第1部.UV硬化型コーティング材の基礎知識
要旨:この章では、UV硬化型コーティング材に関する基礎的な知識とポイントとなる点が判りやすく説明されます。
1.UV硬化型コーティング材の種類と特徴
1-1.UV/EB硬化型コーティング材とは
1-2.紫外線(UV)の波長と特徴
1-3.UV硬化型コート材の種類と特徴
1-3-1.ラジカル重合型
1-3-2.カチオン重合型
1-3-3.アニオン重合型
2.ラジカル硬化型UVコーティング材について
2-1.反応の仕組み
2-1-1.第1段階:ラジカルの生成
2-1-2.第2段階:重合反応の開始
2-1-3.第3段階:ポリマー化(3次元架橋反応):硬化
2-2.UV硬化型コーティング材の構成成分と樹脂成分
2-2-1.UV硬化型コーティング材の構成成分
2-2-2.主なオリゴマーの種類、特徴と主なメーカー
a.樹脂の変遷、b.ウレタンアクリレート、c.ポリエステルアクリレート、d.エポキシアクリレート、
e.不飽和ポリエステル、f.アクリルアクリレート、g.ハイパーブランチ
2-3.光開始剤
2-3-1.開始剤の変遷
2-3-2.開始剤の種類、特徴と主なメーカー
3.カチオン硬化型UVコーティング材について
3-1.反応の仕組み
3-2.コーティング材の構成成分と樹脂成分
3-2-1.コーティング材の構成成分
3-2-2.主な樹脂成分の種類、特徴と主なメーカー
a.脂環式エポキシ樹脂、b.エポキシ樹脂、c.オキセタン、d.ポリオール、e.ビニルエーテル
3-3.光開始剤
3-3-1.開始剤の種類、特徴と主なメーカー
4.UV硬化装置について
4-1.UVランプ:ランプの種類、特徴と主なメーカー
4-2.反射板:種類と特徴
5.塗装方法とその具体例
5-1.UV硬化型コーティング材に使われる主な塗装方法
5-2.具体的な塗装事例
第2部.UV硬化型コーティング材の硬化挙動の測定方法と挙動の特徴
要旨:この章では、UV硬化型コーティング材の硬化挙動の特徴とその測定方法が説明されます。UV硬化型コーティング材は、過熱硬化タイプのコート材と比べると幾つかの特徴ある硬化挙動を持っています。UV硬化型コート材を使用したり、開発したりする時に、この硬化挙動の特徴を知る事は極めて重要です。
1.硬化挙動把握の重要性
2.硬化挙動への影響因子と物性
2-1.硬化挙動への影響因子
2-2.硬化状態と物性
3.酸素による硬化阻害(UV硬化型コーティング材の硬化挙動の特徴)
3-1.酸素による硬化障害が起こる理由
3-2.酸素による硬化障害の測定例
4.UV硬化型コーティング材の硬化挙動の解析方法
4-1.硬化物の硬度による硬化挙動の解析
4-1-1.引っ掻き硬度(鉛筆硬度試験)
4-1-2.耐スチールウール試験
4-1-3.ナノインデンテーション硬度試験(微小硬度試験)
4-1-4.各硬度試験の特徴
4-2.ゲル分率による硬化挙動の解析
4-3.赤外分光々度法による硬化挙動の解析
4-3-1.全反射測定法の概要
4-3-2.反応率の算出方法の概要
4-3-3.測定実例
4-4.リアルタイムFTIRによる硬化挙動の解析
4-5.光DSCによる硬化挙動の解析
4-6.ラマン分光分析法を用いた硬化挙動の解析
4-7.NIR(近赤外)分光分析法を用いた硬化挙動の解析
4-8.誘電分析(DEA)による硬化挙動の解析
第3部.UV硬化型コーティング材の付着性向上技術
要旨:この章では、UV硬化型コーティング材の付着性向上技術が講演されます。付着理論全般の説明とそれのUV硬化型コート材への応用について述べ、付着性向上の方法を述べます。また、UV硬化の欠点である硬化収縮を低減する技術についても併せて述べます。
1.はじめに
2.付着性に関与するUVコート材特有の要因
2-1.硬化時の硬化収縮について
2-1-1.硬化収縮とは
2-1-2.硬化収縮の測定方法:比重法による測定方法、ひずみ法
2-1-3.硬化収縮の一般的な傾向
2-1-4.硬化収縮を少なくする方法
2-2.UV硬化条件と付着性
2-2-1.UV照射条件と付着性の関係について
2-2-2.膜厚と反応率について
2-2-3.照射条件の最適化
3.付着理論について
3-1.剥離の形態について
3-2.付着の理論
3-2-1.ぬれと付着
3-2-2.付着理論の概要:拡散説、吸着説、電気接着説、投錨効果説、WBL層からの剥離
3-2-3.各付着の理論をどう考えるか
4.付着理論をベースとした付着性向上方法について
4-1.プラスチック素材への付着について
4-1-1.極性の低い高分子素材の場合(PS,PC,PPなど)
4-1-2.極性の高い高分子素材の場合(ABS,PET,アクリル樹脂など)
4-2.無機素材(金属・ガラス)への付着について
4-2-1.吸着説を利用して付着性を向上させる。
4-2-2.化学結合を利用して付着性を向上させる。
5.前処理で付着性を向上させる方法について
5-1.一般的な前処理
5-1-1.脱脂
5-1-2.研磨ないしブラスト
5-2.難付着性高分子素材(PET,PPなど)の前処理
5-2-1.フレーム処理
5-2-2.コロナ放電処理
5-2-3.プラズマ処理
第4部.UV硬化型ハードコート材での耐擦傷性・硬度向上技術
要旨:UV硬化型ハードコート材は、携帯電話やスマートフォンの筐体、化粧品容器などプラスチックの表面の傷付き防止に広範囲に使われています。かつては、官能基数を上げることによって耐擦傷性、耐摩耗性を向上させる技術が主流でしたが、割れやすいなどの欠点がありました。これらの問題を解決しつつ耐擦傷性、耐摩耗性を向上させるための近年注目されている技術を紹介します。
1.各種ハードコートとUV硬化型ハードコートの特徴
1-1.ハードコートの種類と簡単な特徴
1-2.UV硬化型ハードコートが使用されている主な分野(プラスチック素材向け)
2.一般的な耐摩耗性・耐擦傷性試験について
2-1.スチールウールによる耐摩耗性・耐擦傷性試験
2-2.砂消しゴム摩耗試験
2-3.テーバー摩耗試験
2-4.学振式摩耗試験
2-5.RCA摩耗試験
2-6.落砂摩耗試験
3.塗膜のレオロジーからみた耐摩耗性・耐擦傷性について
4.耐摩耗性・耐擦傷性を向上させる方法
4-1.架橋密度を向上させて耐摩耗性・耐擦傷性を向上させる方法
4-1-1.UVハードコート剤の表面硬化性を向上させる方法(酸素による硬化障害の防止)
4-1-2.ラジカル重合の酸素による硬化障害の化学
4-1-3.酸素による硬化障害の防止方法:コート剤の配合による対策、イナート・システム。
4-2.無機化合物をハイブリッド化して耐摩耗性・耐擦傷性を向上させる方法
4-2-1.シリカとハイブリッド化する方法
4-2-2.シリカ、アルミナを併用しハイブリッド化する方法
4-2-3.アルミナ(ナノサイズ)とのハイブリッド
4-3.潤滑物質を使用して耐摩耗性・耐擦傷性を向上する方法
4-3-1.液状潤滑物質で向上させる方法
4-3-2.固体潤滑物質で向上させる方法:無機系の固体潤滑物質、有機系の固体潤滑物質
第5部.UV硬化型コート材への耐候性向上技術
要旨:UV硬化型コート材の大きな欠点に、耐候性が悪いという点があります。耐候性とは化学的に何かを押さえつつ、何故悪いのかという理由について述べます。併せて、その改良技術について説明します。
1.耐光性試験の種類と特徴と主な規格
1-1.S-W-O-M
1-2.キセノン
1-3.フェドメーカー
1-4.紫外線
2.耐光性の化学
2-1.紫外線のエネギーと化学結合
2-2.変色とショーキングの違い
2-3.発色団と助色団
3.UV硬化型コート材の耐光性が悪い理由
3-1.樹脂の問題
3-2.光開始剤の問題
4.UV硬化型コート材の耐光性向上の技術
4-1.樹脂の選択
4-2.光開始剤の選択
4-3.紫外線吸収剤(UVA)の種類と特徴
4-4.HALSの種類と特徴
4-5.紫外線遮蔽材料
4-6.各種手法の組み合わせ方
第6部.UV硬化型コーティング材の欧米を含めた最近の技術動向
要旨:材料、装置、システム面での欧米を含めた最新の技術動向が説明されます。特に、欧米でのUV硬化技術の進展は注目すべきものが幾つかあり、今後の技術動向を見極める上で重要な内容が含まれています。
1.はじめに
2.三次元形状物の硬化システムにおける進展
2-1.UV硬化システムの一つの欠点としての3次元形状物の硬化の困難さ
2-2.ロボットなどUV照射器具に工夫
2-3.3D-UVイナート・システム
2-4.UVプラズマ・キュア
3.低臭気・低マイグレーションタイプの光開始剤の開発の最近の進展
3-1.低臭気・低マイグレーションタイプの光開始剤の重要性
3-2.高分子量タイプ、多官能タイプの光開始剤の開発動向
4.材料技術における進展
4-1.有機・無機ハイブリッドとナノ材料
4-1-1.シリカ、アルミナを併用しハイブリッド化する方法
4-1-2.ナノサイズのアルミナとのハイブリッド
4-2.ハイパーブランチタイプのオリゴマーの開発と今後
4-3.欧米における水系UVコート材の進展
4-3-1.EUにおける水系UVコート材の状況
4-3-2.UVコート樹脂合成の考え方
4-3-3.新規な水系UVコート材
4-3-4.日本における進展
5.装置面、塗装システムにおける新たな技術
5-1.イナート・システムの活用
5-2.プレコートメタル(PCM)鋼板への応用
5-3.UV光源の進展:ソリッドステーツUV光源
5-4.EB硬化技術における進展
5-5.UV-LED、3Dプリンタの進展について