第1講 高齢者ドライバの特性に基づく先進運転支援システムの開発
12:30~14:30
急速に進む高齢化社会を持続可能にするためには、高齢者も積極的に外出して活動的な暮らしができる社会の実現が急務である。高齢者の外出手段の一つとして、自動車の役割は重要である。しかし、高齢者の自動車事故も増加していることから、高齢者が安全・安心に運転できる「運転寿命」の延伸が求められている。高齢者ドライバの特徴として、身体特性や認知機能などの人間特性と運転時の判断や操作などの運転特性の個人差が大きいため、それら特性の違いを考慮した運転支援が高齢ドライバには効果的と考えられる。本セミナーでは、文部科学省/JSTの支援による名古屋COI(センター・オブ・イノベーション)拠点の研究・開発の一環として実施している300名の高齢者ドライバの追跡調査から見えてきた心身機能と運転特性の関係と、それらに基づく先進運転支援システムの研究・開発について詳解する。
1.高齢ドライバの運転・事故実態
2.高齢ドライバの実態を踏まえた研究・開発の取組み
3.高齢者人間・運転特性データベース「Dahlia」
4.ドライバ特性を考慮した先進運転支援システム開発
第2講 実験心理学的手法による高齢者ドライバ特性評価と自動車設計への活用
14:45~16:45
我が国における高齢者が関わる交通事故は増加の傾向にあり、今後さらに顕著となる高齢化を見据え、安全・安心な交通社会の構築と維持に対する社会的な要請も高まりつつある。現在の自動車にとってドライバによる操作は必須であるため、ドライバの認知・判断・操作の誤りが危険に直結することとなる。したがって、自動車のインタフェース設計や車載機器の安全性を評価しようとする場合、ハードウェアの評価だけでは目的を達することができず、ユーザとなるドライバの諸特性をどのように評価し、理解するのかが極めて重要となる。実験心理学は、従来から人間や動物の知覚・認知をはじめとしたメカニズムを明らかにすることに焦点をあててきた。近年では、実験心理学的手法によるアプローチをより実際的な側面に適用する動きが拡大されている状況にある。しかしながら、人間の諸特性の測定・評価の実施はハードウェアとは異なる側面を有することも多く、特に問題になるのが、個人差や実験計画・手続きなどである。本セミナーでは、人間の諸特性(特に視覚)をどのように測定するか、また実験を計画するときに必要な注意点について概説する。さらに、これから人間を対象とする研究を始めようとする際に必要となる情報についても言及する。
1.ドライバーの認知・行動特性
2.心理実験手法について
3.視覚を中心としたドライバ特性の評価