★自動車業界で話題の“CASE”が目指す「快適で豊かな移動体験」を実現するための重要な要素である“静粛性”!
★自動車の電動化に伴い顕在化するロードノイズや風切り音への対策は?
★制振・遮音・吸音材料の開発,それら材料の性能予測,次世代自動車での静粛性対策,最近実用化されつつある音響メタマテリアルについて解説!

自動車の静粛性向上材料の最新動向
Latest Trend in Materials for Improving Automotive Noise Reduction

商品概要
個数

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略称
静粛性向上材料
商品No
bk7967
発刊日
2025年09月24日(水)
ISBN
978-4-7813-1877-6
体裁
B5判、184ページ
価格
64,900円 (本体価格:59,000円)
送料
当社負担(国内)
発行
(株)シーエムシー出版
問い合わせ
Tel:03-5857-4811 E-mail:info@rdsc.co.jp 問い合わせフォーム
監修
黒沢良夫
著者
沢良夫   帝京大学 
山口誉夫   群馬大学 
田中茂樹   日本ダイニーマ㈱;元 東洋紡㈱
加藤大輔   ㈱HOWA 
大久保 信  ヘンケルジャパン㈱ 
田淵 聡   ㈱神戸製鋼所 
小助川陽太  三井化学㈱ 
羽山秀和   ㈱KRI 
武田英己   大豊精機㈱ 
見坐地一人  日本大学 
中川 博   三井化学㈱ 
宮本光亮   日本音響エンジニアリング㈱
山本崇史   工学院大学 
松村修二   群馬大学 
寺島 修   岐阜大学    
祖父江祐太  岐阜大学 
後藤健吾   岐阜大学 
原 崇文   ㈱日立製作所 
森 浩一   大阪公立大学
白田真也   富士フイルム㈱ 
赤坂修一   東京科学大学
発刊にあたって
近年,自動車業界は,「CASE」と呼ばれる100年に1度の変革期を迎えています。「CASE」は以下の4つの言葉の頭文字をとったものです。
  Connected(コネクテッド):通信技術で車内外の情報とつながる
  Autonomous(自動運転):AIやセンサーで人が運転しない
  Shared & Service(シェアリング&サービス):車を所有せず利用する
  Electric(電動化):ハイブリッド車や電気自動車への移行
 CASEの中でも電動化(Electric)の進展は,自動車の静粛性向上に大きな影響を与えています。エンジンのない電気自動車(EV)は,エンジン音という従来の主要な騒音源がなくなるため,これまで相対的に目立たなかったロードノイズ(タイヤと路面の摩擦音)や風切り音が顕在化し,新たな静粛性向上の課題となっています。
 これに対応するため,自動車メーカーや防音材メーカーや素材メーカーは,軽量かつ高効率な吸音材や遮音材の開発に力を入れています。例えば,発泡ウレタンや特殊な繊維を組み合わせた吸音材が,車内の天井やフロア,ドアパネルなどに採用され,不要な音を吸収しています。また,窓ガラスには,中間層に特殊なフィルムを挟んだ合わせガラスが広く使われるようになり,コインシデンス効果による遮音性能の落ち込みを防いでいます。
 さらに,タイヤメーカーも静粛性向上に尽力しています。タイヤ内部にスポンジや特殊な構造体を組み込むことで,走行中に発生する共鳴音を抑制する技術が実用化されています。また,タイヤの溝を工夫することで溝の空洞共鳴によるピーク周波数の対策などを行っています。これらの技術は,静粛性向上による乗員の快適性を高めるだけでなく,自動運転における「動くオフィス」や「動くリビング」といった新たな車内空間の価値を高める上でも不可欠です。静粛性は,CASEが目指す「快適で豊かな移動体験」を実現するための重要な要素であり,今後も技術開発がすすんでいくと考えられます。
 上記を踏まえ,本書籍は以下の様に構成されています。第1章「自動車用制振・遮音・吸音材料の開発」では,自動車の制振技術,不織布吸音材や特殊な素材を用いた吸遮音材について述べています。第2章「自動車用吸音・遮音材料の性能予測」では,自動車防音材の性能予測技術について説明しています。第3章「次世代自動車」では,電動化による振動騒音現象と対策技術について述べています。第4章「音響メタマテリアル」では,最近多方面で実用化されつつある音響メタマテリアルについて説明しています。

帝京大学
黒沢良夫
書籍の内容

第1章 自動車用制振・遮音・吸音材料の開発
1 自動車の制振技術
 1.1 ロードノイズと制振・防音対策
 1.2 制振材積層構造の基本特性
 1.3 ビードパネル+制振材
 1.4 曲面パネル+制振材
 1.5 車体パネルの設計
2 自動車用不織布吸音材
 2.1 はじめに
 2.2 不織布吸音材の吸音・遮音メカニズム
 2.3 吸音材用不織布の種類と製造方法
 2.4 不織布吸音材の設計方法
 2.5 代表的な不織布吸音材の性能と特徴
 2.6 新しい吸音材のトレンド
  2.6.1 異素材(ウレタンチップ,粉末材,フィルムなど)との複合材料
  2.6.2 リサイクル技術
  2.6.3 その他環境対策
  2.6.4 モジュール化による軽量化・コストダウン
 2.7 まとめ
3 ノイズキャンセリング機能を有する防音材料の開発
 3.1 はじめに
 3.2 開発した防音材料の概要
  3.2.1 開発品の防音構造
  3.2.2 開発品の根源となった技術
 3.3 実験的検討結果
  3.3.1 平板試料の音響透過損失
  3.3.2 フィルムと遮音材の振動速度
  3.3.3 車両音響評価
 3.4 開発品の消音メカニズム
  3.4.1 2×2行列の伝達マトリックス法
  3.4.2 開発品の周波数応答関数
  3.4.3 フィルムと遮音材の理想的な振動形態
 3.5 まとめ
4 高減衰材料による自動車車室内騒音の低減
 4.1 自動車の車室内騒音低減についての対策
  4.1.1 車体の軽量化に基づく,車室内騒音対策への高まる要求
  4.1.2 軽量化と車室内騒音対策の両立の実例(高減衰マスチック
     TEROSONⓇHDF)
  4.1.3 車室内騒音因子
  4.1.4 車室内騒音対策
 4.2 制振,剛性のメカニズム
  4.2.1 高分子鎖モデル
  4.2.2 スプリング-ダッシュポットモデル
 4.3 高減衰構造接着剤「TEROSONⓇ(テロソン)HDSA」
  4.3.1 高減衰構造接着剤とは
  4.3.2 TEROSONⓇHDSAの工程
 4.4 まとめ
5 微細多孔板を用いた吸音技術
 5.1 緒言
 5.2 微細多孔吸音板の吸音特性の予測手法
 5.3 逐次近似最適化
 5.4 多目的最適化による微細多孔吸音板の設計例
 5.5 結言
6 熱可塑性ポリオレフィンを用いた制振材料の開発
 6.1 はじめに
 6.2 オレフィン系熱可塑性ポリマー『ABSORTOMERⓇ』の特徴
 6.3 ABSORTOMERⓇEP-1001とEPDMとの複合化事例
  6.3.1 材料物性と動的粘弾性特性
  6.3.2 制振性
 6.4 おわりに
7 シリカエアロゲル/セルロースナノファイバー複合材の軽量遮音材への応用
 7.1 はじめに
 7.2 シリカエアロゲルについて
 7.3 セルロースナノファイバーについて
 7.4 シリカエアロゲル/CNF水分散液および複合材
 7.5 軽量遮音材
 7.6 おわりに
8 ナノファイバー吸音材 ブレアエイド(Blaraid)
 8.1 はじめに
 8.2 吸音材の繊維径について
 8.3 吸音材としての開発ターゲット
 8.4 ナノファイバーと不織布の組み合わせ
 8.5 製品,商品としての組み合わせ・コーディネート
 8.6 製品ターゲットとしてのバランス調整
 8.7 吸音材料としての可能性
 8.8 今後の期待 吸音材の発展

第2章 自動車用吸音・遮音材料の性能予測
1 自動車防音材における高周波音響特性の予測技術
 1.1 はじめに
 1.2 繊維質多孔質防音材のモデル化
 1.3 吸音率αと透過損失の求め方
  1.3.1 剛壁背面の場合の吸音率α(ω)
 1.4 SEA 法による高周波音響予測
 1.5 音場の内部損失率DLF(ηi)と音場間の結合損失率CLF(ηij)の求め方
  1.5.1 吸音率と透過損失を用いた求め方
  1.5.2 パワー注入法による求め方
 1.6 まとめ
2 吸音・遮音性能の評価および予測技術
 2.1 吸音性能の測定方法
  2.1.1 垂直入射吸音率
  2.1.2 残響室法吸音率
  2.1.3 その他の測定方法
 2.2 遮音性能の評価方法
  2.2.1 ランダム入射透過損失
  2.2.2 垂直入射透過損失
 2.3 吸音・遮音性能の予測技術
  2.3.1 多孔質材料
  2.3.2 積層材料
3 音響材料の数理モデルとシミュレーションによる性能予測・設計
 3.1 空間形状と音場
 3.2 単純な空間形状における音響伝播
  3.2.1 自由空間における平面波伝播
  3.2.2 粘性の影響と実効密度
  3.2.3 熱伝導の影響と実効体積弾性率
  3.2.4 ミクロな空間形状とマクロな実効物性
 3.3 音響材料・構造の数理モデル
  3.3.1 多孔質材料
  3.3.2 Helmholtz共鳴器
 3.4 数値シミュレーションによる音響性能の予測と設計の例
  3.4.1 伝達マトリクス法
  3.4.2 音響材料の性能予測・最適設計
4 ケルビンセルを用いたウレタンフォームの吸音解析
 4.1 はじめに
 4.2 計算手法と有限要素モデル
  4.2.1 計算手法
  4.2.2 有限要素モデル
 4.3 計算結果
 4.4 おわりに

第3章 次世代自動車
1 次世代自動車の振動騒音と防音材
 1.1 はじめに
 1.2 ナノファイバー
 1.3 天然繊維
 1.4 吸音材のマルチスケールシミュレーション
 1.5 音響メタマテリアル
2 EV化で留意したい騒音と対策
 2.1 はじめに
 2.2 ガソリン車とEVの騒音要因比較
 2.3 ロードノイズ対策
  2.3.1 入力部での対策
  2.3.2 振動の伝達部
  2.3.3 放射部での対策
 2.4 EV特有の振動騒音
  2.4.1 モータ騒音
  2.4.2 径方向電磁力
  2.4.3 周方向電磁力
  2.4.4 インバータのキャリア電磁力
  2.4.5 回転偏心による振動
  2.4.6 油圧ポンプ(エンジン車のマスターバックに代わるもの)
  2.4.7 その他のEV騒音
 2.5 EVでも厳しい車外騒音規制強化の動き
  2.5.1 従来の規制値と新試験法
  2.5.2 タイヤ単体騒音
3 車両電動化により顕在化する騒音・振動への対策
 3.1 はじめに:車両電動化によって変わる騒音・振動環境
 3.2 EVで顕在化する騒音・振動の事例
 3.3 空調機(HVAC)からの騒音の解析と対策
 3.4 バイオミメティクスを活用した材料開発と振動低減技術
 3.5 人の感性に基づいたシート振動やロードノイズの低減
 3.6 今後の展望と課題
4 電動車向けパワートレインにおける振動・騒音の発生要因と改善手法
 4.1 はじめに
 4.2 永久磁石モータの電磁力による振動・騒音の発生メカニズム
 4.3 電動パワートレインのシミュレーション技術
  4.3.1 エネルギー・NV 連成シミュレータ
  4.3.2 キャリア電磁騒音の発生周波数予測技術
 4.4 電磁力による振動・騒音の低減手法
  4.4.1 電気角2次の径方向電磁力による振動・騒音の低減手法
  4.4.2 空間高調波起因の周方向および径方向電磁力の脈動による振動・ 
      騒音の低減手法
  4.4.3 時間高調波起因の周方向および径方向電磁力の脈動による振動・
      騒音の低減手法
 4.5 電磁力による振動・騒音の詳細な低減手法
  4.5.1 低減手法例1:モータ設計による周方向・径方向電磁力の低減
  4.5.2 低減手法例2:円環4次成分の位相反転による振動の低減
  4.5.3 低減手法例3:キャリア波の位相シフトによる振動の低減
 4.6 おわりに

第4章 音響メタマテリアル
1 音響メタマテリアルの基礎理論と近年の研究開発動向
 1.1 音響メタマテリアルとは
 1.2 騒音遮蔽技術の基礎
  1.2.1 質量則
  1.2.2 ストップバンド型音響メタマテリアルによる騒音遮蔽の基礎原理
 1.3 音響メタマテリアルのこれまでの研究開発事例
 1.4 自動車への応用
2 音響メタマテリアルの遮音解析
 2.1 はじめに
 2.2 テストピースの計測結果と計算結果
  2.2.1 計算手法
  2.2.2 テストピースとFEモデル
 2.3 実験結果と計算結果
  2.3.1 同じフェルトの積層位置で穴構造の違いによる比較
  2.3.2 同じ穴構造でフェルトの積層位置の違いによる比較
  2.3.3 同じ穴構造・フェルトの積層位置でゴム層の有無の違いによる比較
 2.4 おわりに
3 遮音性能向上を実現する音響メタマテリアル
 3.1 はじめに
 3.2 ヘルムホルツレゾネーターを用いた一重壁音響メタマテリアル
 3.3 ヘルムホルツレゾネーターの底面を薄膜化した二重壁音響メタマテリアル
 3.4 まとめ
4 空気を通して低周波音を防ぐ音響メタマテリアル防音構造の開発
 4.1 概要
 4.2 背景と目標
 4.3 実験方法
  4.3.1 音響測定方法
  4.3.2 音響設計方法
  4.3.3 サンプル作製法
 4.4 結果と考察
  4.4.1 HMAMsの透過損失と低周波遮音特性
  4.4.2 低周波遮音のメカニズム解明
  4.4.3 近接場音領域での干渉と音響制御
 4.5 まとめ
5 Locally resonant型音響メタマテリアルの遮音材料への適用
 5.1 はじめに
 5.2 音響メタマテリアル
  5.2.1 音波の伝播挙動
  5.2.2 負の有効質量密度
  5.2.3 負の体積弾性率
  5.2.4 バンドギャップ
 5.3 Locally resonant型音響メタマテリアルの遮音材料への適用
 5.4 おわりに

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