電極特性やその安全性の向上に寄与する活物質の表面の被覆・改質技術。本セミナーではいくつかの事例を示しながら、特性・安全性向上のメカニズムおよび今後の研究開発のヒントを示唆する情報を提供します。
今後も大きな成長が見込まれる二次電池の分野では、高性能化や低コスト化のみならず、安全性や信頼性、耐久性の確保が求められる。 本講演では、電池高性能化と利用技術の進展、表面技術と粉体技術などについて取り上げ、電池材料への表面被覆や改質処理によって、電極特性の向上や安全性に寄与することを紹介する。
1.二次電池の多様化と次世代蓄電池への要求
2.水系電解質二次電池
2.1 水酸化ニッケルのコバルトコート
2.2 流動層カーボンコート技術によるニッケル水素電池のレアメタルフリー化
2.3 水素吸蔵合金のマイクロカプセル化技術
2.4 電解析出法によるカーボンファイバーの活物質被覆
2.5 電力インフラ用加圧水素二次電池
3.非水電解質二次電池
3.1 正極活物質や集電体へのカーボンコートと電池特性
3.2 正極の表面コート技術と水系バインダ
3.3 水系バインダに適したスラリーの混合技術
3.4 加圧炭酸中和技術と炭酸リチウムの被覆
3.5 電解液とSEI形成
3.6 合金系負極
3.7 無機系バインダを被覆した電極の開発
3.8 負極の電子伝導性と釘刺し安全性
4.まとめと今後の展望
□ 質疑応答 □
現在、EVなどに向けた次世代二次電池を見据え、リチウムイオン電池をベースとして数分以下で急速充電するための技術開発が急がれている。 これまで講師らのグループでは、高い比誘電率を有する誘電体酸化物を活物質と電解液の界面に導入することで、セルの出力特性が大幅に改善されることを見出している。誘電体界面がリチウムイオン電池の出力特性を向上させるメカニズムについて、誘電体や強誘電体に関する基礎的な知識を交えながら詳しく解説する。
1.リチウムイオン電池の出力改善に向けて
1.1 出力特性の決定要因
1.2 出力改善のための既往研究
2.誘電体界面による出力特性の向上
2.1 誘電体と誘電分極
2.2 正極材への誘電体界面の適用
2.3 誘電体界面による出力改善メカニズム
2.4 負極材への適用
3.低温における出力改善
3.1 誘電率における温度依存性
3.2 誘電率の測定法とサイズ効果
3.3 出力特性と誘電率の関係
4.まとめ
□ 質疑応答 □