2021年02月16日(火)
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・座りに関わる企画・開発・設計担当者
・座りに関わる販売・営業担当者
・座りに関心のある方
・座りの科学・座りの人間工学:生活における座りの意味
・いす・シートの役割と機能条件
・いすとベッドの機能・性能を区別してはならない意味
・座具における座りの常識と非常識
若者の自動車離れ、高齢ドライバーによる交通事故、AI(人工知能)自動車、地球温暖化など人間にとって便利であった自動車が正と負を表出する時代に入った。
時代が変わっても、自動車の運転や乗車姿勢は、座姿勢以外には考えられない。即ち、床に足が着き、臀部・背面・後頭部がシートに接する座姿勢である。言い換えれば、シートは人体のこれらの部位をうまく支持する役割をもたなければならない訳である。
近年、量産によるいす・シート設計の多くはCADによるものであり、残念ながら手書きによる原寸図の作成はほとんど姿を消してしまった。いす・シートは建築・インテリア・人間工学の分野において「人体系家具」として扱っており、原寸図により寸法・角度を検討してきた。1㎜の寸法、1°の角度が座り姿勢や座り心地に大きく影響することは原寸図をひいてみないと分かりにくい。今では、パソコンによる作図に変わってしまったため、この1㎜、1°の意味は実感として伝わっていない。
この様に設計段階から座りに対する人体との関係が希薄になり、完成品が身体に合わない、違和感があるなど座り心地のよさを失った座具の氾濫に繋がっているのは間違いないと考えている。
知人の椅子デザイナーI氏は、人間工学をマスターしたデザイナーで、未だに手書きによる椅子設計を行っている。(1)人間工学の学術的習得、(2)原寸図からいす製作へとアナログ的なアプローチ、などが完成度の高い椅子づくりに至っているのは間違いのない事実であり、彼の作品には常に合格点がつく。
仮に量産シートであっても、彼の様なものづくり環境を構築していくならば、合格点に近いシートづくりが可能となる筈である。これは、45年を越える座り研究の経験から言えることである。
日本のいす生活の歴史は極めて短い。座り方も選び方も、そして造り方も誰も教えてくれない。その中でのいす・シートづくりは、視覚的に評価されても心地よさを備えた座具が誕生しない当然のことと言わざるを得ない。
いま思うに文科省が子供たちに座ることの意味と座り方を教えたなら、日常生活においていすの選び方や座り方を正しく理解できていたであろうと残念でならない。そこで欧米に劣らない座具を作れる様に「いすづくり」や「いす使い」に不可欠な知識をお伝えすることができるならばと本セミナーを引き受けさせていただいた。
AI自動運転に多くの関心と期待がもたれる時代に、日常生活での着座姿勢は、人間の寿命を短くするという研究結果が異常なほどに家具メーカーに影響し、座り姿勢が悪もの扱いされている現実がある。
人体の骨格構造や姿勢と重力などの視点からみると、座姿勢は人体に無理を強いる姿勢であることは間違いない。このことについて、生活者やメーカー、マスコミなどに繰り返し説明をしてきたが、残念ながらいす・シートづくりの現場にはその声が届いていかなかったことは実に残念なことである。
いす・シートの研究に関わり48年が経過した。大学教員退職後の終活の中で手元にある資料を整理しているが、シートセミナーの講師を1989年から6社において合計22回はお引き受けしてきたことが分かった。多い時は1社のセミナーを1年に2回開催されたこともある。これらのセミナーを契機にシートデザインやシート研究の第一人者としてご活躍の方々がおられ、講師としての冥利に尽きる。
本セミナーでは、これらの経験をもとに「シートづくりの基礎」としての知識をお伝えすることにより、これまで以上の座り心地性能やAI自動車運転の実用化に伴うシートの見直しを含む新たなシートづくりに役立てていただけることを願って本セミナーを引き受けた次第である。
コロナ禍の中で、移動手段が公共交通機関から自動車への移行など、自動車の優位性が評価されている実情を鑑み、更なるシートの機能性向上に向けての企業努力が欠かせないと考えている。
0.デザインとは?
1.「座姿勢」は悪という背景にあるもの
2.いす・シートづくりの現状を教育の側から観る
3.「知らないで」いす・シートづくり
4.シートづくりに「人間工学」の活用を!
5.「座姿勢」の身体負担
6.座姿勢が身体に及ぼす影響
7.いすメーカーがベッドを作らない理由
8.いすの支持面のプロトタイプ
9.人体支持具 ベッド
10.事務用いす
11.いすの座り方 選び方
12.「体圧分布図」による座り心地評価の限界
13.「寝具の三層構造」はクッション材料構成の原理原則
14.自動車用シート 運転姿勢に影響するシートの条件
14-1.好ましいシートの着座位置の調整
14-2.初期における自動車用シートの調査・実験概要
・シートのクッション性の嗜好調査
・長時間運転におけるシートの評価調査
14-3.調査・実験結果による提案
14-4.参考文献の紹介
15.鉄道用腰掛
16.航空機用シート
17.シートづくりの原理原則と具備すべき条件
18.これからどうする、「明日に向け、次世代に向けて」のシートづくり
19.作る側にも使う側にも「座育」のすすめ
20.着衣とシート表皮材との相性
21.ドライバーズシューズとフロア材
22.車いす
23.座椅子
24.骨盤サポートの効果と応用
25.コロナ禍の中で
12:30-14:20 講義
14:20-14:30 休憩
14:30-16:30 講義
※講義の進行状況により多少前後いたします。
自動車、シート、椅子、人間工学、ユニバーサルデザイン、座り、姿勢、設計