UV硬化技術の利用における、最適な過程と結果に必要な、現場の総合知識を学習!
1.はじめに
UV硬化技術とはどのような技術か。この技術の有用性、メリットとデメリット。
原理と方法(光源、配合物(フォーミュレーション)および用途(応用))
(この項ではUV硬化の原理と技術について、応用(塗料、接着剤、インキ、フォトレジストなど)との関連で紹介する)
2.光源の選択
2.1 紫外線(UV)の選択
2.2 光源:
高圧水銀ランプとメタルハライドランプの選択(クリヤーコートと印刷インキ)
最近登場したUV-LED(UV発光ダイオード)(単一波長395,385および365nm)の長所と短所
2.3 光の波長、強度の理解とUV硬化における活用法
(この項では光源について、i)光の特徴 ii)用途と光源の選択 について解説する)
3.UVラジカル硬化
3.1 光開始・熱硬化反応の特長:硬化速度を上げるための方法
3.2 開始剤の選択(硬化速度を決める材料):
開始剤がなぜ必要か、光源とのマッチングとは何か、短波長硬化と長波長硬化の違いと利用法
[例:紫外線吸収剤共存下でのUV硬化(耐侯性硬化物)、着色物のUV硬化など]
3.3 モノマーおよびオリゴマーの選択(硬化物の物性を決める材料の選定方法)
1) 高分子の構造とセグメント運動(硬い硬化物と軟らかい硬化物の設計法)
(応用例:クリヤーハードの設計、粘着剤の設計など)
2) モノマーおよびオリゴマーの構造と選択法
3) 硬化収縮とその対策:オリゴマー、デンドリマー、ハイパーブランチポリマーの利用
4) 酸素硬化阻害対策法:添加物の利用(アミン、エーテル、シランなど)チオール・エンUV硬化法
5) UV硬化物の黄変と硬化物の耐候性
(現在、UV硬化の主流はUVラジカル硬化である。この項では i)UVラジカル硬化の原理・特長の解説
ii)光源と開始剤の選択法 iii)フォーミュレーションの選択法について紹介する。
さらに、i) 酸素の硬化阻害 ii) 硬化収縮 iii) 密着不良など,技術面での課題の対策法について解説する)
4.UVカチオン硬化:酸素共存下でも利用できる硬化法
4.1 UVカチオン硬化の長所と欠点:UVラジカル硬化と比べてどのような利点があるのか、最近の動向はどうなっているのか
4.2 開始剤(光酸発生剤)からの酸発生機構と重合開始活性について
4.3 モノマー(エポキシ化合物)の構造と硬化性
4.4 素反応と硬化機構
4.5 硬化速度の加速法:増感剤の利用、モノマーの選択(オキセタン、ビニルエーテルの併用など)
4.6 UVカチオン硬化の応用:離型紙の表面加工、光ゾルーゲル法のハードコートへの応用など)
(UVカチオン硬化はエポキシ化合物、オキセタンなどUVラジカル硬化では硬化できないモノマーの硬化が可能で、
酸素の硬化阻害がない、硬化収縮度が低い、接着性が良好などの特徴がある。実用化に当たっての
UVカチオン硬化の長所と短所について解説する)
5.UVアニオン硬化:新しいUV硬化法の提案
5.1 UVアニオン硬化の意義
5.2 光塩基発生剤の開発動向
5.3 UVアニオン硬化の実用化:現状と展望
瞬間接着剤、感光性ポリイミド、塗料など
(UVアニオン硬化は現在開発が進行中の硬化系である。開始剤はかなり開発されているが、
用途例はまだ一般的でなく、チオール‐エポキシ系などが典型的な例で、これからの展開が期待されている。
その現状と展望について紹介する)
6.UV-LED硬化法の特長と現状(低温硬化のメリットとデメリット)
6.1 単一波長の光を放射するUV-LEDの開発と硬化法への活用
6.2 印刷およびインクジェットインキの乾燥、塗料での活用の現状
(UV硬化の光源は高圧水銀ランプ、メタルハライドランプが主に利用されてきたが、UV-LED(UV発光ダイオード)の
出力が上がりUV硬化でも利用できるようになりその利用が広がっている。光源としては395,385,および365nmを
放射するものが利用されている。しかし、光源の選択は用途との関連が重要である。
その現状と展望について紹介する)
7.硬化過程の追跡法と硬化物の評価
7.1 硬化過程の追跡
1) RT(リアルタイム)-FTIRによる硬化過程の追跡
2) Photo-DSC(光熱分析法)による硬化過程の追跡
3) レーザーラーマン分光分析を利用する硬化度の解析
4) 製造工程におけるリアルタイム硬化追跡法
i) 近赤外反射法を利用するリアルタイム硬化追跡法
ii) 蛍光を利用する硬化過程の追跡法
(UV硬化がどの程度進行しているか、目的とする硬化度は達成されているかなど、硬化過程(in-situ)で
硬化の程度を知りたいという生産プロセス上での要望がある。この項では、硬化過程を追跡する方法として
1)モデル実験での分析法と 2)in-situ(製造プロセス)での追跡法について紹介する)
7.2 硬化物の評価(ハードコートの評価)
1)指触法
2)ラビングテスト:耐溶剤摩耗性(メチルエチルケトンなど)
3)鉛筆硬度(基板の硬度に注意)
4)密着試験(クロスカット試験)
5)ユニバーサル硬度:フィッシャー硬度計(微小圧子によるへこみの程度評価と弾性率評価)
(硬化物の評価法について塗料を中心に物性評価の方法を紹介する)
8.デュアル硬化法:光があたらないところの硬化(光と熱、光と湿気の利用)
(UV硬化法の欠点は光が当たらないところは硬化しないことである。光が当たらないところでも
硬化が求められることがある。ここでは、実用化された例を含めて光と熱を中心に
デュアル(二方式)硬化およびハイブリッド(混成活性種(ラジカルとイオン種))硬化について紹介する)
9.UV硬化塗膜と基板との密着について(基礎的な考え方と具体例)
1) 表面張力からみた塗料と基材相互作用:ぬれ
2) 溶解パラメーターからみた塗膜の密着しやすさ
3) 具体例でみるUV硬化塗膜と基材との密着性:プラスチック、金属、無機材料 など
4) 硬化収縮と対策
5) 基材とUV硬化塗膜の密着性をよくするために考慮すべきこと
(基材との密着を考慮してUV硬化塗料の選択したいとき、知っておくべき原理と具体的例について紹介する)
10.おわりに:
RadTech Asia 2016 (Tokyo) (第14回紫外線・電子線硬化技術国際会議)にみる最近の動向と
今後の展望(特に、UV-LEDの話題)について紹介する。
11. 参考文献