本セミナーでは、「可動性架橋からなる強靭かつ回復性材料」「超分子架橋からなる自己修復性材料」「空気・水・酸・アルカリ等の様々な環境下で自己修復可能なポリマー」などの自己修復性ポリマーの各設計や特徴、応用展開に関して2部構成で解説します。
近年、カーボンニュートラルを通じた持続可能な社会の実現が重要になっている。持続可能な社会を実現させるためには、資源循環の確立及びゼロ材料廃棄が必要である。しかし、我々の生活に欠かせない石油由来の合成高分子材料は、限られた種類しかリサイクルできない、(機能的または構造的に)壊れると捨てるしかなく廃棄物処理の問題や資源消費の問題がある。自己修復性高分子材料は機能や構造が損傷後に元通りになる高分子材料のことを意味しており、材料の長寿命化による廃棄量低減及び資源消費量の低減に寄与する。
本講演では、どのように自己修復性高分子材料を得るか、さらに得られた自己修復性高分子材料の応用について過去の重要研究例を紹介しながら、材料設計方針を紹介する。
<得られる知識>
高分子化学・超分子化学・高分子材料設計のトレンド及び代表的な研究内容
<主な受講対象>
高分子材料に関する内容を紹介するので、高分子材料の研究・開発を含み、高分子材料を取り扱うすべての方が対象となります。ただし、高分子材料に関する予備的な内容も講演内容に入れるので、予備的知識がない方でも興味があれば受講していただけると考えております。
1.自己修復性高分子材料の始まり
1.1 マイクロカプセルを用いた自己修復性材料
1.2 Diels-Alder反応を用いた自己修復性材料
2.可動性架橋からなる強靭かつ回復性高分子材料
2.1 主鎖包接型可動性架橋
2.2 側鎖包接型可動性架橋
3.超分子架橋からなる自己修復性高分子材料
3.1 水素結合
3.2 イオン結合
3.3 配位結合
3.4 環状分子の包接錯体形成
4.応用
4.1 炭素以外の元素を主鎖とする自己修復性高分子材料
4.2 自己修復性デバイス
4.3 自己修復性コーティング
□質疑応答□
独自に開発した希土類触媒を用いることにより、従来の触媒では実現困難であった非極性オレフィンと極性オレフィンとの精密共重合に成功した。エチレンとアニシル置換プロピレンとの精密共重合で得られた共重合体は、空気中だけでなく、水や酸、アルカリ溶液中でも優れた自己修復性能を示す。これらの重合反応の制御機構や、自己修復機能の発現機構、応用展開などについても紹介する。
1.希土類触媒の特徴
1.1 中性メタロセン希土類触媒
1.2 カチオン性ハーフサンドイッチ型希土類触媒
2.重合vs共重合
2.1 カチオン性ハーフサンドイッチ型希土類触媒によるオレフィン類の共重合
2.2 カチオン性ハーフサンドイッチ型希土類触媒による極性オレフィンと非極性オレフィンとの共重合
2.2.1 極性オレフィンと非極性オレフィンとの共重合における課題と挑戦
2.2.2 ヘテロ原子の希土類金属への特異な配位による極性オレフィンの重合活性の向上
2.2.3 極性オレフィンと非極性オレフィンとの共重合におけるシーケンス/組成/分子量の制御
2.3 エチレンとアニシル置換プロピレンとの精密共重合による自己修復ポリマーの創成
2.4 エチレン/アニシル置換プロピレン自己修復ポリマーの特徴
2.4.1 空気、水、酸、アルカリなど、様々な環境下における自己修復
2.4.2 アニシル置換基による自己修復性能の影響
2.4.3 ミクロ相分離による自己修復機能の発現
3.今後の展望
□質疑応答□