省エネ性やコストに優れた気体の膜分離技術の研究開発が急進展している
本セミナーでは膜分離のメカニズムから高分子膜・無機膜を用いた気体分離技術動向を解説する
膜による気体分離は1970 年代後半の水素分離膜の実用化以来、有機高分子膜が主に用いられてきたが、近年は高選択かつ高透過性の気体分離膜を得るための新しい膜材料の設計指針の探索が続けられ、オングストロームサイズの細孔による分子ふるい能を膜に導入するため、ゾル– ゲル法やCVD法によるシリカ、水熱合成法によるゼオライト、高分子前駆体を熱処理した分子ふるい炭素などの無機膜の研究開発も活発に検討されている。ここでは、膜による気体分離の原理と高分子膜と無機膜(炭化膜およびゼオライト膜など)の研究開発の現状と展望について解説する。【前半】
アモルファスシリカ膜は,ゾルゲル法あるいはCVD(化学気相蒸着法)で製膜されている。アモルファスシリカ膜は分離に有効な細孔径を任意に制御できるという特徴があり、細孔径3-4Åの水素分離、細孔径4-5Åの二酸化炭素や有機ガス分離、さらにはより細孔径の大きなアルコール水溶液からの脱水膜などにチューニング可能である。ここではシリカ膜の細孔径制御および耐水蒸気性向上について述べるとともに、サブナノレベルの細孔径決定法について解説する。さらに、シリカ膜を用いた各種の応用についても紹介したい。1.はじめに