1.動物細胞大量培養技術の基本とヒト多能性幹細胞(ヒトiPS細胞)大量調製への展開・最新技術動向
13:10~14:50
単一細胞種を用いた第一世代の再生医療を実現するために、種々のヒト幹細胞種を大量調製し目的の臓器細胞種へと分化誘導、精製する細胞製造技術(再生医療の産業化技術)が求められ、国内外で数多くの研究開発機関が凌ぎを削っている。これに引き続く次世代の再生医療技術として、複数種の細胞を生体外で培養組織・臓器として調製・製造する技術が注目されており、バイオ3Dプリンター等の画期的な要素技術が登場してきた。培養組織を人工環境下で製造し患者に届けるためには複数種類の分化細胞を大量(10億個以上)に調製し、それらの生理活性を保ちつつ適切に配置・育む技術が必要となる。本セミナーでは細胞大量調製プロセスに焦点を絞り、ヒト人工多能性幹細胞(ヒトiPS細胞)の大量調製プロセスの構築を題材に、その基本から最新動向までを生物化学工学の視点から概説する。
1 第一世代再生医療産業の全体像,状況
2 次世代再生医療の産業化に必要な技術とは?
3 動物細胞の大量調製技術(生物化学工学の寄与)
3.1 定量的プロセス構築に資する評価指標
3.2 動物細胞バイオリアクターの設計)
4 ヒト人工多能性幹細胞(ヒトiPS細胞)の大量調製技術
4.1 ヒトiPS細胞培養時の留意点
4.2 ヒトiPS細胞大量培養プロセスの効率化(低コスト化,時間短縮)
2.3Dプリンターを用いた生体組織造形技術の開発
14:50~16:30
近年、比較的安価で操作性にも優れた3Dプリンター装置の開発が進み、製造業や建築などの領域で普及し始めている。本邦においても世界動向に追随するように、経済産業省を主体とした産官学一体のプロジェクトが開始された。なかでも期待されるのが、医療の分野への応用であり、核磁気共鳴イメージング(Magnetic Resonance Imaging:MRI)やコンピュータ断層撮影(Computed Tomography:CT)などの3Dデジタルデータをもとに単一のあるいは材質の異なる複数の素材を用いて、人体組織を精緻に再現するような、3D立体構造体を作製する技術開発が進められている。本セミナーでは、顎顔面領域や関節の再生医療において、われわれが開発に携わってきたカスタムメイド型人工骨の研究過程や臨床応用の症例を供覧するとともに、現在進めている高機能足場素材とバイオ3Dプリンターを用いた再生組織・臓器の製造技術の開発について解説する。
1 これまでの再生医療について
2 現在行われている顎顔面領域における骨欠損に対する治療法
3 顎顔面領域における3Dプリンターを用いた再生骨の製造技術の開発
4 バイオ3Dプリンターを用いた再生組織作製技術の研究開発
5 今後の展望