溶解度パラメータ(3D,4DSP値)の基礎・求め方と実践的活用集
◆本講座は3ヶ月コースの通信教育講座です。
 弊社より毎月(計3回)テキストを郵送します。

◆テキストに付属する演習問題に解答していただければ、その解答用紙を講師が添削します。
 模範解答と一緒に添削が終わった解答用紙を弊社からご返送します。
 解答用紙の送付・返送やお問い合わせは基本的に全てEメールでやり取りさせていただきます。

通信講座概要
略称
溶解度パラメータ
通信講座No.
ce240705
開催日
2024年07月19日(金)
講師
山口大学 名誉教授 工学博士 大佐々 邦久 氏
【専門】
化学工学,微粒子工学
価格
[一般価格]
1名で受講した場合:  55,000円 (本体価格:50,000円)
2名で受講した場合:  99,000円 (本体価格:90,000円)
3名で受講した場合:  132,000円 (本体価格:120,000円)
4名以上で受講した場合の1名あたり追加金額:  44,000円 (本体価格:40,000円)

[会員価格]
1名で受講した場合:  44,000円 (本体価格:40,000円)
2名で受講した場合:  55,000円 (本体価格:50,000円)
3名で受講した場合:  66,000円 (本体価格:60,000円)
4名以上で受講した場合の1名あたり追加金額:  22,000円 (本体価格:20,000円)
価格関連備考
※請求書はお申し込みを受理次第、発送させていただきます。
スケジュール
7月19日(金) テキスト配本。学習開始。
8月19日(月) 第1講の演習問題提出締切り。第2講の学習開始。
 WEBによる第1講演習の解説
9月19日(木) 第2講の演習問題提出締切り。第3講の学習開始。
 WEBによる第2講演習の解説
10月21日(月) 第3講の演習問題提出締切り。
 WEBによる第3講演習の解説
11月15日(金) 修了書送付(第3講まで解答提出された方のみ)

<受講にあたって>
※テキストは開講時に郵送しますが、回答は、Microsoft Word、 Excel(Microsoft Office2016~2021)形式で、電子メールで提出していただきます。
※各講の添削結果や模範解答なども、弊社から電子メールにて返信させていただきます。
趣旨
溶解度パラメータ(SP値)は、“Like seeks like”、「似た性質のもの同士は引き合う」で表される、異材料間の親和性/類似性の尺度です。したがってSP値が近い材料同士は、よく溶け合い、よくぬれ/分散化し、よく付きます。ヒルデブランドが正則溶液の溶解性を表すのに用いたSP値は、ハンセンによる極性材料への三成分HSP値(3D)の適用、およびビルボアらによる酸性/塩基性を含む四成分HSP値(4D)への拡張により、様々な分野で実践的に採用されるようになりました。
本講座では、初めにSP値の由来と使い方、および化合物や粒子のSP値について計算および実測による求め方を説明します。次いで高分子溶液・高分子ブレンドの相分離性、および高分子コンポジットの付着/分散性の制御・評価と様々な応用例を取り上げます。さらに粒子分散液を対象に、分散安定化に向けた分散剤の選択や粒子の表面改質法、および長期安定化用分散剤選択法について、多くの例題と事例を踏まえて基礎から解説します。
プログラム

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第1講 溶解度パラメータ(3D,4DSP値)の基礎と求め方
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【趣旨】
 化合物のHSP値はたいてい原子団寄与法で計算できます。ただ課題は,計算法で値にかなり違いがあることです。実測法では,主に化合物の溶解/膨潤性や粒子の凝集・沈降性を測定し,ハンセン球を用いた図解法(3D)および拡張ハンセン法による数値解法(3D,4D)で求めることができます。本講では,これらの手法と適用限界や長所・短所を取り上げます。

【習得できる知識】
・SP値(3D,4D)の由来と図示化
・原子団寄与法によるHSP値の推算と適用限界
・化合物および粒子のSP値(3D,4D)の測定法

1.SP値(3D, 4D)の基礎
  1.1 分散系の熱力学と溶解度パラメータ
   1.1.1 溶解度パラメータとギブスエネルギー変化
   1.1.2 ヒルデブランドのSP値と相互作用パラメータ
   1.1.3  ハンセンのSP値(HSP値)
  1.2 HSP値の図示化とHSP距離(ハンセン距離,相互作用距離)
  1.3 モル凝集エネルギーと分子間相互作用力
  1.4 HSP値の酸塩基表示(4D)とEED(交換エネルギー密度)
2.化合物のSP値(3D, 4D)の計算法
  2.1 物性定数からの計算
  2.2 原子団寄与法による計算
   2.2.1 フェドロス法
   2.2.2 バンクレベレン・ホフティザー法
   2.2.3 ホイ法
   2.2.4 ステファニス・パナイオトゥ法
   2.2.5 HSP値計算のための市販ソフトの利用
   2.2.6 数値計算法(COSMO,AI)の新しい流れ
3.化合物のSP値(3D, 4D)の測定法
  3.1 測定手法
   3.1.1 簡易測定法
   3.1.2 ハンセン球とダブルハンセン球法
   3.1.3 インバースガスクロマトグラフィー法
   3.1.4 拡張ハンセン法と数値解析
  3.2 計算法・測定法によるHSP値の違い
  3.3 気体のHSP値
  3.4 HSP値に及ぼす温度や圧力の影響
4.粒子表面のHSP値の測定法
  4.1 測定手法
  4.2 インバースガスクロマトグラフィー法
  4.3 低磁場パルスNMR(TD-NMR)法
  4.4 凝集・沈降法
  4.5 接触角法とウエッテイングテンション
【参考文献】
【付表集】
【演習問題】

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第2講 高分子複合材料の相分離性の制御と材料開発例
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【趣旨】
 高分子を主成分とする溶液、ブレンドおよびコンポジットでは、その不安定性が大きな問題となり、その現象の解明を目的にHSP値が提案されたともいえます。工業的には、むしろ不安定性を逆手にとり、相分離性および付着/分散性を上手に制御し、またフィラーの表面改質を行うことで、様々な新規材料が開発されています。

【習得できる知識】
・高分子の溶解/付着性の制御と応用例
・樹脂中のフィラー分散性の制御と応用例
・フィラーの表面改質法

1.混合溶液・高分子溶液の相分離性の制御と応用
  1.1 分散系の不安定性
   1.1.1 混合溶液・高分子溶液の相分離性
   1.1.2 粒子分散液の分散凝集性
   1.1.3 界面活性剤溶液のミセル化
  1.2 混合溶液の相分離性と応用例
  1.3 高分子溶液の相分離性
   1.3.1フローリー・ハギンス理論
   1.3.2 相分離現象の応用例
  1.4 高分子ブレンドの相分離性
   1.4.1 相図と溶解度曲線
   1.4.2 相分離現象の応用例
2.高分子コンポジットにおける付着/分散性の制御と応用
  2.1 付着と接着の基礎
  2.2 SP値差による評価
  2.3 HSP距離による評価
  2.4 ハンセン球による評価と応用例
3.粒子の付着/分散性改善のための表面改質法
  3.1 表面改質の目的と手法
   3.1.1 酸化法
   3.1.2 照射法
   3.1.3 マイクロカプセル法
   3.1.4 無機物質被覆法
  3.2 界面活性剤の種類と利用法
   3.2.1 界面活性剤の種類
   3.2.2 HLB値と求め方
   3.2.3 界面活性剤の吸着機構と吸着等温線
   3.2.4 界面活性剤の応用例
  3.3 カップリング反応による表面改質法
  3.4 表面グラフト重合反応による表面改質法
【参考文献】
【演習問題】


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第3講 粒子分散液の分散安定化と
    分散剤選択および分散安定性試験法

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【趣旨】
 粒子分散液の不安定化の原因は複雑でコントロールも難しく、一筋縄ではいかない分散系の代表ですから、用途に合わせた安定性の制御が欠かせません。本講では、静電反発作用のみならず、静電立体反発作用や立体反発作用、特にポリマーブラシによる安定化について詳述します。また最近の合成法に基づいた高性能分散剤の開発例、および長期安定化用分散剤について取り上げます。
 

【習得できる知識】
・静電反発および立体反発安定化機構
・分散剤の働きと選択指針
・粒子分散系材料の分散安定性試験法

1.粒子分散液の分散安定化機構
  1.1 粒子分散液の調製工程
  1.2 ぬれ/分散化の評価と溶媒選択
  1.3 粒子間に働く相互作用力
   1.3.1 フアンデルワールス力
   1.3.2 ハマカー定数と有効ハマカー定数
   1.3.3 枯渇力と疎水性引力
  1.4 静電反発力とDLVO理論
   1.4.1 粒子表面の帯電機構と電気二重層
   1.4.2 ゼータ電位と測定法 
   1.4.3 静電反発作用とポテンシャルエネルギー曲線
  1.5 分散剤による立体反発安定化
   1.5.1 高分子分散剤の保護作用と立体反発力
   1.5.2 ポリマーブラシモデルによる立体反発安定化 
   1.5.3 自己組織単分子膜とポリマーブラシの形成
   1.5.4 静電立体反発力とイオン性高分子分散剤
   1.5.5 高分子分散剤の最適添加濃度と枯渇凝集・疎水性引力
2.分散剤の働きと選択指針
  2.1 分散剤の種類と構造
   2.1.1 界面活性剤タイプ
   2.1.2 高分子タイプ
  2.2 高分子分散剤の選択指針
   2.2.1 高分子分散剤の構造
   2.2.2 新規高性能分散剤の開発と応用例
   2.2.3 高分子分散剤の溶解/伸張性と相互作用パラメータ
  2.3 分散剤の吸着特性
   2.3.1 吸着等温線と吸着量の測定
   2.3.2 分散剤の吸着機構
   2.3.3 電位差滴定法による等酸点と酸化・アミン価の測定
   2.3.4 インバースガスクロマトグラフィー法
  2.4 分散剤の吸着性と分散安定性の評価
   2.4.1 溶媒,分散剤,および粒子間のSP値のバランス
   2.4.2 ダブルハンセン球を用いたCBの最適分散剤の選択
   2.4.3 4DHSP値を用いた最適バインダー(分散剤)の選択
3.長期安定化用分散剤の選択
  3.1 架橋分散剤
  3.2 キャピラリー懸濁液と第二流体の選択
  3.3 チキソトロピー性とチキソ剤(粘弾性調整剤)の選択
4.粒子分散系材料の分散安定性試験法
  4.1 撹拌/混錬操作 
  4.2 分散剤の一括添加と分割添加
  4.3 湿潤点・流動点
  4.4 凝集・沈降法
  4.5 レオロジー法
  4.6 小角X線散乱法
  4.7 低磁場パルスNMR法
【おわりに】
【参考文献】
【演習問題】

キーワード
溶解度パラメータ、ブレンド・コンポジット、粒子分散液、分散剤、チキソ剤、研修、通信教育
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