<1>総論-シルクの素晴らしい構造・物性と新たな実用化最前線
【10:30~12:00】
シルクの繊維化前後の精密な構造ならびに繊維化の機構に関して、 最先端の分析手法を用いて得られた知見を紹介する。さらに、それらの知見を背景とした絹の改変とその優れた物性に基づく新たな用途開発・再生医療への応用について紹介する。特に、絹の特長を生かした小口径絹人血管の開発について詳細に述べる。
<2>超高タフネス繊維「クモの糸」の実用化開発
【13:00~14:10】
クモが自重を支える際に用いる「牽引糸」とよばれる命綱は、破断するまでの吸収エネルギー(タフネス)が極めて高いことで知られており、その数値はスーパー繊維として開発されたアラミド繊維(Kevlar49 fiber) の約5倍、炭素繊維の約10倍に相当する。一方、クモの糸を量産するための技術は未だ確立されていない。クモは蚕のように家畜化することはできず、クモ自身に均一な繊維を大量安価に作らせる事が困難であったためである。そこで、クモ糸の構成成分であるフィブロインとよばれるタンパク質を、遺伝子工学的な手法を用いて微生物に発酵生産させ、繊維を人工合成する研究が欧米を中心に進められた。しかしながら、繊維物性、生産コスト等の面で未だ多くの課題が残っている。
・こうした中Spiber社では、独自の分子デザイン、発酵、精製、紡糸技術を確立したことで、人工クモ糸の機能性と生産性を飛躍的に向上させることに成功した。2013年には世界初の人工クモ糸製品「Blue Dress」を発表した他、その後も年産1トンの繊維製造能力を持った試作研究拠点を立ち上げ、自動車部品メーカーやアパレルメーカー等と共に、人工クモ糸の本格的な製品開発をスタートさせた。本セミナーでは、起業の経緯からこれまでの開発成果、及び今後の事業展開について紹介する
<3>遺伝子組換え技術を用いた新たなシルクの開発と実用化
【14:20~15:30】
1. カイコとシルクの優れた特性
2. 遺伝子組換えカイコの開発技術
3. 遺伝子組換えシルクの作製法と開発例
4. 組換えカイコ・シルクの大量生産体制
5. 組換えシルク実用化の今後の展望
<4>シルクのプロセッシングとメディカルへの展開
【15:30~16:40】
1. メディカルを指向したシルク加工技術概説
2. シルクは安全か?
3. メディカル材料としてのシルク〜差別化できるのか? 〜
4. シルクを利用する新しい軟骨再生治療の試み