★ 環境調和型で人体にも安全な「水」を溶媒とした有機合成反応!
★ 水中での有機合成を可能とする触媒・反応系について最新知見を解説!
★ 生体内で化合物合成や化学修飾を行う「触媒医療」への応用にも注目が集まる!

水中有機合成の開発動向
Development Trends of Organic Reactions in Water

商品概要
個数

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略称
水中有機合成
商品No
bk7842
発刊日
2022年03月31日(木)
ISBN
978-4-7813-1663-5
体裁
B5判、319頁
価格
62,700円 (本体価格:57,000円)
送料
当社負担(国内)
発行
(株)シーエムシー出版
問い合わせ
Tel:03-5857-4811 E-mail:info@rdsc.co.jp 問い合わせフォーム
監修
小林修、北之園拓
著者
小林修  東京大学
北之園拓  東京大学
盧方遒  東京大学
小玉晋太朗  大阪府立大学
小川昭弥  大阪府立大学
古川翔一  京都大学
藤田健一  京都大学
小峰伸之  東京農工大学
小島隆彦  筑波大学
吉沢道人  東京工業大学
小池隆司  日本工業大学
酒井望  山形大学
野尻亮真  山形大学
植田佳世  山形大学
川口正剛  山形大学
寺島崇矢  京都大学
橋床亜伊瑠  東京大学
鈴木教之  上智大学
楊 錚  上智大学
吉見泰治  福井大学
伊津野真一  岐阜工業高等専門学校
佐々木裕哉  豊橋技術科学大学
清水研一  北海道大学
満留敬人  大阪大学
中島清隆  北海道大学
久田智也  東京大学
田中知成  京都工芸繊維大学
北條恵子  神戸学院大学
朴昭映  大阪大学
杉山弘  京都大学
菅恵嗣  東北大学
馬越大  大阪大学
和田健彦  東北大学
荘司長三  名古屋大学
有安真也  名古屋大学
愛場雄一郎  名古屋大学
加藤俊介  大阪大学
林高史  大阪大学
河野正晴  京都大学
浜地格  京都大学;JST ERATO
岩井篤志  東京大学
幅﨑美涼  東京大学
金井求  東京大学
発刊にあたって
 最先端テクノロジーを支えているファインケミカルの生産では、水に敏感な合成反応が多用されるためプロセス開発が複雑化し、有機溶媒に由来する厖大な量の廃棄物が環境問題を引き起こしてきた。また、生体内での標識や機能性分子の複合化を図るケミカルバイオロジーが勃興して久しいが、有機合成化学を活用する上で水中での有機合成技術は必須である。このような背景から、次世代の有機合成の中核として、水中での有機反応には産業界・学術界双方から熱い視線が送られている。

 水中有機化学反応の醍醐味の一つは、有機溶媒中では見られない反応性・選択性である。水中では多くの有機化合物は溶解しないため、一般には有機溶媒を用いた均一系に比べると反応の進行には不利だが、無触媒条件下、水中での特異な反応加速現象が見出されている。

 本書を通じ、水中有機化学反応に対する理解が進み、基礎学理構築に向けた研究推進の契機となれば幸いである。             

(本書「刊行にあたって」より一部抜粋)
書籍の内容

<水溶性触媒>

第1章 不斉有機触媒による水中有機反応
1 序論
2 不斉有機触媒による水中のアルドール反応
3 不斉有機触媒による水中のマイケル付加反応
4 不斉有機触媒による水中のマンニッヒ反応
5 不斉有機触媒による水中での環化付加反応
6 不斉有機触媒を用いるその他の水中反応
7 まとめと今後の展望

第2章 遷移金属触媒によるアルコールおよびアミンの水中酸化反応
1 はじめに
2 アルコールからカルボニル化合物への触媒的酸化反応
3 アミンからイミンへの触媒的酸化反応
4 おわりに

第3章 イリジウム錯体による水中触媒反応
1 はじめに
2 触媒的水素移動過程に基づく含窒素化合物のアルコールによるN-アルキル化反応
 2.1 水溶性イリジウム錯体触媒を用いたアンモニア水のアルコールによるN-アルキル化反応
 2.2 水溶性イリジウム錯体触媒を用いた各種アミンのアルコールによるN-アルキル化反応
 2.3 含窒素複素環カルベン(NHC)配位子を有する水溶性イリジウム錯体触媒を用いたアンモニア水を窒素源とする第一級アミン合成
3 触媒的脱水素過程に基づくアルコールからカルボニル化合物への変換反応
 3.1 機能性ビピリジン系配位子を有する水溶性イリジウム錯体触媒を用いた水中でのアルコールの脱水素化反応
 3.2 機能性NHC配位子を有する水溶性イリジウム錯体触媒を用いた水中でのアルコールの脱水素化反応
 3.3 機能性ビピリジン系配位子を有するイリジウム錯体触媒を用いたエタノール水溶液の脱水素化による酢酸合成
4 おわりに

第4章 水溶性配位子を用いる水中金属触媒反応
1 はじめに
2 TPPTSを配位子とする水溶性パラジウム触媒を用いたアリルアルコールによるアリル化反応
 2.1 Pd(OAc)2/TPPTS触媒によるチオールのアリル化
 2.2 水溶性η3-アリルパラジウム錯体の合成とチオールとの量論的反応
 2.3 Pd(OAc)2/TPPTS触媒による水/有機溶媒二相系における攪拌効果
 2.4 Pd(OAc)2/TPPTS触媒による水/有機溶媒二相系でのチオールのアリル化の反応機構
 2.5 Pd(OAc)2/TPPTS触媒を用いたアリルアルコールによる種々のアリル化反応
 2.6 [RhCl(1,5-cod)]2/PTA触媒を用いた水/有機溶媒二相系におけるアリル化反応
3 ヒドロキシメチル基を有する水溶性ホスフィンを配位子とする水溶性遷移金属錯体による水/有機溶媒二相系触媒反応
 3.1 ヒドロキシメチル基を有する水溶性ホスフィンを配位子とする水溶性遷移金属錯体によるα,β-不飽和アルデヒドの選択的水素化反応
 3.2 1,2-ビス(ジヒドロキシメチルホスフィノ)エタンを配位子とする遷移金属錯体による水/ベンゼン二相系でのα,β-不飽和イミンの選択的水素化
4 まとめ

第5章 高原子価金属-オキソ錯体による水中酸化反応
1 水中における金属-アクア錯体のPCET酸化による高原子価金属-オキソ錯体の生成
2 水溶液中での高原子価ルテニウム-オキソ錯体による基質酸化反応
3 水溶液中でのRu(Ⅳ)=O錯体による基質酸化の反応機構に関する考察
4 N-ヘテロ環状カルベンを有するRu(Ⅱ)-アクア錯体を触媒とする水溶液中での基質酸化反応
5 水中での光触媒的酸化反応
6 鉄錯体を触媒とする水溶液中での基質酸化反応
7 まとめ

第6章 金属錯体/有機光触媒を内包した水溶性カプセル触媒
1 はじめに
2 金属錯体ホストを利用した水溶性カプセル触媒
3 芳香環ミセルとその分子内包能
4 マンガンポルフィリン錯体によるスチレンエポキシ化反応
5 フェノキサジン光触媒によるピナコールカップリング反応
6 ジアミノナフタレン光触媒によるWeinrebアミドの還元反応
7 おわりに

<乳化・コロイド・ミセル技術>

第7章 水系不均一重合
1 はじめに
2 水系不均一系重合法の分類
3 高分子微粒子の分散安定化
4 水中ミセル(共)重合
5 乳化重合
6 ソープフリー乳化重合および反応性乳化剤
7 マイクロエマルション重合
8 ミニエマルション重合
9 ミニエマルション重合によるハイブリッドポリマー微粒子の合成
10 分散重合法
 10.1 マクロモノマーを用いた微粒子合成
 10.2 分散重合による微粒子核形成機構と微粒子径制御
11 おわりに

第8章 水中でのリビング重合と両親媒性高分子の自己組織化
1 はじめに
2 リビングラジカル重合の種類
3 水中でのリビングラジカル重合
 3.1 ルテニウム触媒によるATRP
 3.2 鉄触媒によるATRP
 3.3 銅触媒によるATRP
4 水中リビングラジカル重合による精密高分子合成
 4.1 マルチブロック共重合体
 4.2 超高分子量体
 4.3 ミクロゲル星型ポリマー
 4.4 タンパク質との結合
5 両親媒性ブロック共重合体の合成と重合誘起自己組織化(PISA)
6 水中での両親媒性ランダム共重合体の制御自己組織化
7 まとめ

第9章 ルイス酸-界面活性剤一体型触媒
1 序論
2 LASC開発の背景
 2.1 水中で安定なルイス酸の発見
 2.2 界面活性剤の添加
3 LASCの開発
 3.1 LASCの設計
 3.2 LASCの合成
 3.3 向山アルドール反応による活性検討
 3.4 LASCが形成する反応場
4 スカンジウム系LASCを用いた水中反応
 4.1 三成分系Mannich型反応
 4.2 ヒドロキシメチル化
 4.3 Michael反応
 4.4 インドールのFriedel-Crafts型共役付加反応
 4.5 Nazarov型反応
 4.6 Friedländerキノリン合成
 4.7 アリル化反応
 4.8 インドールによるメソエポキシドの不斉開環反応
5 スカンジウム以外の金属由来のLASCを用いた反応
 5.1 金属カチオンによる反応性・選択性の変化
 5.2 種々のLASC
6 LASCの高機能化
 6.1 回収・再使用可能なLASCの開発
 6.2 カーボンナノチューブを用いたLASCの高機能化
7 まとめと今後の展望

第10章 温度応答性ミセルを用いた水中での触媒的有機反応
1 水を反応媒とする有機反応
2 温度応答性ミセルの合成
3 L-プロリンを固定化した温度応答性ポリマー
 3.1 有機触媒としてのプロリン
 3.2 プロリン固定化温度応答性ジブロックコポリマーの合成と温度応答性挙動
 3.3 L-プロリン固定化温度応答性ポリマーを用いた不斉交差アルドール反応
 3.4 触媒ポリマー水溶液の再利用
 3.5 水層からの抽出効率
4 温度応答性ポリマーを用いる水中でのパラジウム触媒反応
 4.1 水中での金属触媒を用いた有機反応
 4.2 錯体触媒に用いた温度応答性ジブロックコポリマー
 4.3 抽出効率の検討
 4.4 薗頭反応の検討
5 まとめ

第11章 光応答性界面活性剤を利用した水中有機光反応
1 イントロダクション
2 有機光反応について
3 水中における光応答性界面活性剤を用いた光反応
4 安息香酸ナトリウム誘導体とアリルアルコールとの水中における光反応
5 カルボン酸の光脱炭酸反応および太陽光の利用
6 まとめ

第12章 高分子固定化不斉触媒による水中有機反応
1 はじめに
2 水中反応に用いられる高分子固定化不斉触媒
3 構造制御型高分子固定化不斉触媒
4 機能性高分子固定化不斉触媒
5 おわりに

<非水溶性固体触媒>

第13章 疎水性ゼオライトによる水中有機反応
1 緒言
2 エステルの加水分解
3 エポキシド・アルキンの水和反応
4 おわりに

第14章 リン化金属ナノ粒子触媒による環境調和型水中還元反応
1 はじめに
2 水素化反応用非貴金属ナノ粒子触媒の課題
3 リン化コバルトナノロッド触媒
 3.1 カルボニル化合物の水中還元的アミノ化反応
 3.2 Co2P NRsの安定性と活性発現因子
4 リン化ニッケルナノ粒子触媒
 4.1 ニトリル及び芳香族ニトロ化合物の水中水素化反応
 4.2 カルボニル化合物の水中水素化反応―担体との協働触媒効果―
 4.3 バイオマス変換への応用1:糖類から糖アルコールへの水中水素化反応
 4.4 バイオマス変換への応用2:フラン誘導体からの水中ジケトン合成
5 おわりに

第15章 4族,5族遷移金属酸化物触媒による水中有機反応
1 はじめに
2 含水ニオブ酸によるフルフラール合成
3 リン酸処理酸化チタン(Phosphate/TiO2)によるHMF合成
4 まとめ

第16章 不溶性金属塩触媒を用いた水中有機反応
1 序論
2 不溶性銅塩を触媒とした水中有機反応
 2.1 Cu(OH)2による水中での不飽和カルボニル化合物に対する不斉ホウ素化
 2.2 Cu(acac)2による水中での不飽和カルボニル化合物に対する不斉ケイ素化
 2.3 Cu(OH)2によるヒドラゾノエステルとアレニルボロン酸の付加反応
 2.4 Cu2OまたはCuIによるアンモニア水溶液中での芳香族アミノ化反応
3 不溶性無機ルテニウム塩を触媒とした水中有機反応
 3.1 Ru(OH)x/Al2O3による水中でのニトリルの水和
 3.2 Ru(OH)x/Al2O3によるフェノール類の酸化的カップリング反応
 3.3 Ru(OH)x/hydrotalciteによる5-ヒドロキシメチルフルフラールの酸化反応
4 不溶性無機銀塩を触媒とした水中有機反応
 4.1 Ag2Oを用いたアリルシランによるアルデヒドのアリル化反応
5 不溶性無機タングステン酸塩を触媒とした水中有機反応
 5.1 二核ペルオキソタングステン酸塩によるアリルアルコールのエポキシ化
6 総括

<生体関連>

第17章 糖鎖高分子の水中保護基フリー合成
1 はじめに
2 糖担持モノマー重合法による糖鎖高分子合成
 2.1 従来の糖担持モノマー合成
 2.2 糖鎖高分子の水中ワンポット合成
3 重合後修飾法による糖鎖高分子の水中合成
 3.1 活性エステル担持ポリマーを用いる糖鎖高分子合成
 3.2 水溶性活性エステル担持ポリマーの開発と水中での糖鎖高分子合成への利用
4 おわりに

第18章 水中ペプチド固相合成法の開発
1 はじめに
2 水溶性保護アミノ酸を用いる水中固相合成法
3 界面活性剤を用いる水中固相合成法
4 水分散型Fmoc保護アミノ酸ナノ粒子を用いる水中固相合成法
 4.1 水分散型Fmoc保護アミノ酸ナノ粒子を用いる水中固相合成法
 4.2 マイクロ波水中迅速ペプチド固相合成法の開発
5 おわりに

第19章 DNA触媒を用いた水中有機反応
1 はじめに
2 超分子集合型DNAハイブリッド触媒
3 不均一DNAハイブリッド触媒
4 モジュラーDNAハイブリッド触媒
5 リガンドフリーDNA金属触媒
6 グアニン四重鎖DNAハイブリッド触媒
7 アミノ酸DNAハイブリッド触媒
8 まとめと今後の展望

第20章 リポソーム膜界面を利用する水中有機反応
1 はじめに
2 アミノ酸を触媒とする水中有機反応の性質
3 反応場として見たリポソーム膜界面
4 リポソーム膜界面を場とするL-Pro触媒反応
 4.1 Aldol縮合反応
 4.2 Michael付加反応
5 まとめ

第21章 超分子を用いた水中有機光反応 ―生体高分子をキラル反応場として活用した超分子不斉光化学系の開発を中心として:環境調和型不斉合成法の開発を目指して―
1 はじめに
2 タンパク質などを不斉反応場とする超分子不斉光化学反応
3 ウシおよびヒト血清アルブミンと2-アントラセンカルボン酸の基底状態相互作用
4 ウシおよびヒト血清アルブミンを不斉反応場とするアントラセン誘導体の不斉光環化二量化反応
5 おわりに

第22章 デコイ分子によるシトクロムP450BM3の反応制御と水中での高難度水酸化反応
1 デコイ分子の開発
2 次世代デコイ分子の開発
3 第三世代デコイ分子の改良とデコイ分子進化
4 菌体を用いる反応系

第23章 水中で触媒する人工金属酵素
1 人工金属酵素
2 人工金属酵素の指向性進化法への応用
3 人工金属酵素と天然酵素との協働触媒反応

第24章 天然タンパク質の化学修飾による機能化
1 はじめに
2 試験管内における天然タンパク質の化学修飾
 2.1 官能基選択的な化学修飾法
 2.2 近接効果を利用した部位特異的な化学修飾
3 生細胞内におけるタンパク質修飾
 3.1 リガンド指向性化学
 3.2 アフィニティ駆動型触媒化学
4 リガンド指向性化学の応用例
 4.1 天然タンパク質のバイオセンサー化,及びリガンドスクリーニングへの展開
 4.2 不可逆阻害剤への展開
5 おわりに

第25章 触媒医療に向けた細胞や個体で機能する化学触媒
1 はじめに
2 染色体ヒストンアシル化触媒
3 アミロイド酸素化触媒
4 おわりに

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