2016年11月17日(木)
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よくある質問
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・ダイヤモンドバイトの取り扱いと工具寿命を伸ばす方法
・ダイヤモンドで加工できない物
・脆性材料(ガラスなど)を切削する方法
技術先進国であるかどうかの指標として、ダイヤモンド工具使用量が物差しになることがある。1980年代の我が国のダイヤモンド工具使用量は、金額ベースで年間500億円ほどであった。その後、バブル崩壊の1991年までは、超精密加工技術は目覚しい発展を遂げ、ダイヤモンド工具の年間使用量は1200億円にまで達した。しかしバブル崩壊により、年間使用量は900億円に落ち込んだ。その後幾分の回復はあったが、年間使用量は横這い状態が続いている。このことから、我が国の超精密加工技術の進歩は停滞したと思われる。超精密加工技術が飛躍的に発展した時代には、ダイヤモンドの結晶と超精密加工技術について、たびたび解説が行われたが、最近ではあまり解説されなくなってしまった。一方で、近隣諸国の超精密加工技術が加速度的に進歩して来ており、極東アジアの技術的リーダーであった日本の存在を脅かすようになってきている。
私は、1984年から1998年までの14年間、(株)東京ダイヤモンド工具製作所に所属して、主に単結晶ダイヤモンドバイトの製品研究開発に携わり、トリスタン(衝突型素粒子加速器)の部品加工用バイト、大型アルミハードディスク(直径約30cm)加工用バイト、ポリゴンミラー加工用バイトなど、最先端の超精密加工現場にバイトを提供してきた。その間、いくつかの画期的な発見・発明…({112} 結晶面の発見と、{112} 結晶面を掬い面にしたバイトの製品開発により、従来の50倍の寿命の達成、ダイヤモンドと被加工物の間で起こる化学反応の発見とその対策など)…があったが、その発見・発明はメーカー側の都合で世間に公表されることは少なかった。現在はフリーな立場で、技術コーディネーターをしているが、フリーになったことで、今まで公表できなかったことを、世間に公表できることになった。ここで、改めてダイヤモンドの結晶と超精密加工技術について、詳しい解説を行うことにした。この解説が、日本の超精密加工技術の更なる発展の一助になれば幸いである。
はじめに
1.ダイヤモンド結晶基礎
1-1.総論(ダイヤモンド結晶)
1-2.ダイヤモンド結晶面の種類
1-3.原子模型による結晶面の解説
a.機械的研磨がほとんど不可能な{111}
b.カーボンナノチューブの集合体{110}
c.人工ダイヤモンドに多い{100}
2.村木模型
2-1.村木模型による成果
2-2.新たに発見された結晶面{112}の物理的特性
3.ダイヤモンドの異常磨耗とその対策
3-1.BK7(青板ガラス)の研削
3-2.BK7研削後のダイヤモンド
3-3.化学反応によるダイヤモンドの異常磨耗
3-4.BK7加工時における異常磨耗の対策方法
3-5.メッシュと加工面粗さについて
3-6.静電気による電気腐食
3-7.ダイヤモンドが引き起こす化学反応温度と熱量の関係
3-8.ダイヤモンドが引き起こす化学反応の利用例(メタライズ)
4.脆性材料の切削法(延性モード加工)
4-1.塑性流動(ポアソン比)と切り込み量
4-2.延性モード加工に必要な条件
a.バイトの振動対策
b.床の振動測定方法
c.パッシブ除振台の作り方
d.空気バネの選定方法
5.切削熱が及ぼす影響
6.ハマグリ刃の紹介
6-1.X線回折格子の製作に使われたダイヤモンド工具
7.人工ダイヤモンドはなぜ寿命が短いのか?
7-1.救い面が{100}面であることの弊害
7-2.天然ダイヤモンドバイトの寿命
a.天然ダイヤモンドバイトにバラツキが多い理由
b.天然ダイヤモンドバイトの寿命を「高め安定」にする方法
7-3.人工ダイヤモンドバイトの改良
a.天然ダイヤモンドバイト並みの寿命にする方法
b.人工ダイヤモンドで{112}掬い面バイトを作る方法
8.超精密加工と形状測定
8-1.R(半径)またはD(直径)測定における疑問
8-2.事例紹介
8-3.R測定の原理
8-4.3点座標データの処理
8-5.新しい測定方法とその評価
8-6.「統計と確率」を援用したR測定方法
【質疑応答・名刺交換】
付録1.結晶の研究に実際に使われた村木模型の写真
付録2.切削と研削について
付録3.回転体の振れ評価方法について
用語の解説
ダイヤモンド,バイト,切削,結晶,寿命,セミナー,研修,講習