◆本講座は3ヶ月コースの通信教育講座です。
 弊社より毎月(計3回)テキストを郵送します。

◆テキストに付属する演習問題に解答していただければ、その解答用紙を講師が添削します。
 模範解答と一緒に添削が終わった解答用紙を弊社からご返送します。
 解答用紙の送付・返送やお問い合わせは基本的に全てEメールでやり取りさせていただきます。

粘着の基礎と剥離のメカニズム
☆どうすればキレイに剥がれるか?
~剥離のメカニズム、使用環境・条件など、粘着剤・粘着テープの取り扱い方を基礎から解説~

通信講座概要
略称
粘着剥離
通信講座No.
ce240801
開催日
2024年08月26日(月)
講師
早稲田大学 理工学術院 先進理工学部 物理学科 教授 博士(理学) 山崎 義弘 氏
価格
[一般価格]
1名で受講した場合:  55,000円 (本体価格:50,000円)
2名で受講した場合:  99,000円 (本体価格:90,000円)
3名で受講した場合:  132,000円 (本体価格:120,000円)
4名以上で受講した場合の1名あたり追加金額:  44,000円 (本体価格:40,000円)

[会員価格]
1名で受講した場合:  44,000円 (本体価格:40,000円)
2名で受講した場合:  55,000円 (本体価格:50,000円)
3名で受講した場合:  66,000円 (本体価格:60,000円)
4名以上で受講した場合の1名あたり追加金額:  22,000円 (本体価格:20,000円)
価格関連備考
※申込時に会員登録(入会金・年会費など一切かかりません)ができます。
※請求書はお申し込みを受理次第、郵送させていただきます。
スケジュール
8月26日(月) 開講 第1講テキスト発送
9月26日(木) 第1講 演習問題回答締切(必着) 第2講テキスト発送
10月25日(金) 第2講 演習問題回答締切(必着) 第3講テキスト発送
11月26日(火) 第3講 演習問題回答締切(必着)
12月18日(水) 修了書送付予定

<受講にあたって>
※テキストは開講時に郵送しますが、回答は、Microsoft Wordで、電子メールで提出していただきます。
※各講の添削結果や模範解答なども、弊社から電子メールにて返信させていただきます。
趣旨
粘着剤・粘着テープには、どうすればくっつくかという課題と共に、どうすれば(きれいに)剥がれるかという重要で困難な課題がある。例えば、同じ粘着テープを使用したとしても、そのテープをどこに貼ったか、そのテープをどのように剥がしたかによって、テープの剥がれ方(例えば、剥離強さ・ジッピングなどの動的挙動)は大きく異なる。従って、粘着剤の剥離は、単に粘着剤の物性(弾性率・表面張力)だけで決まる性質ではなく、その粘着剤を使用している環境や条件に強く依存していると考えた方が良いように思われる。
 本講座では、粘着剤・粘着テープの使用環境・条件を包括的に捉え、レオロジー・非線形動力学に基づいて、粘着剤の剥離メカニズムに対する普遍的で一般的な視点・取り扱い方を解説する。
プログラム

第1講 粘着・剥離の基礎

粘着・剥離現象が物理的な視点でどのように理解されるかを3回に渡って解説する。第1講は、表面張力と「ぬれ」、ならびに、物体の変形・流動に対する力学物性である弾性・粘性の基本的な定式化を解説する。これらの知識は、粘着・剥離現象を理解する上での基礎となるものである。

1.はじめに:粘着・接着現象を観るスケール

2.表面張力(表面自由エネルギー)
 2.1 表面張力の測定法

3.ぬれ
 3.1 力のつりあい    
 3.2 接着による表面自由エネルギーの変化
 3.3 固体表面へのひろがり
 3.4 固体表面(界面)の特徴づけ
  3.4.1 臨界表面張力
  3.4.2 固体の表面(界面)エネルギーの見積り

4.粘性と弾性
 4.1 弾性・フック(Hooke)の法則
 4.2 曲げ弾性
 4.3 粘性・ニュートン(Newton)の法則
 4.4 流体の運動方程式
 4.5 ストークス(Stokes)近似



第2講 粘着・剥離における粘弾性

 第1講では、「ぬれ」という性質を定量的に特徴付ける表面張力を解説した。ここで、粘着剤(接着剤)により接着している2つの物体の分離を考えてみよう。もし、粘着剤が全く変形しないのであれば、分離に必要な1 m あたりの力(または、1 m²あたりのエネルギー)は表面張力によって見積もることができる。たとえば、10 mm 幅の粘着テープを剥がすのに必要な力(剥離力)に着目しよう。表面張力の大きさは物質による違いはあるものの、通常10⁻² ∼ 10⁻¹ N/m 程度なので、剥離力は10⁻⁴ ∼ 10⁻² N 程度となる。ところが実際の剥離力はこれらの値よりも3~4桁くらい大きな値になり得る。この事実は、粘着剤が物体から分離すること以外に、分離に伴って引き起こされる粘着剤の変形・流動に対してエネルギーが余分に必要であることを示している。従って、接着および粘着を特徴付けるには、表面張力だけではなく、粘着剤の変形・流動も考慮する必要がある。
 そこで、第2講では、第1講で解説した弾性・粘性の基本事項を踏まえて、粘着剤として利用される高分子が示す粘弾性、および粘着剤を評価する際に重要となる「粘着の3要素」を概説する。さらに、粘着剤の評価における具体的な状況での理論的考察を行う。

1.高分子レオロジーと粘着・剥離
 1.1 動的粘弾性:粘弾性のモデルを用いて
 1.2 時間‐温度換算則

2.粘着の3要素と経験則
 2.1 粘着の3要素
 2.2 粘弾性の窓

3.理論的考察
 3.1 粘着テープ剥離時の応力分布
 3.2 粘性流体のプローブタック



第3講 粘着剤の変形による形態形成と剥離ダイナミクス

 第2講で、粘着・剥離に対する物理的なイメージが、着目する現象の空間スケールによって異なることを説明した。第3講では、比較的実用に近い空間スケール(≳ 10⁻³ m)での粘着・剥離に着目する。この場合、粘着剤のひずみと応力との間に線形の関係が成り立たなくなるほど粘着剤が大変形することがあり、粘着剤の大変形による形態形成も剥離の力学特性に影響を及ぼしうる。
 また、剥離の動的挙動に着目すると、システム(装置)全体の剛性も問題となる。例えば,粘着テープ剥離において、剥離速度を一定に制御していても,剥離先端の進展速度が振動しながら剥離する場合がある。このような振動は,騒音や装置の破損といった実用上の問題を引き起こす原因となる。そこで、本講では粘着剤の大変形による形態形成の例を紹介し、支持体・被着体を含めた剥離システム全体の剛性を考慮した剥離のダイナミクスについて解説する。

1.剥離速度と剥離力の関係
 1.1 剥離様式の変化
 1.2 剥離力の自励振動

2.粘性突起(Viscous Fingering)
 2.1 流体の速度と圧力場
 2.2 界面運動の安定性解析
 2.3 定性的な説明    

3.プローブタック測定で観られる粘着剤の大変形・形態形成
 3.1 粘弾性体のタックカーブ

4.粘着テープの剥離ダイナミクス
 4.1 剥離先端の状態
 4.2 形態の安定性と剥離力の時間依存性
 4.3 システム剛性の影響
 4.4 動的相図
 4.5 剥離後の粘着剤の時空間パターンとダイナミクス

キーワード
粘着,剥離,接着,粘着剤,粘着テープ,表面張力,弾性率,通信教育,通信講座
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