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高分子の物性改良を目的としフィラーを添加するが、この時パーコレーション転移のため物性がばらつく。
絶縁体高分子に導電性フィラーを添加して半導体高分子を設計する場合に、それが顕著に表れ、目的とする導電性の値を安定に得られないことがある。力学物性の改良を期待してフィラーを添加した時も同様に目的とする補強効果が現れなかったり、力学物性が大きくばらついたりする。
パーコレーション転移については数学者により古くから議論されてきたが、高分子材料分野にその考え方が導入されたのは1990年代になってからである。それ以前は、混合則(複合則)でこの現象を議論してきた。
パーコレーション理論の数学的説明が難解だったので普及が遅れたと思われるが、本セミナーではシミュレーションと二つの開発事例を用いて、パーコレーション転移の考え方をわかりやすく解説するとともに、それを制御するための材料設計の手法まで開示する。
なお、本セミナーでは塗布と混練分野の事例で説明するが、その時プロセシングの効果についても過去の複数の学会で発表されたデータを用いて実践的に解説するとともに、新しい混練技術であるカオス混合についても触れる。
1. パーコレーション転移について
(1)パーコレーション(浸透)理論概説
(2)簡便なシミュレーション手法
(3)複合則(混合則)との比較
2. 高分子材料の複合化と物性
(1)高分子材料技術概説
(2)混練プロセスとパーコレー ション転移
(3)カオス混合について
(4)高分子材料のインピーダンス
3. フィルムの帯電防止技術とパーコレーション転移
(1)導電性ナノ粒子を用いたフィルムの帯電防止技術
(2)プロセシングと配合設計によるパーコレーション転移制御
(3)インピーダンス測定によるパーコレーション転移閾値評価
(4)パーコレーション転移の崩壊による導電性劣化
(5)引張試験によるパーコレーション転移の崩壊現象観察
4. 複写機部品とパーコレーション転移
(1)導電性カーボンを用いたWパーコレーション転移制御技術
(2)シミュレーションによる考察
(3)プロセシング技術の効果
5. まとめ