どう活用すればよいか?またその適用限界はどこか?多くの実例を踏まえて解説!

SP値・HSP値(溶解度パラメーター)の基礎と微粒子の分散安定化への活用術

※受付を終了しました。

通信講座概要
略称
SP値・HSP値
通信講座No.
ce180301
開催日
2018年03月20日(火)
講師
山口大学 名誉教授 工学博士 大佐々 邦久 氏
【専門】
化学工学,微粒子工学
価格
[一般価格]
1名で受講した場合:  50,906円 (本体価格:46,278円)
2名で受講した場合:  50,906円 (本体価格:46,278円)
3名で受講した場合:  66,000円 (本体価格:60,000円)
4名以上で受講した場合の1名あたり追加金額:  22,000円 (本体価格:20,000円)

[会員価格]
1名で受講した場合:  50,906円 (本体価格:46,278円)
2名で受講した場合:  50,906円 (本体価格:46,278円)
3名で受講した場合:  66,000円 (本体価格:60,000円)
4名以上で受講した場合の1名あたり追加金額:  22,000円 (本体価格:20,000円)
価格関連備考
1口2名まで49,980円(税込)
※同一法人より3名以上受講の場合、1名につき21,600円(税込)でご受講いただけます。
スケジュール
3月20日(火) 第1講 テキスト配本
4月20日(金) 第1講 演習問題回答締切(必着)  第2講テキスト配本
5月21日(月) 第2講 演習問題回答締切(必着)  第3講テキスト配本
6月21日(木) 第3講 演習問題回答締切(必着)
7月17日(木) 修了書送付
趣旨
“Like dissolves like”、「似たものは似たものを溶かす」ほど、溶解度パラメータ(SP値)を端的に表す言葉はないでしょう。一般にSP値が近い物質同士ほど、よく溶け合い、よく付き、よくぬれ(分散)ます。SP値は、初めHildebrandにより、非極性の正則溶液同士の溶解性の尺度として定義されましたが、その後、HansenはSP値を極性物質にまで拡張し、いわゆるHSP値を提案しました。その結果HSP値は溶解性のみならず、溶媒や樹脂中における微粒子のぬれ・分散性や付着性の評価にまで適用できるようになり、高分子や塗料業界など、多くの分野で不可欠のツールとなっています。
本講座では、まずSP値・HSP値の由来および高分子系における相分離や粒子分散系における凝集など、不安定現象との係わりについて述べます。次いで溶媒、高分子(油類を含む)および固体(膜を含む)など多種多様な材料を対象に、SP値・HSP値を含めて表面エネルギーや酸塩基特性など、重要なパラメータの最新の求め方をご説明します。これらのパラメータを活用し、主に溶媒・樹脂中における微粒子の分散安定化のための分散剤選択や表面改質について、最新の応用事例を踏まえ、基礎から分かり易くご説明します。
プログラム

第1講:SP値・HSP値の基礎とその計算法および測定法


【講座主旨と得られる知識】
分散系、分散媒中にそれとは溶け合わない物質が混在する系をいいますが、特に高分子や微粒子の分散系では、その不安定化が大きな問題となり、その現象を説明するために、SP値・HSP値が提案されたとも言えます。溶媒や高分子のSP値・HSP値については、様々な計算法や測定法が利用されていますが、粒子表面については、今一つよい方法がありませんでした。最近、粒子表面を含む多様な材料について、インバースガスクロマトグラフィーによる優れた測定装置が開発され、その辺は少し楽になりました。
・分散系の不安定化の要因
・SP値・HSP値の由来
・溶媒/高分子のSP値・HSP値の計算法と測定法
・粒子表面のSP値・HSP値の測定法 

【プログラム】
1.分散系の不安定性とその原因
  1.1 微粒子分散系の不安定性
  1.2 高分子系の溶解性と相分離現象
  1.3 界面活性剤溶液のミセル化
2.HildebrandのSP値とHansenのSP値(HSP値)の由来
  2.1 溶解・分散現象とGibbs自由エネルギー
  2.2 混合エンタルピーと相互作用パラメータ
  2.3 HSP値の考え方およびHildebrandのSP値との関係
  2.4 相互作用距離と相互作用球(Hansen球)
3.原子団寄与法による溶媒/高分子のSP値・HSP値の計算法
  3.1 Fedors法によるSP値の計算
  3.2 van Krevelen and Hoftyzer法によるHSP値の計算
  3.3 Hoy法によるHSP値の計算
  3.4 Stefanis-Panayiotou法によるHSP値の計算
  3.5 HSP値計算用ソフトウェアHSPiPとその利用
4.溶媒/高分子のSP値・HSP値の測定法
  4.1 インバースガスクロマトグラフィー法と測定例
  4.2 濁点滴定法による簡易測定
  4.3 Hansen法(試験溶媒、約20種類)と測定例
  4.4 二成分勾配法(同、約4種)と測定例
  4.5 拡張Hansen法(同、約20種類)と測定例
  4.6 固有粘度法(同、約6種類)と測定例
5.粒子表面のSP値・HSP値の測定法
  5.1 固体表面のSP値・HSP値について
  5.2 インバースガスクロマトグラフィー法と測定例
  5.3 凝集・沈降法による測定例
   5.3.1 遠心加速下での濁度・分散濃度法と測定例
   5.3.2 界面沈降速度法と測定例
   5.3.3 凝集粒子径や最終沈殿高さによる測定例
   5.3.4 Hansen球法によるデータ処理と問題点 

【演習問題・添削】
 

第2講 粒子分散系の特徴とSP値・HSP値/表面エネルギーの
分散安定化への活用法


【講座主旨と得られる知識】
微粒子を含む分散系は、従来の溶媒だけでなく、様々な添加剤を含む高分子溶液や高分子ブレンドを分散媒とする場合も増えたため、不安定化の原因も複雑で、分散系の中では一筋縄ではいかない系の代表でしょう。
SP値・HSP値は、微粒子分散系の分散安定化を調べる上で、溶媒、高分子および微粒子に渡る横断的なパラメータとして有効ですが、それだけでは不十分で、SP値の兄弟分に相当する表面エネルギーや酸塩基特性などもフル活用して問題解決に当たる必要があります。
・微粒子分散系の特徴
・粒子の表面エネルギーの測定法
・粒子表面のぬれ・分散化のための最適溶媒/樹脂の選択法
・粒子間に働く相互作用力と分散安定化に必要な条件

【プログラム】
1.微粒子分散系の特徴
  1.1 固体の表面構造と表面エネルギーの発現
  1.2 微粒子分散系の問題点
   1.2.1 粒子の微細化と不安定性
   1.2.2 粒子間距離と凝集速度
  1.3 微粒子の大きさ、分布および形状
  1.4 微粒子分散系の調製と分散安定化不良の原因
2.ぬれ・分散化のためのSP値・HSP値の活用
  2.1 ぬれと接触角および固体表面の親水性・疎水性
  2.2 ぬれ張力や接触角とSP値との関係
  2.3 Hansen球を用いたぬれ性評価と最適溶媒の選択
3.ぬれ・分散化のための表面張力/表面エネルギーの活用
  3.1 表面張力/固体の表面エネルギーと成分分け
  3.2 付着仕事と界面張力
  3.3 ぬれの三形態と溶媒・樹脂の選択への応用
4.表面張力/表面エネルギーの測定法
  4.1 表面張力と成分項の測定 
  4.2 接触角法による表面エネルギーと成分項の測定
  4.3 IGC法による表面エネルギー・成分項および不均一性の測定
5.微粒子間に働く相互作用力と分散安定化
  5.1 粒子間に働く様々な相互作用力
  5.2 van der Waals力とHamaker定数
  5.3 静電反発力とDLVO理論
   5.3.1 界面電気の発生と拡散電気二重層
   5.3.2 ゼータ電位と測定法
   5.3.3 静電反発ポテンシャルエネルギーと安定性
   5.3.4 非極性溶媒中の静電反発ポテンシャルエネルギー
  5.4 高分子分散剤による立体反発力とHVO理論 
   5.4.1 混合効果と体積制限効果
   5.4.2 立体反発ポテンシャルエネルギー
   5.4.3 Alexander & de Gennesの高分子ブラシモデル
   5.4.4 分散剤の最適添加濃度と枯渇現象
  5.5 非DLVO力と粒子間相互作用力の測定法
   (溶媒和力、疎水性引力、原子間力顕微鏡、光ピンセット)

【演習問題・添削】
 

第3講 分散安定化のための高分子/界面活性剤の選択と表面改質法


【講座主旨と得られる知識】
分散安定化を図る場合、工業的には溶媒・樹脂には選択の余地がなく、分散剤を添加するか、あるいは物理・化学的方法で粒子の表面改質をせざるを得ない場合も少なくありません。本講では、まず分散剤の選択指針について述べ、次いで粒子表面特性に合わせた表面改質法とその工業的応用例についてご説明します。最後に微粒子分散系の安定性評価法について纏めます。
 ・ 高分子分散剤/界面活性剤の種類と構造および選択指針
 ・分散安定化のための表面改質法
      ・各種パラメータによる表面改質評価と複合材料の調製への応用
      ・粒子分散系の安定性評価法

【プログラム】
1.分散剤の働きと選択指針
  1.1 分散剤の種類と構造
  1.2 高分子分散剤の選択指針
   1.2.1 最適構造
   1.2.2 最小吸着層厚さ
   1.2.3 相互作用パラメータと高分子鎖の広がり
  1.3 高分子分散剤の吸着特性
   1.3.1 分散剤・粒子表面のHSP値と吸着性との関係
   1.3.2 分散剤・粒子表面の酸塩基性と吸着特性
   1.3.3 分散剤・粒子表面の酸塩基強度の測定法
   1.3.4 酸塩基相互作用パラメータによる付着性評価
2.界面活性剤を用いた分散安定化
  2.1 界面活性剤の種類と構造
  2.2 HLB値の求め方とSP値との関係
  2.3 界面活性剤の吸着性と吸着等温線
  2.4 界面活性剤による親水化・疎水化
  2.5 自己組織化単分子膜を用いた分散技術
3.微粒子の分散安定化のための表面改質法
  3.1 物理・機械的方法
   (酸化法、照射法、マイクロカプセル法、無機物質被覆法)
  3.2 カップリング反応法と応用例
  3.3 グラフト反応法と応用例
4.表面改質度合いの評価と分散安定化への応用例
  4.1 SP値・HSP値による改質評価と複合材料開発への応用例
  4.2 表面エネルギーによる改質評価と応用例
  4.3 酸塩基特性による改質評価と応用例
5.粒子分散系の安定性評価法
  5.1 フロック径測定法
  5.2 凝集・沈降速度法
  5.3 レオロジー法

【演習問題・添削】
キーワード
溶剤,樹脂,プラスチック,ゴム,ポリマー,研修,通信教育
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