■第1部: ホイップクリームにおける乳化剤の機能と利用技術 (10:30-12:00)
Ⅰ.食品エマルションの基本構成
Ⅱ.食品用乳化剤の構造と機能
Ⅲ.乳化安定の理論
1.O/W乳化物の安定性に影響を及ぼす因子
2.各因子と乳化剤の関係
Ⅳ.ホイップクリーム 起泡メカニズム
1.ホイップクリームにおける品質・機能要求
2.各要求に対する各乳化剤の役割
3.ホイップクリームの評価
① ホイップ前、ホイップ時、ホイップ後
② オーバーランカーブについて
ホイップクリームは、流通時には液状で乳化が安定していなければなりませんが、ホイッピング時には適度な速度で乳化が壊れ(解乳化)、含泡が進まなければならい相反した性質が要求される食品です。この要求を満たすためには、乳化安定、解乳化に働く乳化剤を組み合わせて用いることが不可欠です。本講では、ポイップクリームの構造、求められる機能とそれに対する様々な乳化剤の機能を紹介します。
■第2部: ホイップクリームの構造観察と物性評価 (13:00-17:15)
~製造時の品質モニタリングへの応用~
Ⅰ.ホイップクリームの構造観察
1.食品の構造観察法の概要
2.3次元構造の2次元的観察と3次元的観察の比較考察
3.X線μCTによる3次元構造観察
① X線μCT法の概説
② 観察の手順と留意点
③ 3次元データ解析法
④ 事例紹介:天ぷら衣中の空隙・油の3次元分布
⑥ 事例紹介:ホイップクリーム中の空隙・乳脂肪分布
Ⅱ.ホイップクリームの物性評価
1. 粘弾性による物性評価
① 準静的粘弾性と動的粘弾性
② 粘弾性測定法の概説
③ ホイップ過程の動的粘弾性の変化
2.超音波・音響法による物性評価
① 超音波法,音響法の概説
② 音響法によるホイップ過程のオーバーラン実時間測定
③ ポリトロープ指数によるホイップクリーム物性評価の試み
④ 超音波による凍結過程の実時間測定法
3.電気的特性による物性評価
① 食品の電気的特性について
② 電気インピーダンス・誘電特性測定によるオーバーランの測定
③ 誘電特性測定による氷結率の測定
Ⅲ.音響法を用いたデモ実験
1.クリームの起泡過程モニタリング
2.多孔質食材(泡沫,パン,紛体)のキメ評価
3.その他
★紹介する観察・物性評価手法について★
X線μCT: 前処理不要な上、無侵襲で食品の内部構造を3次元的に観察できます
超音波・音響法と電気的特性測定法: 製造工程で刻々変化する空隙特性などをモニタリングできます
ホイップクリームの構造観察と物性評価について具体例を挙げながら解説します。構造観察については、前処理なしに内部構造を3次元的に観察可能なX線μCTによる空隙や油脂分布の測定法を紹介します。物性評価については、粘弾性の基礎的な考え方をわかりやすく解説するとともに、製造中に刻々変化する物性変化を実時間で把握可能な超音波・音響法や電気的特性測定法について紹介します。最後に、簡単な装置構成で測定可能な音響法のデモ実験を行います。