【第1部】 高速・微小領域における液体物性計測 –インクジェットと物理-
[13:00~14:30]
【講演趣旨】インクジェットをはじめとして、現在マイクロメートルオーダーの大きさの液体を扱うプロセスが盛んに産業へと応用されています。しかしその典型的な時間スケールはマイクロ秒のオーダーであり、プロセスを支配する表面張力や粘性などの基本的な物理量をこの時間領域で計測することはいまだに困難、あるいはほぼ不可能です。講演では微小液滴を生成する物理プロセスや、上記の基本的な物性値の超高速計測法について解説します。さらに空中で微小液滴をハンドリングする新しい技術についても紹介し、インクジェットの将来像を考えます。
【講演項目】
1. 微小液滴生成の物理
1-1. 微小液滴生成を支配する物理量
1-2. 表面の微分幾何学
1-3. 表面粘弾性と表面現象
1-4. 分子拡散と表面吸着
1-5. 表面緩和現象
1-6. 微小液滴と濡れ現象
2. 高速・微小領域の液体物性計測法
2-1. 液滴吐出・飛翔現象の観察法
2-2. マイクロ秒分解能表面張力計測
2-3. 表面張力変化のモデリング
2-4. 薄膜の粘弾性計測
2-5. リプロン光散乱とMHz域表面スペクトロスコピー
2-6. 非平衡系のゆらぎと表面現象
3. インクジェット技術の応用
3-1. 液滴の空中操作
3-2. 液滴の空中融合
3-3. 液滴の安定空中捕獲
3-4. 複合液滴の作製とその保存
3-5. 超安定化液滴生成・輸送
【第2部】 親水/疎水パターンにおける液滴形状予測と最近のプリンタブルエレクトロニクスの取り組み
[14:45~16:15]
【講演趣旨・説明】本講演では、主にプリンタブルエレクトロニクスにおいて重要となる親水/疎水微細パターン基板上へのインク液滴の濡れ広がりを高速かつ高精度に予測するためのシミュレーション技術について紹介します。また、印刷技術がエレクトロニクスに利用されている例として、最近の高移動度有機トランジスタ開発の動向について紹介します。
【講演項目】
1. 背景
1.1. プリンテッドエレクトロニクス
1.2. 各種印刷法
2. インク液滴形状のシミュレーション技術と高精度予測
2.1. 親水/撥水処理パターニング
2.2. インクの重ね塗り
2.3. ナビエ・ストークス方程式によるシミュレーションの問題点
2.4. エネルギー最小化法によるシミュレーションの課題
2.5. 最急降下法と直接探索法
2.6. ハイブリッド法
2.7. 収束性の比較
2.8. シミュレーション結果の検証
2.9. 実験結果との比較
2.10. シミュレーションソフト「HyDro」の紹介
3. エレクトロニクスへの応用
3.1. 有機トランジスタの最近の進展
3.2. 塗布有機トランジスタを用いたRFIDタグの試作