乳化技術とエマルションの安定性・評価技術

※受付を終了しました。

通信講座概要
略称
乳化
通信講座No.
ce150205
開催日
2015年02月12日(木)
講師
(株)ミルボン 中央研究所 開発顧問 理学博士 堀内 照夫 氏
(元)ライオン研究開発本部、明星大学総合理工学部 非常勤講師
価格
[一般価格]
1名で受講した場合:  50,906円 (本体価格:46,278円)
2名で受講した場合:  50,906円 (本体価格:46,278円)
3名で受講した場合:  66,000円 (本体価格:60,000円)
4名以上で受講した場合の1名あたり追加金額:  22,000円 (本体価格:20,000円)

[会員価格]
1名で受講した場合:  50,906円 (本体価格:46,278円)
2名で受講した場合:  50,906円 (本体価格:46,278円)
3名で受講した場合:  66,000円 (本体価格:60,000円)
4名以上で受講した場合の1名あたり追加金額:  22,000円 (本体価格:20,000円)
スケジュール
※請求書は第1講のテキスト配本時に同封し、お送りいたします。

2月12日(木) 第1講 テキスト配本
3月12日(木) 第1講 演習問題回答締切(必着)  第2講テキスト配本
4月13日(月) 第2講 演習問題回答締切(必着)  第3講テキスト配本
5月12日(火) 第3講 演習問題回答締切(必着)
5月29日(金) 修了書送付
趣旨
通信教育講座「乳化技術とエマルションの安定性・評価技術」を開講するにあたって、各単元の講義の狙い、並びに講義項目について紹介したい。
乳化技術は化粧品、食品、医薬品、農薬、エネルギー、燃料といった異業種産業分野で、重要な基盤技術の一として育成・拡充され、発展してきた。
本講義では、これらの異業種産業間で転移性の高い技術―乳化剤(界面活性剤)の物理化学的性質、乳化剤の選択法、乳化技術および乳化製剤の安定性評価―を抽出し、その基礎から応用までを解説することで、異業種産業分野の第一線で活躍中の研究・技術者、また、乳化を専門としない最前線での技術者にとっても、乳化の手引きとなるように心がけた。以下に、講義の狙いと講義項目を紹介する。
プログラム

第1講 界面活性剤(乳化剤)の物理化学的性質

界面活性剤(乳化剤)は一分子の中に性質の異なる親水基と疎水基の構造要素を兼ね備えた両親媒性化合物である。この界面活性剤は、例えば、乳化製剤調製の場合、油/水界面に吸着し、その界面張力を低下させ、油を細粒化しやすくし、かつ水相へ均一に分散し、生成したエマルション粒子の安定化に重要な役割を担っている。乳化技術を理解するためには、乳化過程並びにエマルション粒子の安定性に深く関わっている乳化剤(界面活性剤)の物理化学的性質について理解することが重要である。第一講においては、界面活性剤を乳化剤として使用するとき、界面活性剤(乳化剤)の化学構造の何に注目したらよいのか、また、界面活性剤の化学構造を変化させるとその物理化学的性質がどのように変化するのかについて詳細に解説する。

1.界面活性剤(乳化剤)の特徴と性質
  1-1 界面活性剤(乳化剤)の分類と性質
   (1)アニオン界面活性剤
   (2)カチオン界面活性剤
   (3)非イオン界面活性剤
   (4)両性界面活性剤
  1-2 界面活性剤(乳化剤)機能発現のため化学構造の何処に注目すべきか
  1-3 界面活性剤の溶解挙動
   (1)界面活性剤の溶解度曲線の物理化学的な意味とは
   (2)イオン性界面活性剤の溶存状態の指標値―クラフト点以上、以下での溶解性は?
   (3)非イオン界面活性剤の溶存状態の指標値―曇点以上、以下での性状は?
  1-4 界面活性剤の表面張力―濃度曲線の測定からなにがわかるのか?
  1-5 界面活性剤の分子集合状態
   (1)界面活性剤の濃度と溶媒の極性を変えるとその分子集合状態はどのように変化するのか?
   (2)界面活性剤の化学構造要因によってその分子集合体はどのように変化するのか?
  1-6 界面活性剤の機能を高めるためには
   (1)臨界ミセル濃度(cmc)の測定法
   (2)臨界ミセル濃度に対する界面活性剤のアルキル鎖長および官能基の影響
   (3)臨界ミセル濃度に対する添加剤の影響(塩、アルコール等)
   (3)臨界ミセル濃度に対する温度の影響
   (4)ミセル成長および会合数
  1-7 高濃度界面活性剤分散液の高次分子集合体
   (1)ヘキサゴナル液晶
   (2)ラメラ液晶
   (3)キュービック液晶

第2講 乳化剤の選択法(The HLB Systemを中心として)

 
乳化製剤の調製において、乳化剤の選択はきわめて重要である。膨大な数の乳化剤の中から、注目している被乳化油性基材に対して、最適な乳化剤を短期間で選択できる手法があれば大変便利である。この様な要求に対して、これまでにいくつかの有用な手法が提案されてきた。第二講においては、乳化技術開発の推移ならびに乳化技術に関わる留意事項について概説したのち、乳化技術過程で、乳化剤の選定並びに乳化法について解説する。乳化剤の選択法として、HLB方式を中心に解説する。そして、さらに、選択された候補乳化剤を用いて、被乳化油性基材をどのように乳化すればよいかを物理的(機械的)乳化方式並びに物理化学的乳化方式観点から詳細に解説する。

2.乳化
  2-1 乳化とは
  2-2 乳化剤の種類と乳化形態
   2-2-1 天然界にみる乳化形態の多様性
   2-2-2 粘土物質を乳化剤とした乳化形態
   2-2-3 微粒子の付着を利用した乳化形態―Picker Emulsion
   2-2-4 界面活性剤を乳化剤とした乳化形態
    (1)O/W, W/O型エマルション
    (2)複合(多相)エマルション
    (3)無水エマルション
    (4)発色エマルション
    (5)ゲルエマルション
    (6)リピッドマイクロスフェア
    (7)リポソーム(ベシクル)
  2-3 各産業分野における主なエマルション製剤の特徴とその技術課題の概要
  2-4 乳化技術開発の推移
  2-5 乳化製剤の製造において留意しなければならにことは?
  2-6 HLB方式による乳化剤の選択とその最適化をどのようにすべきか?
    (1)乳化剤(界面活性剤)の分類
    (2)無機系乳化剤
    (3)乳化剤のHLB値と主機能・外観
    (4)HLB方式による乳化剤を選択の手順
    (5)油剤の所要HLB値並びに混合油性基材の所要HLB値の求め方
    (6)乳化剤のHLB値並びに混合乳化剤のHLB値の求め方
  2-7 Daviesの式による乳化剤のHLB値の求め方
  2-8 有機概念図法による化学構造が既知の乳化剤のHLB値の求め方
  2-9 転相滴定法( phase inversion point; PIT) による未知の油性基材の所要HLB値の求め方
  2-10 油性基材をどのように乳化したらよいか?
   2-10-1 物理的(機械的)乳化方式
    (1)乳化機の種類と特徴
    (2)高圧ホモジナイザーとほかの乳化機との性能比較
    (3)シラス多孔質ガラス膜乳化法(SPG法)
    (4)電気毛管現象による乳化法
   2-10-2 物理化学的乳化方式
    (1)乳化剤の添加方法
    (2)転相乳化法
    (3)D相乳化法
    (4)転相温度乳化法
    (5)ゲル乳化法
    (6)液晶乳化法
  2-11 低エネルギー乳化法

第3講 エマルションの安定性評価法並びに物性評価法

 エマルションの安定性・物性評価技術は乳化製剤の外観の維持、製品の安定性を予測するために重要である。エマルションの安定性は1)物理的な要因、2)化学的な要因および3)微生物的汚染等の要因によって支配されている。最終回の第三講においては、エマルションの安定性評価技術の根底を流れる作用機構―エマルションの破壊過程および保存温度とエマルションの溶存状態(相図)―を解説したのち、安定評価の加速試験法についても言及する。さらに、エマルションの機能特性の評価に関わる物性評価技術について解説する。

3.エマルションの安定性評価技術
  3-1 エマルションの安定性評価
   (1)経日保存中におけるエマルションの物理的変化
   (2)経日保存中におけるエマルションの化学的変化
   (3)経日保存中におけるエマルションの微生物的汚染
  3-2 エマルションの破壊過程
   (1)クリーミング
   (2)凝集
   (3)合一
   (4)オストワルド熟成
  3-3 エマルション製剤の安定性加速試験法
   (1)保存温度とエマルション粒子の溶存状態
   (2)温度耐性試験法
   (3)遠心分離加速試験法
   (4)ζ-電位によるO/Wエマルションの安定性評価
   (5)誘電率法
  3-4 エマルションの物性評価技術
   (1)Bancroft則
   (2)エマルションの「型」の判別法
   (3)凍結割断法によるエマルション粒子の微細構造の観察
   (4)光子相関法によるエマルション粒子測定
   (5)スピンプローブ法ESRによるベシクル膜の微細構造
   (6)偏光顕微鏡観察による相状態の観察
   (7)熱分析によるエマルション中の水の様態
   (8)エマルションのレオロジー的性質
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