自動車技術のスペシャリストと、知財・特許・技術動向分析のスペシャリストが、
自動車業界の行方・方向性を定める大きな要因、環境対応規制と自動車の関係に迫る。
自動車への環境対応規制は、有害排出物に対する規制から始まり、近年は二酸化炭素をはじめとする地球温暖化物質排出量規制へと、その重点が移ってきている。しかも有害排出物規制ではゼロエミッション車が求められ、二酸化炭素排出量規制では企業毎の平均排出量が規定されるようになるため、個別の対応技術だけでなく、商品ラインアップ戦略も重要となってきている。
1.環境対応規制
1.1 自動車にかかわる規制
1.2 有害排出ガス規制動向とその対応技術動向
1.3 燃費(二酸化炭素排出量)規制動向とその対応技術動向
1.4 今後の規制
1.5 規制対応開発社内体制
2.パワートレイン技術
2.1 エンジンの基礎研究
2.2 ガソリンエンジンの開発
2.3 ディーゼルエンジンの開発
2.4 パワートレイン総合開発
3.車両技術
3.1 走行抵抗の低減
3.2 軽量化
3.3 車両総合技術冷暖房
(燃費以外にも排出にかかわる。ブレーキダスト石綿も、HC排出も、製造時=LCAも)
4.長期展望に対応した技術開発
4.1 次世代自動車、試験モード対応とリアルワールド
4.2 改良技術
4.3 代替燃料
1) ガス燃料
2) 合成燃料
3) 水素燃料
4.4 電動化
1) ハイブリッド
2) 電池自動車
3) 外部給電電気自動車
5.環境対応商品戦略
□質疑応答・名刺交換□
自動車メーカーの主戦場は米国市場であり、とりわけ新車登録数の約1割を占めるカリフォルニア州がZEV(Zero Emission Vehicle)規制を先導している。2013年12月には、カリフォルニア州に賛同する7州が加わった。これら8州の新車登録台数は米国の約25%を占めており、自動車メーカーはZEV対応を余儀なくされている。したがって、ZEV(特には、クレジット制度)の存在がEV(Electric Vehicle)やHV(Hybrid Vehicle)、さらにはPHV(Plug-in Hybrid Vehicle)やFCV(Fuel Cell Vehicle)の製品化を促したといえる。ZEV規制は世界的な潮流であり、欧州のEuro 6.0規制、中国版ZEVおよび中国電動百人会の存在があり、日本にも独自の自動車排出ガス規制が存在する。 2014年6月には、TeslaがEV特許の無償開放を行い、2015年1月にはトヨタがFCV関連特許の条件付き期間限定無償開放と水素ステーション関連特許の無償開放を行った。 自動車メーカーは、技術開発成果でZEVという社会規制に対応すると同時に、特許権までを活用した市場開発競争を進めている。
1.世界の自動車に対する環境規制動向
・各国/地域の燃費規制/排出ガス(CO2、NOx、その他有害物質)
2.カリフルニア州が主導するZEVとは?
・「米国8州」が結束 ~米国新車登録台数の約25%を占める市場
・クレジット制度の存在 ~ペナルティを設け、ZEVを推進
・HVも規制対象に ~2018年車(2017年夏以降販売)から
・今後は中堅メーカー車も規制対象に
・ZEV普及計画 ~11のアクションプラン
3.自動車メーカーの環境規制対応策
・軽量化での燃費/CO2規制対応促進 ~高張力鋼板・Al/Mg材料・CFRPの採用
・市場で先行するEVを追うFCV ~航続距離:EV<FCVの現状
4.トヨタの選択とその背景
・FCV市場投入で米国ZEVに対応+FCV関連特許の開放 ~HV:ZEVではない!
・FCV関連特許の条件付き期間限定無償開放 ~事業における先行者利益の確保
・水素ステーション関連特許の無償開放 ~社会インフラ普及の加速
・「特許無償開放」の提案者は?
・特許無償開放は事業戦略を反映 ~新規参入 v. 既存大手(Tesla v. トヨタ)
5.事業を支える特許の存在
・HV:トヨタにも特許係争の歴史あり
・EV:リチウムイオン電池の技術進歩と普及が加速
・FCV:Ballard Power Systems特許を乗り越えろ!
6.ZEV規制は米国だけではない!
・欧州:Euro6.0 ~欧州自動車メーカーは対応に苦慮
・日本:排出ガス規制 ~各国/地域の規制との比較
・中国:中国版ZEVと中国電動百人会 ~深刻化する都市の大気汚染
7.各国/地域のZEV規制を意識した、自動車メーカーの事業戦略
・日本市場に愛されるHV ~2015年にホンダと日産は日本市場に本格投入
・中堅メーカー:ZEV対応技術開発が負担に? ~大規模企業の傘下入りも選択肢
・米国/欧州市場:航続距離延伸を狙うEV v. 水素ステーション普及を目指すFCV
8.まとめ
□質疑応答・名刺交換□