講演1.全固体電池の基礎と現状、注目点(全般)
本講演では全固体リチウム電池の特徴、性能などについて、既存の液系リチウム電池と比較しながら講義する。特に、全固体電池実現の基となった固体イオニクス材料の歴史や多様性について紹介する。また、全固体電池の開発状況や、その種類、構成について紹介する。
1.全固体電池とは
1.1 現行電池の問題・課題
1.2 全固体化のメリット
1.3 全固体電池の種類・分類・特徴
2.全固体電池の構成材料
3.全固体電池の構造・設計
3.1 バルク型全固体電池
3.2 薄膜型全固体電池
4.今後の展望
講演2.結晶系全固体電池の基礎理論と最新動向
本講演では全固体リチウム電池の固体電解質として応用されている、結晶性硫化物のリチウムイオン導電体を中心に講義する。特に近年注目を集めている、Li10GeP2S12 系材料の開発の歴史を紹介しながら、一般的に用いられている材料の評価方法、解析手法などについて説明し、実際の電池性能を紹介する。
1.はじめに
2.結晶系硫化物電解質の種類と評価方法
2.1 結晶内におけるイオン導電
2.2 結晶系硫化物電解質
2.3 固体電解質の電気化学特性評価法
3.結晶系硫化物電解質を用いた全固体電池
3.1 電池構成と評価手法
3.2 LGPS電解質の特性に応じた高性能電池開発
3.3 高電圧化・高容量化への取り組み
4.今後の展開
講演3.酸化物系固体電解質の基礎理論と最新動向
高い安全性と信頼性が可能となる全固体電池の実現が期待されている。本講演では、酸化物系の固体電解質について、結晶構造と導電率の特徴について概説すると共に、最新の研究動向について紹介する。中でも、高いイオン伝導性を有することから酸化物系全固体電池の電解質材料として期待されているガーネット型の骨格構造を有するリチウムイオン伝導性酸化物について、材料開発の進展、結晶構造の特徴、化学組成と導電率の関係について概説すると共に、産総研で取り組んでいるガーネット型材料の溶融法による単結晶育成と詳細な結晶構造解析、電気化学測定についての最近のトピックス、ならびに酸化物系全固体電池への応用例について紹介する。
1.次世代リチウム二次電池への期待
2.全固体電池の課題
3.酸化物系固体電解質材料の特徴
4.酸化物系固体電解質材料の最近の研究動向
5.ガーネット型固体電解質材料の特徴
6.ガーネット型固体電解質材料の最近の研究動向
7.ガーネット型固体電解質材料の単結晶育成
8.酸化物系全固体電池の最近の研究動向
9.酸化物系全固体電池の課題と今後の展開
講演4.ガラス系固体電解質の基礎理論と最新動向
無機固体電解質の中でも、ガラス(非晶質)固体電解質は自由体積由来の高いイオン伝導性を示すだけでなく、室温プレス成形のみで緻密化する優れた成形性を併せ持つため、全固体電池を実現するためのキーマテリアルの一つである。ガラスを加熱結晶化させて得られるセラミックスをガラスセラミックスと呼び、Li⁺イオン伝導体やNa⁺イオン伝導体において、準安定結晶相を析出させることによって、イオン伝導性の極めて高いガラスセラミックスが得られている。本セミナーでは、ガラス電解質の特長について概説した後、主に硫化物ガラス電解質のイオン伝導性と機械的性質について紹介する。次に、ガラス性液体の粘性挙動や結晶化プロセスを利用した電解質設計の考え方について述べ、最後に酸化物ガラス電解質への展開や全固体電池への適用についても発表する。
1.はじめに
2.ガラス系固体電解質の特長と伝導メカニズム
3.ガラスの機械的性質
4.ガラス性液体の粘性挙動
5.ガラスの結晶化による導電率変化
6.結晶化プロセスの制御
7.酸化物ガラス電解質への展開
8.おわりに