2015年02月27日(金)
10:30~16:30
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LED照明で使用されているLED用蛍光体は色と効率を決める最も重要な材料でありながら、現在のマーケットサイズは小さく、ビジネスには多くの問題がある。そのため、新しい材料の開発も、企業だけでなく国研や大学にも分散しており、新規材料の開発状況やリモートフォスファーなどの新しい構成部材についての幅広い取り組みを学術会議や書籍だけでフォローすることは難しい。
本講演では、現行の白色LED 用蛍光体の長所と欠点だけでなく、それを解決するための新規蛍光体への取り組みを幅広く解説する。特に重要な蛍光体の分子設計-すなわち、どのようにすれば青色光励起で赤や黄色に発光するのか-について詳細に述べる。また、実際の材料探索で見いだされた新材料とその蛍光特性―実用化可能か?―について解説する。
1.蛍光体の基礎知識と設計
1.1. 蛍光体の歴史、PLに始まりPLに帰る
1.2. 他の実用蛍光体とLED蛍光体の設計における大きな違い
1.3. 他の照明に対する白色LEDの発光スペクトルの特徴
1.4. 白色LED中の青色光が危険視される理由、網膜への影響だけを考えることに意味はあるか?
1.5. 希土類(レアアース)が蛍光体に必須な理由と希土類問題の再燃はあるか
1.6. Mn4+イオンは植物工場と太陽電池で有用だ!またフッ化物系母体は使えるか?
1.7. なぜLED用蛍光体はケイ酸塩と窒化物で、発光イオンはEu2+とCe3+ばかりなのか?結晶学の観点からの理解
1.8. 青色励起で赤色に発光、および紫外励起で黄色に発光させるために必要な分子設計とは?リン酸塩は有望だ!
2.実用LED用蛍光体の長所と欠点
2-1 黄色(Y,Gd)3(Al,Ga)5O12:Ce(日亜化学) 優れた熱特性と特許問題
2-2 黄色(Ba,Sr,Ca)2SiO4:Eu(豊田合成) 化学的安定性はコーティングで解決したが熱特性は?
2-3 黄色α-Caサイアロン:Eu 苦戦している理由は?
2-4 燈色(Ba,Sr)3SiO5:Eu 劣化の克服で色を改善する利用法はあるか?
2-5 赤色(Ca,Sr)2Si5N8:Eu カズンに匹敵する優れた蛍光特性と劣化問題は解決したか?
2-6 赤色(Ca,Sr)AlSiN3:Eu リモートフォスファーに対する対応が課題?
2-7 青緑-黄色(Ba,Sr,Ca)Si2O2N2:Eu 魅力的な色に対して、安定性の低さの罠
2-8 緑色β-サイアロン:Eu 思ったほど色が良くないのに使われる理由は?
2-9 緑色Ca3Sc2Si3O12:Ce 新しい照明用緑蛍光体に対する逆風とは?
2-10 緑色CaSc2O4:Ce 価格の問題はあるのか?
2-11 黄色Li2SrSiO4:Eu 新しい黄色蛍光体のビジネス的な問題点
2-12 緑色Ba3Si6O12N2:Eu 既存蛍光体との差別化が難しかった?
2-13 黄色La3Si6N11:Ce YAGとの違いと最近の採用状況は?
2-14 その他の蛍光体
2-14-1. 東北大学の青色励起可能な酸化物赤色蛍光体の組成とその特徴
2-14-2 北海道大学の耐熱性有機蛍光体とは?効率100倍は本当?
2-14-3 レンゴーのガイアフォトン(銀発光ゼオライト)とは?近紫外での利用も可能に!
2-14-4 宇部興産のMelt Growth Composite蛍光体ゼブライトとは?
2-14-5 小糸のクルムス蛍光体とは?
2-14-6 新しい蛍光体組成が酸化物の中にあるか?その開発例の紹介、赤外から黄色までの発光
3.その他の最新の話題
3-1 1kg何十万円から何百万円以上の高価なLED用蛍光体がなぜビッグビジネスにならないのか?
3-2 LED用蛍光体への新規参入の意味はありますか?
3-3 世界における蛍光体企業および研究者
3-3-1 日亜化学
3-3-2 三菱化学
3-3-3 東京化学研究所
3-3-4 根本特殊化学
3-3-5 電気化学工業
3-3-6 Daejoo Electronic Materials(韓国)
3-3-7 LWB
3-3-8 Intematix
3-3-9 北京有色金属研究総院
3-3-10 北京宇極科技発展有限会社
3-3-11 中国のBiog5
3-3-12 あまり知られていない台湾の蛍光体メーカー
3-3-13 その他
3-4 リモートフォスファーのような新しい部材構成と本当に効果があるのか?―実はリモートという言葉と違う使い方が本質―
3-5 水溶性シリコン化合物や気相法などの新しい蛍光体の合成手法、気相法により蛍光体が2.6倍明るくなるは本当か?新しい合成手法の長所と問題点
3-6 窒化物合成のノウハウ、何が一番重要なファクターか?
【質疑応答・名刺交換】