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第1部: 食品の加熱による変化と加熱加工の基礎 (10:30~12:30)
Ⅰ.加熱による食品の変化
1.タンパク質変性と脱水:肉の低温調理を例として
2.焼成時の焼き色変化:魚の焼成を例として
3.澱粉の糊化と吸水:麺類茹で調理を例として
Ⅱ.各種加熱法の加熱原理と理論解析
1.食品を外部から加熱する:遠赤外線加熱、誘導加熱(IH)、過熱水蒸気加熱
2.食品を内部から加熱する:ジュール加熱、高周波加熱、マイクロ波加熱
食品の加熱加工において、加熱にともなう食品成分の変化は加工食品の品質を決める重要な要因となっている。加熱調理を例に取ると、加熱不足は食中毒などの重大な危害を起こすので絶対避けなければいけないが、食中毒を恐れるあまり、加熱のしすぎは有用成分の不要な分解を招き、品質劣化を引き起こす。また、加熱のしすぎは、肉や魚ではタンパク質変性にともなう脱水により硬くなり、麺類では吸水が多くなりすぎて、不味くなる。したがって、食品の素材とその加熱目的に応じて最適な加熱操作および条件が存在する。ここでは、加熱にともなうタンパク質変性の速度と澱粉の糊化速度について説明するとともに、美味しさを決める旨味成分変化と焼き色変化について説明する。さらに、各種加熱操作の加熱原理とその理論解析手法について説明する。
第2部:食品加工における過熱水蒸気の利用と最近の動向 (13:20~15:20)
Ⅰ.過熱水蒸気の特性
1.過熱水蒸気とは
2.過熱水蒸気の発生方法とその制御
Ⅱ.食品加工における過熱水蒸気の利用
1.過熱水蒸気を食品加工に用いた時の様々なメリット
a.エキス損失抑制効果(ニンジン、ホタテ)
b.色調改善効果(アスパラガス)
c.表面殺菌効果(ソバ、水産珍味)
d.油脂酸化抑制効果(サケ)
2.過熱水蒸気を用いた新たな食品加工
a.製菓製パンへの応用
b.その他
Ⅲ.過熱水蒸気技術の最近の動向
1.過熱水蒸気機器の性能の重要性
a.空気混入による製品品質への影響
2.最近の過熱水蒸気技術の動向と今後の展望
a.熱源のバラエティー化
b.今後の展望
過熱水蒸気は通常の蒸気をさらに100℃以上に加熱した高温の水蒸気ガスであり、極低酸素、高凝縮潜熱等の特長があります。食品加工において過熱水蒸気処理は従来の加熱方法と比較して、エキス損失低減、歩留まり改善、色調改善、物性改善、および表面殺菌などの様々な効果を有することが明らかとなっています。本講演では、過熱水蒸気を食品加工に用いた場合の様々なメリットについて、事例を交えながら解説します。また、最近の研究・技術動向なども紹介します。
第3部: ジュール加熱技術の基礎と応用及び最新動向 (15:30~17:30)
Ⅰ.ジュール加熱法の基礎
1.発熱原理と基本装置
a.食品材料の電気特性と発熱量
b.ジュール加熱装置の設計と製作
2.ジュール加熱による食品加工各論
a.蛋白凝固 (豆腐、カマボコ)
b.発酵 (麹、発酵乳)
c.高粘度材料 (餡、オカラの殺菌・調理)
d.高品位殺菌 (吟醸酒、ワイン、ドブロク)
e.成分抽出 (茶、スープ、漢方薬)
f.解凍 (マグロ)
Ⅱ.ジュール加熱技術の最先端
1.プログラム加熱の概念と利用
a.物質移動、糊化、蛋白変性、酵素反応、相転移
2.より付加価値の高い加熱処理法の提案
a.温度、圧力可変加熱による食品加工
3.高電圧パルス殺菌
4.交流高電界処理
これまでの食品加工では、加熱を伝熱(伝導、伝達)、対流、放射の3つの物理現象に頼ってきたが、最近では、第4の加熱手段としてジュール加熱(通電加熱)が利用され始めています。ジュール加熱を食品加工に応用する目的は、殺菌、調理、煮熟、蛋白変性(ゲル形成)、酵素失活あるいは賦活、澱粉糊化、脱水、乾燥、吸熱反応促進など様々ですが、ジュール加熱法は従来の伝熱加熱に比べて極めて高い精度で温度制御が可能です。また、温度変更に対する応答性にも優れています。これらの特性を活用することによって、従来法では得られなかった数々のメリットがもたらされます。
本講演では、ジュール加熱技術の基礎から応用まで豊富な実例を挙げながら解説するとともに、ジュール加熱技術を応用した新しい加熱処理の概念や、研究動向など今後の展望についても紹介します。