乳化重合は塗料、バインダー、繊維加工、紙加工、土木・建築、接着剤、粘着剤等のラテックス製品やプラスッチックス、ゴムなどのソリッド製品など様々な用途向け製品の製造に利用されています。さらに乳化重合技術の発展に伴い電気・電子、情報、医用など機能性高分子ミクロスファエアとしての用途も拓けています。乳化重合関連製品の研究・開発を目指す技術者、研究者には ① ラジカル重合および乳化重合理論と様々な重合法 ② ラテックス粒子の特性化や物性(安定性、レオロジー特性 ③ ラテックス粒子の成膜挙動やフィルム物性 ④ 用途に応じた様々な配合や後処理操作などの知識が必要とされます。かくして乳化重合に関する理論と技術に関する知識を得たいとのニーズが高いにもかかわらず、学会では機能性高分子ミクロスフェアの合成のみが注目されています。乳化重合理論に係る研究者や論文は激減し成書の出版も久しく途絶えているのが実情です。このような状況を踏まえ、本講座では ① 乳化重合理論を最近の進歩を含め解説 ② 理論を実際の製品やプロセス開発、問題解決に生かすことを主眼に置いています。加えて 、ラジカル重合および乳化重合理論を定説を超えて議論し理論の限界や新たな理論形成を示唆すると言う特徴を備えています。今回は理論の詳細を示す数式の誘導にまで言及する時間はありませんので、これらを参考資料として配付します。時間が許せば、様々な高分子ミクロスフェアの合成につても概説します。