非会員:
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学生:
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バイオプラスチックの先駆けとして数多くの生分解性プラスチックが研究され始めてからおよそ40年、その後新たに新規バイオプラスチックが登場して以降、これまで成功裡に事業化された素材/製品は極めて限られる。その死命を制するものは何なのか?本セミナーではこれまで産学両分野で約30年間、ポリ乳酸等のバイオプラスチックの基礎・応用研究から技術・事業開発までを成し遂げた講師が、材料設計技術の真髄を開示する中でその核心に迫る。本セミナーは抽象的な観念論ではなく、その分子論的基礎と共に具体的な素材・添加剤(製品/メーカー)や豊富な技術・情報データを開示することにより即実践的能力の涵養を目指し、バイオプラスチックの明日への展望を切り拓くことを目的とする。
1.はじめに
1.1 背景…地球環境・資源・廃棄物問題
1.2 バイオプラスチックの分類…日本バイオプラスチック協会(JBPA)識別表示制度
2.新規バイオプラスチックの台頭
2.1 新規バイオプラスチックの分類と特徴
1) バイオポリオレフィン(bio-PE, bio-PP)
2) バイオポリエステル
a) 生分解性…PGA, PLA, PHBV, PHBH, PBAT, PBS
b) 非生分解性…PPT, PEF, 部分乃至完全bio-PET
3) バイオポリアミド(PA4, PA56, PA510, PA610, PA11, PA10T, PA11T)
4) バイオポリカーボネート(イソソルバイド系bio-PC)
5) バイオポリウレタン(bio-PU)
2.2 注目の新規バイオプラスチック
1) バイオポリアミド10T(bio-PA10T)…ゼコット®(ユニチカ)
2) イソソルバイド系バイオポリカーボネート(bio-PC)…デュラビオ®(三菱化学)、プラネクスト®(帝人)
3) ポリエチレンフラノエート(PEF)…Avantium(蘭)
3.第二世代ポリ乳酸時代の幕開け
3.1 第一世代ポリ乳酸(1.4% < %D)に残された技術的課題
3.2 第二世代ポリ乳酸…高L組成ポリ乳酸(High %L PLA), %D < 0.5%
1) NatureWorks社Ingeo®…New High Performance Grades
2) 海生生物材料股份有限公司(HISUN)REVODE®…高光学純度グレード
3.3 D体含量(共重合比, %D)が結晶化挙動(結晶化速度、結晶化度、融点、成形加工性)に及ぼす影響
3.4 第二世代ポリ乳酸に期待される主な改良効果
1)2軸延伸フィルム、繊維、不織布…寸法安定性(低熱収縮率)、強度、耐熱性
2) 射出成形…成形加工性、耐熱性、経時変化(2次結晶化)防止
3) 真空・圧空成形…成形加工性、耐熱性
3.5 ポリ乳酸の新規用途/市場…シェールガス採掘用資材、3Dプリンター、壁紙
4.熱可塑性プラスチック(主として結晶性高分子)の成形加工性
4.1 成形加工とは…融点から室温への急冷による固化(ガラス化又は結晶化)
4.2 成形加工性に影響を及ぼす因子…ガラス転移温度(Tg)と結晶化速度(kc)
1) 高分子特性、例えば分子量…溶融粘度vs. 分子量; 結晶化速度vs.分子量
2) 変形(伸長、ずり)速度…例えば、糸質強度、弾性率、熱収縮率vs.紡糸速度
3) 冷却速度(100~103 ℃/min.)…結晶化速度、結晶化度、結晶化温度vs.冷却速度
4.3 高分子の古典的結晶化理論…結晶核形成速度と結晶成長速度
4.4 結晶性ポリマーの成形加工工程における結晶化挙動
1) Melt Crystallization…押出成形、射出成形、ダイレクトブロー成形
2) Cold Crystallization…真空・圧空成形、ビーズ発泡成形、射出・延伸ブロー成形
4.5 DSCによる等温結晶化挙動の解析
1) 結晶化速度パラメータ(ts, t1/2, te; kc)の算出
2) 最も結晶化速度が速い結晶化温度(Tc)
5.最終製品の要求性能を満足する材料設計技術…ポリ乳酸を具体例として
5.1 ポリ乳酸主体系…ポリ乳酸(PLA)+添加剤
1) 可塑・柔軟性…可塑剤又は耐衝撃性向上剤
①Aタイプ(相溶性が良好):PLA Tg低下→柔軟化(強度・剛性低下)
②Bタイプ(相溶性が適度):PLA Tg変わらず→強度・剛性維持
2) 耐熱性、成形加工性…結晶化促進剤、マルチ機能改質剤、反応性改質剤
①結晶核形成…造核剤(固体分散型から溶解型の透明核剤まで)、架橋剤
②結晶成長…可塑剤(A, B両タイプ)
3) 耐久性(耐加水分解性)…カルボキシル末端基封鎖剤
4) 難燃性…リン系難燃剤その他
5) ガスバリア性…ガスバリア材との積層・複合化
6) グリーンコンポジット…セルロースナノファイバー等との複合化
5.2 ポリマーブレンド・アロイ系…ポリ乳酸(PLA)+異種ポリマー+相溶化剤
1) 異種ポリマー…難燃性、耐衝撃性、成形加工性、柔軟性、透明性
2) 相溶化剤…界面構造制御、界面接着性、分散ドメインサイズ、結晶化制御
5.3 製品設計とイノベーション
1) 破壊的イノベーションと持続的イノベーション
2) イノベーションのジレンマ…技術革新が巨大企業を滅ぼす時
6.質疑応答…ケース・スタディ
○ 結晶性ポリマー成形品の耐熱性を支配するのは融点か、それとも結晶化速度か?
○ 成形品の寸法安定性が悪い(高い熱収縮率、経時変化)原因は何か?
○ 成形品のエージングによる経時劣化(収縮、反り、失透等)が起こる原因は?
○ PLAは生分解性プラスチックでありながら、なぜ長期耐久性構造材料としても用いられるのか?
○ PLAの基本特性(強度、弾性率)を失うことなく耐熱性と耐衝撃性を同時に向上させることは可能か?
○ PLAの透明耐熱性を実現する上で有効な溶解型の透明核剤とは?
○ ポリ乳酸(PLA)は生分解性でありながら、なぜカビや細菌が取り付き難いのか?
○ ステレオコンプレックス型ポリ乳酸(sc-PLA)が本命となり得なかった理由は?
○ 最も研究開発の歴史の古い微生物ポリエステル(PHA)系が未だ本格的に実用化されない理由とは?
○ 巨大市場のシェールガス採掘用途に最適の生分解性プラスチックは何か?
○ 高ガスバリア性と耐熱性のポリエチレンフラノエート(PEF)ボトルは、将来PETボトルを制するか?
○ イソソルバイド系バイオポリカーボネート(bio-PC)は独自の新規市場を開拓し得るか?
○ 次世代スーパーエンプラとして呼び声高いバイオポリアミド10T(bio-PA10T)は、
近い将来既存の石油系高耐熱性ポリフタルアミド(PPA)を駆逐するか?
○ PLAは石油系ポリスチレン(OPS, PSP, EPS)市場を全面的に置き換え得るか?
○ バイオプラスチックとセルロースナノファイバー(CNF)との複合材料(グリーン・コンポジット)の
当面する(永遠の?)技術的課題とは?
○ これだけ盛んなアカデミアの研究成果にほとんど実用化例がないのは何故か?
○ イノベーションとは顧客のニーズに応えることなのか、それとも顧客にないニーズを創発することなのか?
□質疑応答・名刺交換□