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リチウムイオン二次電池の充電率推定が注目されています。電池で利用可能なデータは電流と端子電圧だけであり、それらの情報から電池の充電率を何らかの方法で推定する必要があります。電池を、入力が電流で出力が端子電圧であるシステムとみなすと、システム工学の成果であるシステム同定とカルマンフィルタを適用することが可能になります。
本講義では、電池をシステム同定によってモデリングする方法を紹介します。つぎに、電池の充電率を状態量であるとみなすと、カルマンフィルタと呼ばれる状態推定理論を適用することができます。そこで、カルマンフィルタの基礎理論についてできるだけ平易に解説し、電池への適用法について説明します。
1. はじめに:電池のためのシステム工学の全体像
2. システムのモデリング
2.1 システムの記述
2.2 モデリングの方法
2.3 システム同定
2.3.1 システム同定モデル
2.3.2 離散時間システム同定法
2.3.3 連続時間システム同定法
2.4 電池のモデリング
2.4.1 電池の等価回路モデル
2.4.2 物理化学現象を考慮した電池のモデリング
2.4.3 システム同定による電池のモデリング
3. システムの状態推定
3.1 カルマンフィルタによる状態推定
3.1.1 時系列のモデリング
3.1.2 最小二乗推定
3.1.3 線形カルマンフィルタ
3.1.4 非線形カルマンフィルタ
3.2 電池の状態推定
3.2.1 さまざまな充電率推定法
3.2.2 カルマンフィルタを用いた充電率推定
4. まとめ