第1部 相分離法による高分子のナノ多孔化と応用技術 -ナノ結晶化を中心に-
10:30~11:50
相分離現象は高分子膜・多孔体の作製法として広く利用されています。本講演では、多孔化技術における相分離の活用例を紹介し、特に講演者が開発したナノ結晶化相分離法を中心に解説します。独自の着眼点により溶媒結晶サイズを劇的に微細化し、簡便な工程で汎用高分子のナノ多孔化を実現することができます。
1. 相分離現象と多孔化技術
1.1 相分離機構の分類
1.2 液・液相分離と固・液相分離(結晶化)
1.3 結晶化過程の基礎
1.4 相分離による細孔形成の要点
2. ナノ結晶化相分離法
2.1 高分子のナノ多孔化技術と結晶テンプレート法
2.2 高分子溶液の急速凍結過程-ガラス化・ナノ結晶化
2.3 恒温変態曲線(TTT曲線)
2.4 ナノ結晶化法によるメソ多孔体の作製工程
2.5 メソ多孔体の細孔構造と細孔径制御
2.6 応用展開1-階層的細孔構造
2.7 応用展開2-ナノ粒子担持ハイブリッド材
2.8 応用展開3-ナノ多孔性シートと分離膜特性
第2部 ブロックコポリマーの自己組織化を利用した多孔膜の作製
12:35~13:55
ブロックコポリマーは分子の大きさ(10~100 nm)程度の大きさのドメインを作り相分離することが知られ、ミクロ相分離と呼ばれている。ブロックコポリマーの自己組織化により形成されるドメイン構造をナノ多孔性高分子材料の作製にどのように利用するか、また、ナノ多孔性高分子材料がどのような性質を有するかについて解説する。
1. はじめに
2. 超臨界流体を利用したポーラス材料
2.1 超臨界多孔化プロセス
2.2 超臨界多孔化プロセスの限界
3. ナノ発泡の導入
3.1 ブロックコポリマーテンプレート
3.2 ナノドメインに拘束された発泡
4. ナノ多孔薄膜
4.1 薄膜での多孔化の難しさ
4.2 ブロックコポリマーテンプレートによるナノ多孔薄膜
5. ナノ多孔薄膜の応用
5.1 低屈折率化による反射防止膜
5.2 その他の可能性
第3部 延伸による多孔フィルムの作製技術と応用
14:05~15:25
リチウムイオン電池(LiB)用のセパレータフィルム成形方法である『延伸開孔法』において、微多孔形成に及ぼす結晶構造と延伸条件の影響をバッチ式二軸延伸機にて検討した。また、連続式テスト機を用いて、LiB用セパレータフィルムを成形し、電池特性の評価を行うことでバッチ式二軸延伸機の結果の妥当性行った。
1. リチウムイオン電池(LiB)用の微多孔フィルム成形手法について
2. 微多孔シート成形について
2.1 シート成形手法
2.2 シートの延伸特性の評価
2.3 シートの結晶配向性の評価
3. バッチ式小型延伸機による微多形成の条件の検討
3.1 微多孔形成に及ぼす結晶構造および延伸特性の影響
3.2 微多孔形成に延伸条件の検討
(1) 低温延伸
(2) 高温延伸
4. テスト装置での検証
4.1 成形した微多孔フィルムの評価
4.2 電池特性の評価
第4部 クレーズによる多孔高分子フィルムの作製技術と特徴
15:35~16:55
分子サイズの孔からスポンジのようなマクロな孔まで、素材の多孔性と無関係な用途はありません。高分子の多孔材料は、溶剤抽出法や延伸法によるものが大多数ですが、ここでは破壊の初期現象を利用したクレージング法について解説します。新規な方法ながら、独特な機能を持ち、コスト的にも有利な方法です。
1. クレーズとは
1.1 クレーズが生じる高分子と生じない高分子
1.2 簡易なクレーズ制御法とは
2. ナノ多孔フィルムによる光学的異方性と光学フィルムへの応用
2.1 制御したクレーズによる異方光散乱
2.2 視界制御性フィルムへの応用
3. ナノ多孔フィルムの透過性と電池セパレーターへの応用
3.1 気体透過性の制御
3.2 リチウムイオン電池セパレーターへの応用
4. ナノ多孔フィルムによる薬剤カプセル化と徐放性
4.1 後処理による孔径制御
4.2 機能剤の複合と徐放性
5. ナノ多孔フィルムによるマイクロバブル(微細泡)の発生と表面処理
5.1 微細泡の発生
5.2 微細泡による高分子の表面処理