~乗り心地のよい自動車の音とその作り方~
自動車NVH(※1)開発において、旧来の騒音振動対策に収まらない課題への取組が求められ、積極的な音の利用を目指した「サウンドデザイン」の重要性が増している。本講座では、自動車におけるサウンドデザインの基礎として、車室内環境における音の重要性と設計の必要性を整理する。サウンドデザインのためには、その音質を評価する技術が不可欠であり、実例を交えながらその実施上の注意やtipsを紹介する。
1.自動車のサウンドデザイン
1.1 車室内の音環境
1.2 音知覚とマスキング
1.3 サウンドデザイン~音の価値の積極的な利用・活用~
1.4 新たな価値創造としての音色創出
1.5 機能性サウンド(サイン音)の設計と活用
2.音質評価技術
3.1 代表的な主観評価法
3.2 音質評価指標
3.3 主観評価実験の実際
3. 総括
□ 質疑応答 □
車室内の音環境リデザインを考えるに当たり、運動知覚を重要な車両全体性の1つと捉え、知覚認知メカニズムを考えた「情報性」をエンジン音にデザインすることを提案する。比較的長い時間間隔での知覚である加速過程や短い過渡的な状態で知覚されるエンジン状態の情報性を高める音質の音響構造について、DSP(デジタルシグナルプロセッサー)による合成の試聴を交えて紹介する。そして、ASCによる空間的な音像移動も実現した実車での収録音も紹介する。また、ヒトと車両のインタラクションを高める役割を考えた新たな音響や車内音デザインの原点を広い視点から考え、将来に向けた成熟した音環境を考える機会としたい。
1.加速感のゲシュタルト
1.1 知覚感覚の全体性
1.2 他感覚(視覚と聴覚)の感覚統合
1.3 神経生理学的な見地
2.エンジン音の情報性
2.1 加速運動の情報
2.2 音源情報とジェスチャーインターフェイス
3.エンジン音の情報性音色デザイン
3.1 音色構造の再構築
3.1.1 運動知覚の音響構造
3.1.2 音源知覚の音響構造
3.2 音色の微細構造
4.インタラクションを高める新たな音響
4.1操作と結合する音
4.2 sonicからsocialへ
5.音響と存在 ~車内音響デザインの目的地に向けて~
5.1 音響合成の端緒とメルロ・ポンティの現象学
5.2 音響の全体性への役割とハイデガーの存在論
□ 質疑応答 □
※ 質疑応答後に実車サイズのスペースの前後にスピーカーを配置してASCの再現デモを行う予定です(20分~30分程度
遮音・吸音の基礎理論をわかりやすく紹介し、その事例として、エンジンで発生した音がエンジンルーム内で音響増幅、さらに一重壁パネル、内装材を透過し、車室内に侵入するメカニズムと対策について解説する。さらに、車室内に侵入した音の拡散を吸音シート、吸音天井の開発により防止し、車内騒音低減に成功した事例を紹介する。
1.遮音・吸音基礎理論
1.1 ①制振、②吸音、③遮音の概要と自動車での適用方法
1.2 遮音理論の基礎、吸音理論の基礎をわかりやすく紹介
1.3 自動車の車内騒音寄与度解析結果
2.音響増幅防止による車内音改善
2.1 エンジンルーム内の音響増幅と車内音
2.2 共鳴型サイレンサーの開発事例
3.一重壁パネルの遮音性改善
3.1 ステフネス、質量則(マスロー)、コインシデンスと透過損失
3.2 エンジンカバーの遮音性改善事例
4.内装材の遮音性改善
4.1 カーペット、フェルトなどの振動伝達比と車内音低減効果
4.2 共振型カーペット(遮音材)の開発事例
5.吸音対策
5.1 室定数と車内音低減効果、室定数測定方法
5.2 吸音シート、吸音天井の開発事例
□ 質疑応答 □