第1講 食物アレルギーの基礎知識と小麦アレルギーの研究動向
13:00~15:30
食物アレルギーとは、食物によって引き起こされる抗原特異的な免疫学的機序を介して生体にとって不利益な症状が惹起される現象であり、多くの場合原因食物を摂取後約2時間以内に皮膚や粘膜、消化器、呼吸器等に症状が現れる。原因食物の一つに小麦があり、全年齢における3位、20歳以降の1位となっている。小麦アレルギーに関する研究はBaker’s Asthmaや、セリアック病などの分野で進んできた。原因タンパク質としてグリアジンやグルテニンが挙げられているが、これらは小麦粉中タンパク質の約8割を占め、グルテンとして物性に大きく関与する。加熱等によるアレルゲンの低減化は難しく、グルテンフリー食品の開発が望まれている。本セミナーでは、食物アレルギーの基礎から小麦アレルゲンの低減化までを体系的に詳解する。
1.食物アレルギーの基礎知識
2.小麦アレルギーについて
3.グルテンについて
4.小麦アレルゲンの低減化について
第2講 グルテンフリー米粉パンの開発研究
15:40~16:40
本セミナーでは、増粘剤などの副原料を使用しないグルテンフリー米粉パンの開発研究を中心に、農研機構食品研究部門でこれまで取り組んできたグルテンフリー食品の開発研究について紹介する。小麦アレルギーへの対応、米の消費拡大など研究背景についても言及する。
1. 天然ペプチド「グルタチオン」を利用したグルテンフリー米粉パンの開発
2. 副原料を一切使用しないグルテンフリー米粉パンの開発
3. 増粘剤、グルテンなしでパンが膨らむメカニズムの解明
4. グルタチオンを利用した大豆粉生地の物性制御に関する研究