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第1講 溶解度パラメータ(3D,4DHSP値)の基礎と求め方
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【趣旨】
化合物のHSP値は概ね原子団寄与法で計算できますが,課題は手法による推算値の違いです。実測する場合,化合物では溶媒への溶解/膨潤性を,粒子では凝集・沈降性を調べ,データ処理はハンセン球を用いた図解法(3D)や拡張ハンセン法による数値解法(3D,4D)で行います。これら求め方を詳述した上で,各手法の適用限界や長所・短所を取り上げます。
【習得できる知識】
・SP値とHSP値の由来
・原子団寄与法によるHSP値の推算と適用限界
・化合物や粒子表面のHSP値測定法
1. HSP値(3D, 4D)の基礎と利用法
1.1 ヒルデブランドのSP値と相互作用パラメータ
1.2 ハンセンのSP値(3DHSP値)と図示化法
1.2.1 ハンセン球法と相互作用距離
1.2.2 テァーズ線図とてこの法則
1.3 4DHSP値とEED (Exchange Energy Density)
2. 化合物のSP値・HSP値の求め方
2.1 物性値との相関
2.2 化合物の3D,4DHSP値の求め方
2.2.1 原子団寄与法による推算
2.2.2 溶解/膨潤性を利用した測定法
2.3 インバースクロマトグラフィー法
2.4 SP値・HSP値に係わる諸因子
2.4.1求め方による違い
2.4.2 温度の影響
3.粒子/固体表面のSP値・HSP値の測定
3.1 凝集・沈降法
3.2インバースクロマトグラフィー法
3.3 低磁場パルスNMR法
参考文献
【演習問題・添削】
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第2講 高分子分散液の溶解/付着性の制御と応用技術
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【趣旨】
高分子溶液や高分子ブレンドでは、その不安定性が大きな問題となり、その現象の解明を目的にHSP値が提案されたともいえます。工業的には、むしろ不安定性を逆手にとり、溶解/付着性やぬれ/分散性を上手に制御することで、様々な新規材料が開発されています。
【習得できる知識】
・溶解/付着性の制御と応用技術
・ぬれ/分散性の制御と応用技術
・表面改質法と塗布性
4.溶解/相分離性の制御と応用技術
4.1 高分子溶液の溶解性/相分離性の制御と評価
4.1.1 相分離性と相図
4.1.2 溶解/相分離性を応用した材料調製例
4.2 高分子ブレンドの溶解性/相分離性の制御と評価
4.2.1 相図と高分子ブレンドの構造
4.2.2 溶解/相分離性を応用した材料調製例
5.付着/接着性の制御と応用技術および表面改質法
5.1 付着/接着性の制御と応用例
5.2 表面改質法
5.2.1 酸化法,照射法,マイクロカプセル法
5.2.2 界面活性剤の種類とHLB値
5.2.3 カップリング法とグラフト反応法
6.ぬれ/分散性の要件と塗布性
6.1 ハンセン球を用いたぬれ/分散性の評価
6.2 接触角と表面エネルギーの成分分け
6.2.1 付着仕事と界面張力
6.2.2 ぬれの形態とwetting envelopeの活用例
6.2.3 低磁場パルスNMR法によるぬれ性評価
6.3 コーティング液の塗布性
6.3.1 マランゴニ対流
6.3.2 レベリングとフレーミング
参考文献
【演習問題・添削】
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第3講 粒子分散液の分散安定化と分散剤の選択指針
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【趣旨】
粒子分散液の不安定化の原因は複雑でコントロールも難しく、一筋縄ではいかない分散系の代表ですから、用途に合わせた安定性の制御が欠かせません。本講では,静電反発作用のみならず、立体反発作用,特に高分子ブラシによる安定化について詳述します。また分散剤の選択では、構造、吸着性および溶解性などに関する知識が不可欠です。
【習得できる知識】
・静電反発および立体反発安定化機構
・分散剤の働きと選択指針
・レオロジー特性とチキソ剤の選択
7.粒子分散液の安定化における要件
7.1 フアンデルワールス力と有効ハーマーカ定数
7.2 静電反発安定化とDLVO理論
7.3 分散剤の保護作用と立体反発安定化
7.3.1 浸透圧効果と体積制限効果
7.3.2 高分子ブラシによる安定化と応用例
7.3.3 疎水性相互作用と枯渇現象
8.分散剤の働きと選択指針
8.1 種類と構造
8.2 溶解性と伸張性
8.3 吸着特性
8.3.1 吸着等温線と最適添加量
8.3.1 ダブルハンセン球を用いた分散剤選択
8.3.2 4D HSP値を用いたバインダーの選択
9.レオロジー特性とチキソ剤の選択指針
9.1 チキソトロピーと降伏応力
9.2 動的粘弾性
9.3 チキソ剤の働きと選択指針
9.3.1 チキソ剤(増粘剤)の働き
9.3.2 種類と選択指針
参考文献
【演習問題・添削】