、生分解性ポリマー、バイオベースポリマー、最近では医療材料もテーマに取り上げて、好評を博している。
最後に、ご多忙中にもかかわらず執筆をお引き受け頂きました先生方にお礼申し上げるとともに、本書の刊行にあたりご尽力頂いたシーエムシー出版の門脇孝子氏に感謝申し上げる。

2015年1月
産業技術総合研究所
相羽誠一
書籍の内容
序章 総論 : 医療用バイオベースマテリアル  (大矢裕一)
1 はじめに
2 医療用バイオベースマテリアル小史
3 バイオベースマテリアルの分類
3.1 天然ポリマーおよびその修飾物
3.2 微生物生産ポリマー
3.3 バイオベースモノマー重合物
3.4 生体組織
4 バイオベースポリマーの利点と課題
5 おわりに


〔第1編 素材開拓〕

第1章 バイオポリエステルの基礎物性  (岩田忠久)
1 はじめに
2 バイオポリエステルの基礎物性
3 PHAの生産事例
4 医療分野への応用
4.1 スキャフォールドとしての応用
4.2 薬物徐放性手術用縫合糸としての応用
5 おわりに

第2章 ポリ乳酸  (辻秀人)
1 はじめに
2 合成
3 結晶化
3.1 ホモ結晶化・包接化合物形成
3.2 ステレオコンプレックス化
4 物性
4.1 力学的特性
4.2 熱的特性
4.3 表面特性
5 加水分解
6 複合化
7 おわりに

第3章 ポリブチレンサクシネートおよび類縁ポリマー  (国岡正雄, 橘熊野)
1 はじめに
2 バイオマスからの生産
2.1 生分解性PBSとバイオマス由来PBS
2.2 化石資源からの1,4-ブタンジオールとコハク酸合成
2.3 バイオマスからのコハク酸発酵生産
2.4 バイオマスからの1,4-ブタンジオールとコハク酸化学合成
3 PBS類縁体の合成
3.1 PBS共重合体
3.2 コハク酸類縁体
3.3 1,4-ブタンジオール類縁体
4 材料特性
4.1 PBSの物性
4.2 生分解性
5 最後に

第4章 バイオベースポリアミド  (中山敦好, 川崎典起, 山野尚子)
1 はじめに
2 ポリアミド4の合成
3 ポリアミド4の物性
4 環境生分解性と生分解性制御
5 ポリアミド4の各種誘導体
6 生体内分解性
7 おわりに

第5章 バイオマス由来機能性多糖キチン,キトサン  (相羽誠一)
1 はじめに
2 キチンおよびキトサンの一般的性質
3 キチンおよびキトサンの実用化例
4 機能付与のための化学修飾
5 キチンおよびキトサンの材料化
6 おわりに

第6章 コラーゲン,ゼラチン  (塚本啓司, 井田昌孝, 平岡陽介)
1 はじめに
2 コラーゲン
3 ゼラチン
4 医療で使用する際のメリットとリスク管理
4.1 メリット
4.2 リスク管理
5 おわりに

第7章 医療用材料としてのシルク  (橋本朋子, 玉田靖)
1 はじめに
2 シルクとは
3 バイオマテリアルとしてのシルク
3.1 安全性
3.2 加工性
3.3 滅菌性
3.4 シルクの修飾
4 シルクと細胞
4.1 細胞運動
4.2 細胞凝集
4.3 皮膚細胞
5 おわりに

第8章 医療用材料としてのポリグルタミン酸  (赤木隆美, 明石満)
1 はじめに
2 ポリグルタミン酸
3 高分子医薬
3.1 ドラックデリバリーシステム(DDS)
3.2 水溶性ポリグルタミン酸-薬物コンジュゲート
4 ポリグルタミン酸を基盤としたナノ粒子を用いたDDS
4.1 自己会合ナノ粒子の調製
4.2 γ-PGA-PLA共重合体
4.3 γ-PGA-phenylalanine共重合体
4.4 γ-PGA-chitosan複合体
5 ポリグルタミン酸からなるハイドロゲル
6 おわりに

第9章 油脂ベースポリマーの開発  (宇山浩)
1 はじめに
2 エポキシ化植物油脂を用いるバイオベースポリマー
3 ヒマシ油をベースとするバイオマスプラスチック
4 フェノール脂質からの機能性コーティング材料
5 おわりに

第10章 植物由来モノマーからのポリマー合成  (佐藤浩太郎, 上垣外正己)
1 はじめに
2 ビニルモノマーの重合制御
3 植物由来環状オレフィンの重合
3.1 テルペン類のカチオン重合によるシクロオレフィンポリマー11,12)
3.2 ラジカル共重合による1:2配列制御高分子
4 植物由来スチレン誘導体の重合
4.1 β-メチルスチレン誘導体の制御カチオン重合および共重合
4.2 種々のフェニルプロパノイドの制御ラジカル共重合
5 植物由来アクリル誘導体の重合
6 おわりに


〔第2編 治療用デバイス開発〕

第11章 生体吸収性医用材料の開発  (玄丞烋)
1 はじめに
2 生体内分解吸収性材料
3 手術用縫合糸
4 吸収性縫合補助材
5 歯周組織の再生
6 歯槽骨の再生
7 生体吸収性骨固定材
8 おわりに

第12章 生体由来材料を用いた外科用接着剤の開発  (田口哲志)
1 はじめに
2 臨床で使用されている外科用接着剤
2.1 フィブリン系
2.2 バイオポリマー・アルデヒド系
2.3 ウレタン系
2.4 シアノアクリレート系
3 研究段階にある外科用接着剤・接着性材料
3.1 バイオミメティック接着剤の研究
3.2 ナノマテリアルを用いた接着材料の研究
3.3 新規架橋剤による外科用接着剤の研究(図1)
4 湿潤環境において生体組織接着性を示す外科用接着剤と特性
4.1 疎水化ゼラチンを用いた接着剤
4.2 疎水化ゼラチンを用いた接着剤の血管組織に対する接着メカニズムの検討
4.3 疎水化ゼラチン―酒石酸架橋剤からなる接着剤の定量的生体親和性評価
5 おわりに

第13章 止血・接着剤ライデックスの開発  (玄丞烋)
1 はじめに
2 開発内容
3 新規接着剤の特徴
4 デキストラン/ポリリジンからなる生体内分解吸収性の癒着防止材
4.1 手術後の心前面と胸骨との癒着
4.2 癒着モデルにおける臓器などの癒着防止
5 おわりに

第14章 キチン・キトサンの医用材料への応用  (田村裕)
1 はじめに
2 医用材料
2.1 キチンシート
2.2 抗菌性材料
2.3 ナノファイバー
2.4 Scaffold
2.5 止血材

第15章 吸収性ステント  (八木伸一, 山田博一, 伊垣敬二)
1 はじめに
2 吸収性ステントの開発
2.1 吸収性ステント原材料の選定(PGAステント)
2.2 吸収性ステント原材料の選定(PLLAステント)
2.3 ステントデザインの検討 ニット型PLLAステントとコイル型PLLAステントの比較
2.4 末梢血管用ステント「REMEDYTM」
3 おわりに


〔第3編 ドラッグデリバリーシステム〕

第16章 PLGAナノ粒子によるドラッグデリバリー  (笹井愛子, 辻本広行)
1 はじめに
2 PLGAナノ粒子技術の特徴
3 PLGAナノ粒子の応用例
3.1 PLGAナノ粒子の応用例
4 おわりに

第17章 生体高分子をバイオベースマテリアルとして用いた遺伝子デリバリー  (長尾章平, 望月慎一, 宮本寛子, 櫻井和朗)
1 はじめに
2 核酸/シゾフィラン(SPG)複合体
3 SPGの細胞特異性
4 AS-ODN/SPG複合体を用いたマウスLPS/D-GalN誘導肝炎の治療
5 ODN/SPG複合体を用いたDDSのこれから
6 おわりに

第18章 ラクトソームによるDDS・イメージング  (木村俊作)
1 序
2 微粒子のサイズと固形癌への集積
3 微粒子の血中滞留性の制御
4 微粒子の粒径サイズの調節
5 ラクトソームと免疫系の活性化
6 微粒子の免疫系からの回避
7 ポリ乳酸をコアにもつ高分子ミセルナノキャリアの応用


〔第4編 再生医療〕

第19章 皮膚再生医療:細胞と細胞成長因子と生体材料を応用した人工皮膚  (黒柳能光)
1 人工皮膚開発の基本となる創傷治癒の機序
2 創傷治癒に重要な役割をもつヒアルロン酸
3 人工皮膚の分類
4 機能性創傷被覆材
5 培養皮膚代替物
5.1 自家培養表皮
5.2 同種培養真皮
5.3 同種培養皮膚
6 最先端医療から通常の医療へ

第20章 再生医療のための生体吸収性ポリマー多孔質足場材料  (川添直輝, 陳国平)
1 はじめに
2 再生医療における多孔質足場材料の役割1)
3 ポリマー多孔質足場材料の原材料と作製法2)
4 生体吸収性ポリマーと合成ポリマーの複合化足場材料
5 空孔サイズを傾斜的に変化させたコラーゲン多孔質足場材料6)
6 生理活性タンパク質を徐放するコラーゲン多孔質足場材料8)
7 空孔をパターン状に配置したコラーゲン多孔質足場材料10)
8 細胞成長因子をパターン化したコラーゲン多孔質足場材料
9 おわりに

第21章 バイオポリマーヒドロゲルを用いた組織再生  (小林高臣)
1 はじめに
2 セルロースからなるヒドロゲル
2.1 セルロースヒドロゲルの調整
2.2 セルロースヒドロゲルの特性
3 再生医用材料としてのバイオヒドロゲル
4 おわりに

第22章 心筋梗塞に対するハイドロゲル注入療法  (染川将太, 木村良晴, 山岡哲二)
1 はじめに
2 心筋梗塞治療用ゲルの治療メカニズム
3 天然高分子を用いたゲル注入療法
3.1 生体由来ゲル
3.2 天然多糖類
4 合成高分子ゲルを用いた心筋梗塞治療
5 ゲル注入療法と細胞・増殖因子との組合わせ
6 心筋梗塞治療用ハイドロゲルに求められる特性
7 PLA-PEGハイドロゲルを用いた心筋梗塞治療
8 おわりに

第23章 生体由来ポリマーを用いた三次元組織構築  (松崎典弥, 明石満)
1 はじめに
2 組織構築における二つのアプローチ
3 ハイドロゲルテンプレート法によるトップダウン三次元組織構築
4 細胞コート法によるボトムアップ三次元組織構築
5 毛細血管・リンパ管網を有する三次元組織体の構築
6 細胞のインクジェットプリント制御
7 三次元肝組織チップの作製と薬剤毒性評価への応用
8 おわりに


〔第5編 新機能開拓〕

第24章 生分解性スマートバイオマテリアル  (大矢裕一)
1 はじめに
2 生分解性温度応答性ポリマー
3 生分解性インジェクタブルポリマー
3.1 インジェクタブルポリマーとその用途
3.2 生分解性温度応答性インジェクタブルポリマーの開発と問題点
3.3 分子構造制御による力学的強度向上
3.4 高分子プロドラッグ型インジェクタブルポリマーによる放出制御
3.5 粉末化と即時溶解による利便性向上
4 おわりに

第25章 生分解性形状記憶ポリマー  (荏原充宏)
1 形状記憶ポリマーの歴史
2 形状記憶ポリマーの作製法
3 生分解性形状記憶ポリマーの応用
4 おわりに

第26章 医療応用に向けた高分子ナノシートの開発  (藤枝俊宣, 武岡真司)
1 はじめに
2 ナノシートの作製とその物性
2.1 ナノシートの作製
2.2 ナノシートの基本物性
3 ナノシートの創傷被覆材・止血材としての外科手術への応用
3.1 胸膜欠損の閉鎖修復
3.2 静脈裂傷の止血修復
4 機能性ナノシートの開発と先端医療分野への応用
4.1 抗生物質担持ナノシートと穿孔性腹膜炎の治療
4.2 基底膜構造を模倣したナノシートと細胞の組織化制御
4.3 細胞移植療法に向けた微細パターン化ナノシート
5 おわりに


〔第6編 安全性と薬事審査〕

第27章 生体吸収性材料を用いた医療機器の安全性評価:薬事承認審査時における留意点  (中岡竜介)
1 医療機器の薬事審査
2 生物学的および機械的安全性
3 生体吸収性材料を使用した医療機器の承認審査時における留意点
3.1 スーパーフィクソーブ
3.2 シームデュラ
3.3 ナーブリッジ
4 終わりに
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