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肝がんによる死亡は年間約3万人であるが、その約7割はC型肝炎による肝硬変から発症している。慢性肝炎から肝硬変、肝がんへの進展を抑制するためには、C型肝炎ウイルス(HCV)の排除が必要である。
近年、C型慢性肝炎に対する抗ウイルス療法は進歩している、2014年から導入された経口抗HCV薬(Direct Antiviral Agents, DAA)のみの治療(インターフェロン・フリー治療)によると、著効率(HCV排除率)は約90%であり、かつインターフェロンに伴う副作用もなく、高齢者、肝硬変患者にも適応が拡大された。更に著効率の高いDAAも臨床現場で使用可能となり、C型肝炎治療の考え方は大きく変化している。しかし、強力なDAAを用いた治療でもHCVが排除できなかった症例では、高率に薬剤耐性変異HCVが出現しており、次の治療の選択肢が著しく制限される。また、HCVが排除されても、高齢者や肝硬変例では、治療後肝がんが発症する場合がある。
本講演では、日本におけるC型肝炎治療薬の変遷と現状を、海外の新薬開発状況と併せて紹介したい。また、薬剤耐性変異やHCV排除後肝がんなど臨床現場での問題点と、次世代新薬に求められる要件につきお話したい。