2015年01月27日(火)
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2003年からの生物学的製剤の登場はリウマチ診療を激変させたと言っても過言ではありません。生物学的製剤の投与により患者は関節の腫れと痛みから開放され、QOLは大きく改善し、健常人と変わらない ADLを維持することも可能となりました。これに合わせる様に、リウマチ診断の為の検査が進歩し、新たな診断基準が出されました。発症早期にリウマチと診断し、発症早期の段階から、積極的な治療を行なっていくことが求められ、更に最近ではT2Tという概念も提唱されています。
その後も続々と生物学的製剤が登場し、2013年には経口低分子量化合物(JAK阻害薬)が発売され、更に最近、インフリキシマブバイオシミラーの製造販売も認可されました。患者にとっては治療の選択肢が拡がると同時に、患者が自分自身で治療法を決めることが益々難しくなっています。まだまだ新規の薬剤やバイオシミラーの開発が進んでいます。リウマチ治療がもっと複雑になると予想されます。
リウマチ診療を専門とし、多くのリウマチ患者を対象とした臨床試験に携わって来た経験に基づいて、リウマチ診療と開発の現状、患者が求めている医療、今後のリウマチ診療はどの様な流れになって行くのかを主に紹介して行き、そこから現場が望む新薬像をあぶり出して行きたいと思います。
1.関節リウマチの概要
-関節リウマチとその臨床像
-社会的影響と疫学からみた関節リウマチ
-関節リウマチの病因と病態
-関節リウマチ診療の現状
2.関節リウマチの診断
-1987年ACR改定基準
-2010年EULAR/ACR新分基準
-診断のための血清学的マーカー
-診断のための画像検査(X線、MRI、エコー)
-最後は医師の裁量により診断する
3.関節リウマチの疾患活動性評価
-ACRコアセット
-DAS28
-Boolean寛解・SDAI寛解・CDAI寛解
-総Sharpスコア変法
-患者評価(HAQ-DI・SF-36)
4.現在進行中の開発治験薬、中止になった治験薬と今後開発されそうな新薬は?
-経口低分子量化合物(JAK・Syk阻害薬)が続々開発されている
-開発が中止された薬剤は?中止理由は?
-TNF-α以外をターゲットとした生物学的製剤(IL-17、IL-17レセプター、IL-6、RANKL、補体)
-バイオシミラーが続々開発されている(アジアでRAに対するリツキシマブ開発治験進行中?)
5.関節リウマチの治療と薬剤選定の実際
-臨床的寛解を目指すT2Tが盛んに叫ばれているが?
-臨床現場における薬剤選択の手順
-診療ガイドラインとエビデンスからみた薬剤選択
-リウマチ治療を妨げる要因(MTX添付文書変更、高額医療費がネック)
-疾患修飾性抗リウマチ薬(イグラチモドはMTXのサポーターとなりうるか?)
-免疫抑制薬(タクロリムスのゾロが出て来ている)
−ヒアルロン酸関節内注入は効くのか?
-痛み止め(慢性疼痛に対するトラマドール塩酸塩/アセトアミノフェン、プレガバリンの効果は?)
-生物学的製剤/経口低分子量化合物
・抗TNF阻害薬の概要・特徴(IFX・ETN・ADA・GLM・CDP870)
・トシリズマブの概要/特徴
・アバタセプトの概要/特徴
・トファシチニブの概要/特徴
・各製剤のセールスポイントは?
・各製剤の選定基準
・各製剤の自験例
・生物製剤の問題点
・経口低分子量化合物の問題点(副作用・安全性・感染症・発ガン性)
・問題点の改善から望まれる治療薬像
6.関節リウマチ治療の今後の流れは
-患者が求める治療とは?患者と医師とのかい離をどうするか?
-バイオは点滴から皮下注への流れとなるのか?
-整形外科的手術は増えていくのか?
-早期診断・早期強力治療介入の流れとなるか?
-リウマチ治療の地域格差は解消するのか?
-安全な治療を目指すには?
-バイオフリーの患者は増えるのか?
-長期的なアウトカムは可能になるのか?
-TNF阻害薬ではB型肝炎ウイルス再活性化を恐れる必要は全くない?
-高齢患者に対する治療をどうするか?
-喫煙患者を禁煙させるには?
-トファシチニブを使ってみての感触は?
-インフリキシマブバイオシミラーはリウマチ治療の救世主となりうるか?医療費の削減につながるか?
7.現場が望む新薬像
-問題点の改善から望まれる治療薬像
-医療従事者・患者が求める新薬像
-テーラーメイド医療
-分子分類に応じたターゲット医療