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活性化合物が有する能力を最大限引き出し、さらにその医薬品としての品質を再現性良く確保するためには、各種物性が適切に評価されていなければならない。物性評価には終わりがないため、何の評価がどの程度必要かを見極め、タスクとリスクのバランスを踏まえた評価を行う必要がある。とくに結晶多形と溶解度は、物性評価の中でも深い知識が求められる項目であり、本講演の前半ではこれらを重点的に解説する。
また近年の医薬品開発においては、特殊な製剤技術に頼る必要のない化合物を創出することが基本戦略となっているものの、実際には難水溶性化合物が候補となることは依然として稀ではない。その一方で、Proof of conceptを早期に獲得したいという要望から、初期臨床製剤はリスク覚悟で迅速に開発することも求められる。本講演の後半では、非晶質固体分散体、ナノ結晶、自己乳化型製剤など、難水溶性薬物の製剤化手法について理論背景から最近の知見まで紹介する。
1.物性評価概論
1-1. 物性評価の実際
1-2. 物性評価各論
2.結晶多形
2-1. 結晶多形の基礎と熱力学
2-2. 結晶多形が物性に及ぼす影響
2-3. 結晶多形の評価法
2-4. 溶媒媒介転移
2-5. 多形転移温度の決定法
2-6. 塩と共結晶
3.吸湿性、水和物
3-1. 吸着水・結晶水・層間水
3-2. 水分含量の評価法と注意点
3-3. 複雑な水和挙動の評価
4.溶解度
4-1. スクリーニング溶解度と平衡溶解度
4-2. 溶解度スクリーニングの注意点
4-3. 難水溶性化合物の可溶化 (pH調整、補助溶媒、界面活性剤)
5.非晶質製剤
5-1. 非晶質の基礎
5-2. 原薬の結晶化傾向
5-3. 物理安定性予測
5-4. 経口吸収性予測
5-5. 非晶質製剤の調製法
5-6. 非晶質物性の調製法依存性
6.可溶化製剤
6-1. 液体充填カプセル
6-2. 自己乳化型製剤
7.ナノ結晶製剤
7-1. ナノ化による溶解性向上の原理
7-2. 実用化されたナノ結晶製剤
8.難水溶性薬物の製剤開発戦略