第1部 光の産業利用と生体安全性指針
~リスク評価方法の標準化と国際規格の現状~
「光」は重要な環境要素として,古くから人間と重要に関わってきていると同時に,「光」エネルギーはいろいろな産業に利用されてきている他,近年は情報処理のメディアとしても広く利用されるようになってきているなど,人間とのかかわりも一層深くなってきている。そのため,人間(生体){への影響(特に,生体安全性)がますます重要になってきている。今回のセミナーでは,「光」の生体への影響を紹介すると共に,「光」の生体安全性について,その内容とリスク評価の方法およびリスクを回避する手段などを,発表者がその制定に関わった国際規格(IEC/CIE 規格)の内容をもとに紹介する。
1.Introduction
2.「光」定義と「光」の実体(フォトン(光子))
3.光の性質と作用効果
4.光の生体への作用と安全性
5.光の測定(定量評価) の方法
6.光源の種類と発達の歴史--真空システム光源と固体素子光源(LED 光源)
7.光の利用分野と今後の発展・展開
8.光の生体安全性リスク評価方法の標準化と国際規格の制定の経過
8.1 光の生体安全性リスク評価の考え方
8.2 光学機器用光源(レーザー)の安全性リスク評価指針
8.3 光環境用光源(一般照明用光源)の安全性リスク評価指針
8.4 レーザーとLED光源の安全性リスク評価の問題点
9.光源の生体安全性リスク評価の実際例
9.1 一般照明用光源-蛍光ランプ,HID ランプ,LED 光源
9.2 青色光の生体安全性リスク評価 - 網膜傷害, 生体リズム障害
10.まとめ-今後の展望
□質疑応答・名刺交換□
≪得られる知識≫
・光の性質とエネルギーとしての光
・光の作用と生体安全性
・光の測定(定量評価)方法
・光の生体安全性リスク評価方法
・光源の生体安全性リスク評価の実際-蛍光ランプ,LED光源
・青色光の生体安全性リスク評価
第2部 サーカディアンリズムから網膜障害まで、ブルーライトの生体影響の実際と対策・応用
2014年に青色LEDがノーベル賞を受賞し改めて有用性が注目されている。その一方 ブルーライトハザードという言葉も一般に流布しており その青色光について概論を行う。
1.光について
2.青色光について
3.なぜ今青色光なのか?
4.青色光の各性質と影響
4.1 青色光の散乱性
4.2 青色光と”にじみ”
4.3 高エネルギーを持つ青色光
4.4 青色光の瞳孔への影響
4.5 青色光の睡眠への影響
4.6 ブルーライトへの対策と応用
4.7 VDT症候群
5.青色光への誤解
□質疑応答・名刺交換□
第3部 光の生体への影響と医療分野への応用
光は生体侵襲性の低い物理エネルギーの一つであり、さまざまな医療技術に応用されている。また、近年、光と光増感剤とを用いた光線力学的治療が、生体侵襲性の低い医療技術として、癌などの治療に利用されている。本講演では、光の生体への影響を概説するとともに、光を用いた主な診断技術と治療技術とを紹介する。特に、治療技術については、光線力学的治療の原理と治療効果向上のための工学的アプローチについて説明する。
1.光の生体への影響
1.1 光の性質
1.2 皮膚に対する光の影響
1.3 血液の光学的特性
2.光の医療分野への応用
2.1 光を用いた診断技術
1) 光の吸収を利用した診断技術
2) 蛍光発光を利用した診断技術
3) 光の散乱を利用した診断技術
2.2 光を用いた治療技術
1) 光線力学的治療の原理
2) 癌の光線力学的治療のための光源開発
3) 癌の光線力学的治療のための薬剤開発
□質疑応答・名刺交換□