■1日目■ 8月4日（月）
第１部 触感を表す言語による感性評価測定手法とその応用 （14:00～17:30）
＜趣旨＞
研究室の特許技術「オノマトペ（擬音語・擬態語の総称）による感性評価システム」について、開発の学術的背景や、手法の概要とともに説明します。人が触ったり見たりしたときに感じる印象が重要なさまざまな分野に貢献できる可能性について、過去の研究事例とともに紹介します。また、言語と感性の関係に着目したその他の特許技術についても時間の許す限りご紹介したいと思います。
＜得られる知識＞
触感研究に関する心理物理研究動向に関する知識
言語による感性評価技術
１．これまでの触感定量評価手法の課題に対するオノマトペの強み
1.1 形容詞を使ったSD法の問題点
1.2 オノマトペの方が微細な触感を捉えられることについての研究室の実験結果などを紹介しながら解説
２．オノマトペはなぜ微細な感覚の違いを表現できるのか
2.1 音象徴の言語を越えた普遍性を示す心理学・言語学分野での学術的背景
2.2 感性豊かな日本人が生み出すオノマトペの特徴と可能性
３．オノマトペによる快不快評価の可能性
3.1 手触りの快不快とオノマトペの音の結びつきに関する実験について
４．オノマトペを用いて作成した人の触感を網羅する触感サンプルの展示紹介
５．オノマトペによって表される感性を定量化するシステム
5.1 心理実験による基本的データの収集と計算モデル
5.2 計算モデルについて
６．オノマトペによる感性評価システムのデモ
オノマトペで表される触感について、システムで出力した結果を見ながら違いを定量的に把握できることを解説
７．システムによる研究事例１
7.1 オノマトペ分布図
7.2 触素材感性評価傾向の可視化
８．システムによる研究事例２
8.1 実金属と模造金属の違いとオノマトペ
8.2 金属調加飾デザイン開発における定量評価
：2013年6月NHKクローズアップ現代で紹介された研究
９．システムによる研究事例３
9.1 オノマトペで表される感性に合った色彩の提案手法
１０．システムによる研究事例４
10.1 HMIデバイスの操作感のオノマトペによる測定
１１．まとめ
□ 質疑応答 □
■2日目■ 8月5日（火）
第２部 自動車内装材用皮革系表皮材に求められる触感・評価と開発応用 （10:30～12:00）
＜趣旨＞
触感はさまざまな用途に求められています。しかし、同じ言葉でも用途によって意味する内容が異なります。 自動車内装材に求められる触感とは何かを明確にした上で、合皮開発をしてきた経緯を紹介します。具体的には、べたつき感が小さく、しっとり感、さらさら感のある合皮「ブレスレザーⓇ」について紹介します。
＜得られる知識＞
主観評価方法、感覚を表すことができる機器評価法の構築方法、商品の設計手法
目的とする触感を表現するための材料に関する知識
１．感覚計測技術の概要
1.1 感覚に特長のある商品の開発手法
1.2 熱・水分特性に関する感覚の機器計測手法
1.3 圧力特性に関する感覚の機器計測手法
1.4 触感の機器計測手法
２．触感特化合皮「ブレスレザーⓇ」 の開発手法
2.1 触感の選定
2.1.1 主観評価方法
2.1.2 主観評価結果
2.2 触感の機器計測方法
2.2.1 べたつき感の機器評価法
2.2.2 さらさら感の機器評価法
2.2.3 しっとり感の機器評価法
2.3 合皮の製品設計
2.3.1 設計の考え方
2.3.2 高吸湿材料
2.3.3 設計および評価
□ 質疑応答 □
第３部 ソフトフィール塗料の特徴と自動車内装への応用 （12:50～14:20）
～ポリカーボネートジオール系ポリウレタンの展開～
＜趣旨＞
ポリカーボネートジオールを使用したポリウレタンは、耐水性、耐熱性、耐薬品性などの性能に優れている。そのため、自動車内装用ソフトフィール塗料に関しても、ポリカーボネートジオールを配合した塗料が積極的に検討されている。本講演では、ポリウレタンやソフトフィール塗料の各種性能に対する原料や配合の影響について紹介する。
＜得られる知識＞
ポリウレタン原材料の位置づけ、塗料配合の影響
１．ポリウレタン概要
1.1 ソフトフィール塗料の特徴
1.2 ポリウレタン系バインダーの種類
1.3 ポリオールの分類と用途
1.4 ポリオールの市場規模
1.5 イソシアネートの分類と用途
1.6 イソシアネートの市場規模
1.7 ポリウレタン系バインダーの用途例
２．ポリカーボネートジオール（PCD）概要
2.1 PCDの種類
2.2 PCDの性質
2.3 ポリオール種類によるポリウレタン物性の比較
2.3.1 柔軟性
2.3.2 耐水性
2.3.3 耐熱性
2.3.4 耐薬品性
2.3.5 耐摩耗性
３．ソフトフィール塗料概要
3.1 要求性能
3.2 配合の影響
3.3 市販品（スマートフォンカバー）の耐薬品性
3.4 開発動向
４．まとめ
□ 質疑応答 □
第４部 自動車メーカーからみた、内装質感・触感表現への要求と、
感性工学を用いた質感向上を目指した商品開発 （14:30～16:00）
＜趣旨＞
近年、自動車の内装に対するお客様の期待が高まり、質感の向上が自動車メーカーの重要な課題となっている。しかしながら、質感は人の感覚や感性で感じられるため、具体的な設計仕様として明確にしにくい。そのため、質感のメカニズムの解明と定量化に取り組むことが必要となってくる。本セミナーでは、自動車の内装の見栄え、触感について、感性工学を活用し、評価要素を明確にし、定量的に捉えることで、質感の向上を目指した開発手法を解説する。また、これらの知見に基づいた弊社製品の開発事例を紹介する。
＜得られる知識＞
自動車の内装質感に関する、感性、感覚の定量化手法
自動車開発の中での、質感向上開発プロセス
１．自動車内装質感向上の取り組み事例
1.1 質感向上の取り組み紹介
1.2 内装質感に関する価値観分析
２．内装材の表面質感
2.1 感性工学を用いた表面質感の定量化
2.2 内装色が質感に及ぼす影響
３．加飾の質感と機能
3.1 金属加飾の本物感について
3.2 加飾の操作性への貢献
４．触感の質感研究事例
4.1 ステアリングの触感
4.2 内装材の触感
５．表面質感メカニズムに基づくバーチャル技術の紹介
６．量産車への織り込み事例紹介
□ 質疑応答 □
