【アーカイブ配信付き】
<第1部>(10:30~12:00)
バイオセンサ/デバイスの技術進展と可能性および実用化への展望
【趣旨】
バイオセンサは,DNA,タンパク質(酵素,抗体,受容体など),細胞などのバイオ材料が持つ,被検知物質に対する高い選択性と強固な結合能を利用して,多くの夾雑物質を含む環境中のサンプルや血液・尿・汗などの生体サンプルの中から,分子やタンパク質などの被検知物質を検出する.そのため医療・ライフサイエンスのみならず,環境・食品・空気質分析への応用が期待されている.1990年代後半から2000年初頭にかけてバイオセンサ技術は微細加工技術と融合し,高感度化,微小化,多項目化へと発展し研究の大きな潮流を生み出したが,産業に結び付いた事例は多くはない.本セミナでは,企業でのバイオセンサに関するプロジェクト推進の経験を通して感じたバイオセンサ/デバイスの可能性と課題を整理し,現在主に取り組んでいる単一細胞を標的としたバイオセンサ/デバイスを中心に研究動向を俯瞰する.
*本セミナはバイオ材料と目的分子が溶液中で結合するウエット/セミドライな環境で利用するバイオセンサ/バイオデバイスを中心に紹介する.
【プログラム】
1.バイオセンサの原理と歴史
1.1 バイオセンサの構成と原理
1.2 バイオセンサの実例①(血糖センサ)
2.バイオセンサ/デバイスの可能性と課題
細胞を利用した匂いセンサの研究開発を通して,バイオセンサの利点と課題について解説する.
3.期待される機能から分類したバイオセンサ/デバイスの現状
3.1 より単純に計測するためのバイオセンサ/デバイス
(a)イムノクロマトグラフィ, paper ELISA
(b)誘電泳動を利用したバイオセンサ
(c)汗を標的にしたウエアラブル型バイオセンサ/デバイス
3.2 より微量な実サンプルを計測するためのバイオセンサ/デバイス
(a)単一細胞を計測するバイオセンサ/デバイス
単一細胞を計測する意義と計測方法の分類
単一細胞を計測するための新しい計測方法
電場を利用した単一細胞の計測方法
(b)微小な生体粒子(エクソソーム)を計測するバイオセンサ/デバイス
3.3 より生体内の近い状況で計測する
Organ/Organoid-on-a-chip
4.バイオセンサ/デバイスの課題の整理と今後の展望
□質疑応答□
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<第2部>(13:00~14:30)
ウルトラフレキシブルエレクトロニクス技術と医療・ヘルスケアセンサへの応用
【趣旨】
我々の開発しているフレキシブルセンサの作製プロセスや特性について紹介するとともに、医療デバイスへの応用に向けた取り組みや、ヘルスケア向けセンサへの応用について紹介する。
【プログラム】
1.世界におけるフレキシブルエレクトロニクスの開発状況
2.ウルトラフレキシブルエレクトロニクスの開発手法
3.ウルトラフレキシブルエレクトロニクスのセンサ応用
4.通気性を有するナノメッシュエレクトロニクス
5.ナノメッシュエレクトロニクスの開発手法
6.ナノメッシュ電極の生体への影響
7.ナノメッシュセンサの紹介
8.ナノメッシュ電極による皮膚抵抗計測
9.ナノメッシュセンサによる生体センシング
10.テキスタイルセンサ
□質疑応答□
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<第3部>(14:45~16:15)
~日常的に利用可能な認知的疲労の計測技術~
知覚の変化を用いた認知的疲労の計測技術と実用化
【趣旨】
疲労の蓄積は日常的な作業の効率や安全に対して負の影響を与える.この疲労状態を認知的側面からとらえたものが認知的疲労であり,われわれの知覚や認知パフォーマンスの低下として計測・評価することができる.本講演では,知覚や認知の変化を用いて認知的疲労を簡易に評価する技術の開発と実用化について紹介する.また,認知的疲労の神経学的な基盤となる脳状態の変化についても解説する.
【プログラム】
1.(認知的)疲労の計測
1.1 疲労よる心身状態の変化と計測指標
1.2 「ちらつき」(フリッカー)知覚の変化
1.3 従来用いられてきた認知的疲労計測技術
2.認知的疲労の簡易計測技術と実用化
2.1 ありふれた機器を用いた疲労計測のための技術
2.2 日常生活疲労計測の実用化と応用
2.3 簡易疲労計測技術の今後の方向性
3.認知的疲労の脳神経学的メカニズム
3.1 疲労・疲労感と脳活動の変化
3.2 短期的な疲労による脳状態の変化と注意・認知の変化との関係
□質疑応答□