【習得できる知識】 痛みの基本的概念や考え方、および多面性を持つ痛みの評価方法について習得することができます。 【講演の趣旨】 痛みは常に主観的で、客観的には評価ができないものであり、多面性を持つものです。痛みの多面性とは、1)身体における痛みの部位、強度、持続性などを識別した痛み感覚の面、2)過去に経験した痛みの記憶、注意、予測などに関連して身体にとっての痛みの意義を分析する認知の面、3)「痛み」を不快や不安、恐怖などに感じる情動や感情の面などです。痛みは、生体内の組織損傷に伴い発症し損傷の修復期間内に治癒する「急性痛」と、治癒すると予想される期間を超えて長期間持続する疼痛や疾患の進行に伴う疼痛、または長期間改善しない身体的障害に関連する疼痛である「慢性痛」に分類されます。痛みを理解する上で非常に大切なことは、「急性痛」と「慢性痛」という異なる痛みの存在を知ることであり、さらに、これら2つの痛みは病態が大きく異なるため、捉え方や対処法は変えていかなければならなりません。 本セミナーでは、痛みの基本的な概念や考え方と痛みに対する客観的な評価法について解説します。
【プログラム】
1.はじめに
2.痛みの総論
2-1 国際疼痛学会の痛みの定義
2-2 痛みの多面性
2-3 痛みの期間による分類
2-3-1 急性痛と慢性痛の違い
2-3-2 急性痛と慢性痛への治療法の原則
2-4 痛みの性質による分類
2-5 痛みの中枢性感作
3.腰痛
3-1 腰痛の疫学
3-2 腰痛の原因
3-2-1 特異的腰痛と非特異的腰痛
3-2-2 腰痛に関するred flags
3-3 腰痛と心理社会的因子との関係
4.痛みと脳
4-1 慢性の痛みと脳機能
4-2 腰痛の病態?新たな概念?
4-3 Fear avoidance model
4-4 生物心理社会モデル
5.痛みに対する評価
5-1 痛みの強度の評価
5-1-1 視覚的アナログ尺度 (VAS: Visual Analogue Scale)
5-1-2 数値的痛み評価尺度 (NRS: Numerical Rating Scale)
5-1-3 表情尺度スケール (FRS: Face Rating Scale)
5-1-4 簡易痛みの質問票 (BPI: Brief Pain Inventory)
5-2 痛みの心理社会的因子の評価
5-2-1 破局的思考尺度(反芻、拡大視および無力感)(PCS: Pain Catastrophizing Scale)
5-2-2 疼痛生活障害評価尺度 (PDAS: Pain Disability Assessment Scale)
5-2-3 身体的疾患を有する患者の精神症状(抑うつと不安)の評価のための質問票
(HADS: the Hospital Anxiety and Depression Scale)
5-2-4 痛み自己効力感質問票 (PSEQ: Pain Self-Efficacy Questionnaire)
5-2-5 整形外科患者における精神医学的問題を知るための簡易質問票
(BS-POP: Brief Scale for Psychiatric problems in Orthopaedic Patients)
5-2-6 ミネソタ多面人格目録 (MMPI: Minnesota Multiphasic Personality Inventory)
5-2-7 West Haven-Yale多面的痛み調査票 (MPI: Multidimensional Pain Inventory)
5-3 痛みによるQOLの評価
5-3-1 健康関連QOL評価質問票日本語版EQ-5D (EQ-5D: EuroQol 5 Dimension)
5-3-2 健康関連QOL評価質問票日本語版SF-36
(SF-36: 36-item Short form health survey)
5-3-3 腰痛関連QOL評価質問票(RDQ: Roland-Morris Disability Questionnaire Scale)
5-3-4 日本整形外科学会腰痛評価質問票
(JOABPEQ: Japanese Orthopaedic Association Back Pain Evaluation Questionnaire)
5-4 痛みの性質に対する評価
5-4-1 日本語短縮版マギル質問票(SF-MPQ: Short-Form McGill pain Questionnaire)
5-4-2 神経障害性疼痛スクリーニング質問票
5-4-3 日本語版painDETECT・Spine painDETECT
5-5 その他の痛み関連の評価
5-5-1 アテネ不眠尺度 (AIS: Athens insomnia scale)
5-5-2 ザリット介護負担尺度日本語版
(J-ZBI: the Japanese version of the Zarit Caregiver Burden Interview)
5-6 脳機能画像による評価 (MRS: Magnetic Resonance Spectroscopy)
6.痛みを有する患者の身体機能評価
6-1 柔軟性評価:長座位体屈曲位・床指間距離
6-2 筋持久力評価:30秒立ち上がりテスト
6-3 歩行能力:2 ステップテスト
6-4 体力:6 分間歩行テスト
6-5 ロコモ度判定:ロコモ25
7.運動器慢性痛に対する集学的痛み治療
8.まとめ
【質疑応答・名刺交換】
【習得できる知識】 研究計画書の作成に最低限必要とされる知識の習得を目指します。 【趣旨・ポイント】 臨床試験は、その研究デザイン・計画から始まりますがその手法に信頼性がないと、研究結果自体の信頼性は得られません。またその手法は、時代の遷延とともにより洗練されたものが要求されてきています。本講演では、痛みの治療薬の適切な臨床試験を行うための研究計画書の作成方法についての概説を行い、適切な臨床研究を遂行する道筋案内を行います。 ☆事前にご質問をいただけましたら、当日講師がお答えします。お申し込みの際に備考欄にご記載いただくか、お問い合わせフォームからご連絡ください。
【プログラム】
1.臨床研究開始に必要な準備:ヘルシンキ宣言と倫理委員会の承認
1‐1 ヘルシンキ宣言とは
1‐2 倫理委員会の承認
2.臨床試験デザインの決定
2‐1 探索的試験
2‐2 検証的試験
2‐3 ランダム比較試験
2‐4 盲検試験
3.統計解析・仮説検定
3-1 正規分布、非正規分布
3-2 検定力分析
4.エンドポイント/一次アウトカムの設定
4-1 一次アウトカムと二次アウトカムの違い
4-2 何を調べればよいか
5.症例エントリー
5-1 取り込み基準及び除外基準
5-2 何名の被験者が必要か
6.有害事象発生時の対応
6-1 副反応のリスク
6-2 臨床研究保険
7.同意の取得
7-1 被検者の利益と不利益
7-2 研究参加と中止の自由性
8.個人情報と試験データの取り扱い
8-1 管理方法
8-2 研究終了後のデータの扱い
9.利益相反の開示
9-1 研究者間の関連について
10.問い合わせ窓口の設置
10-1 研究実施事務局
11.最近の臨床試験のポイント
11-1 プロペンシティスコア
11-2 Enriched enrolment
11-3 非劣勢試験
12.参加者からの質問
☆事前にご質問をいただけましたら、当日講師がお答えします。
お申し込みの際に備考欄にご記載いただくか、お問い合わせフォームからご連絡ください。
【名刺交換】
【習得できる知識】 最近の疼痛に関する臨床的知見を得ることができる 今後、臨床現場で何が必要とされているかを知ることができる。 【趣旨・ポイント】 疼痛治療の研究を行う際に、臨床現場の治療状況を知ることが大切です。疼痛の原因を知り、何をするべきかを考えることが大切です。そのために、本講義では、なるべく臨床での具体例を述べたいと思います。画像が多く、新薬、手術など最新の情報も多く盛り込んでいることが特徴です。 1.疼痛の生理的メカニズム、慢性化機序を理解する。2.代表的な疾患について、解剖生理から学ぶ。3.疼痛に対する、臨床現場での薬剤および外科的治療の実際、薬剤の使いやすさや問題点を知る。ということをポイントにて述べたいと思います。
【プログラム】
1.はじめに
2.脊髄、末梢神経の解剖生理
3.疼痛の神経生理
4.代表的疾患の説明
(椎間板ヘルニア、狭窄症、胸郭出口症候群、手根管症候群、肩こりなど)
5.保存療法
6.手術療法(ビデオなど含めて)
7.求める新薬像
7-1 薬剤の使いやすさと問題点
8.未来への展望
【質疑応答・名刺交換】