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平成24年12月、中央自動車道・笹子トンネルで発生した天井板崩落事故を受け、コンクリート構造物の劣化に関心が持たれるとともに、維持管理のあり方が問われている。
近年、「スクラップ&ビルド」から「超寿命化・資源循環型社会の構築」への移行にあたり、鉄筋コンクリート実構造物の「診断」に関する関心から、実に多くの非破壊試験・微破壊試験が考案・整備されてきた。コンクリートコアによって得られた試験結果は、信頼性が高いものの、小規模ではあるが破壊試験である。大がかりな作業や補修を伴い、それがまた高価な費用負担につながり、多数のデータを得ることはできず、点としての情報となることが多い。しかし、非破壊試験、僅かな破壊を許容する微破壊試験によれば解決が可能である。しかしながら、非破壊試験、微破壊試験は万能ではなく、精度の良さを第一に考えて、最後は破壊試験に頼らざるを得ないことも多いのも実態である。非破壊や微破壊試験といった試験方法は、その名だけをみれば破壊を極力小さくした試験方法となるが、普遍的な物性値をストレートに近い状態で試験できる場合はいいとして、その重要な勘所は、その物性値に関連深いコンクリートの他の物性を測定することにより類推できるかである。だから必然的に万能ではない。更なる試験方法の開発・発展の重要性もさることながら、使用者の既存の試験方法に対する理解が極めて重要である。
ここでは、鉄筋コンクリート構造物の劣化とそのメカニズムを解説した上で、強度、基礎物性、劣化度に関する既存の非破壊試験・微破壊試験を紹介し、その現状を解説するものである。
1.はじめに
2.コンクリート
(1)材料と組成
(2)水和-水和と組織変化・強度発現-
(3)養生
3.鉄筋コンクリート構造物を取り巻く外的劣化因子とそれらによる劣化現象
(1) 鉄筋コンクリート構造物を取り巻く外的劣化因子
(2)中性化による鉄筋腐食とコンクリートの剥落
(3)塩害による鉄筋腐食とコンクリートの剥落
(4)アルカリシリカ反応による劣化
(5)化学的侵食・溶脱
(6)火害
4.仕上げ材による鉄筋コンクリート構造物の保護効果
(1)仕上げ材の種類と効果
(2)仕上げ材の劣化
5.維持管理上の試験-非破壊・微破壊試験を中心に-
(1)強度
(2)耐久性
・かぶり厚
・表層品質
・中性化
・塩害
・凍害
・アルカリシリカ反応
・化学的侵食・溶脱
・火害範囲
6.おわりに
【質疑応答・名刺交換】