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高分子は長いひも状の分子なので“トポロジー的本性”が重要である。高分子が結晶化するためには、蛇のように滑り、絡み合いを制御しなければならない。結晶性高分子材料の構造と物性は結晶化により決定される。よって、高分子の結晶化メカニズム解明による構造・物性の制御は重要である。しかし、高分子の結晶化メカニズムは長年にわたり未解明であった。
本講義では、まず普遍的な結晶化の基礎理論を習得する。その上で、彦坂が提唱した “滑り拡散理論(1987)”を講義する。滑り拡散理論は「高分子のトポロジー的本性」を初めて取り入れることにより、高分子結晶化メカニズムを統一的解明に成功した理論である。
本講座の目的は,高分子材料の高性能化・高機能化を実現できる力をつけることである。高分子の静置場結晶化から流動場結晶化までを、入門編としてわかりやすく講義するが,内容は最先端の研究結果である。特に、最近発見した伸長結晶化による“ナノ配向結晶(nano oriented crystal, NOC)”を用いた高分子材料の高性能・高機能化について、詳細に講義する。
1.はじめに
1.1.高分子のトポロジー的本性と“滑り拡散理論”
1.2.従来の高分子結晶化と構造・形態
1.3.新しい高分子伸長結晶化
1.4.成果と課題
2.結晶化の基礎理論
2.1.結晶化の原理: 熱力学的因子と速度論的因子
2.2.古典的核生成理論: 核生成と成長
3.高分子の核生成
3.1.“ナノ核”の直接観察による核生成メカニズムの検証
3.2.均一核生成と不均一核生成、核剤の役割
3.3.分子量、絡み合いの効果
4.高分子の結晶成長
4.1.形態と沿面成長・“厚化成長”
4.2.成長速度
4.3.分子量、絡み合いの効果
5.伸長結晶化メカニズム(重点的に講義する)
5.1.ナノ配向結晶(nano oriented crystal, NOC)の発見と普遍性
5.2.NOCの構造・形態
5.3.NOC生成メカニズムの解明
5.4.NOC化による高性能・高機能化
6.高次構造形成メカニズム
6.1.形態と“派生成長”
6.2.球晶の起源
6.3.高次構造の起源と“aging”
7.終わりに
結晶化制御による高分子材料の高性能化・高機能化の展望
【質疑応答・名刺交換】
ポリマー,樹脂,プラスチック,結晶化,強度,配向,高次,構造,解析,講座,研修,セミナー