弱点と言われていた強度の向上、簡便な創製法など、エアロゲルの可能性と応用展開に向けた材料・技術の進展を紹介します。
第1部:(13:00~14:30)
─力学強度が飛躍的に向上
有機−無機ハイブリッドによるエアロゲル創製と特性・応用展望
≪趣旨≫
低密度多孔体であるエアロゲルは一般に、ゲルの液相合成と超臨界乾燥法によって得られ、超高断熱性など優れた機能性を示す。しかしながら、シリカエアロゲルを代表とする従来のエアロゲルは、固体としての力学強度が著しく低く、その作製や応用展開は容易ではなかった。本講演では、有機−無機ハイブリッド化を基盤とした手法によりエアロゲルの力学強度や柔軟性を飛躍的に高め、超臨界乾燥に依らない乾燥手法を開発することで低コスト化を実現した一連の材料開発や応用の可能性について述べる。モノリス体をはじめ、粒状やブランケット状としても得られるそれぞれの材料の特徴を述べ、高性能断熱材をはじめ拡大するエアロゲルの可能性について紹介する。
≪プログラム≫
1.エアロゲルについて ~その歴史、現状、基礎知識
2.さまざまなエアロゲルとその作製法
3.ゾル−ゲル法に関する基礎知識
4.エアロゲルの微細構造
5.エアロゲルの応用
6.エアロゲルの問題点
7.講演者グループによるエアロゲル研究開発(各論)
7.1 ポリメチルシルセスキオキサン系
7.2 セルロースナノファイバーとのコンポジット
7.3 マシュマロゲル
7.4 ポリビニルシルセスキオキサン系
7.5 その他のポリ有機シルセスキオキサン系
7.6 有機架橋ポリシロキサン系
7.7 有機高分子と無機高分子が互いに架橋したダブルクロスリンク系
8.講演のまとめ
□質疑応答□
第2部:(14:45~16:15)
─天然高分子・バイオマス利用で強度UP
セルロースナノファイバ―によるエアロゲルの創製とその特性、応用展望
≪趣旨≫
エアロゲルは,断熱材や防音材、触媒担体、分離材、吸着材等として優れた性能を示す多機能材料であると認知されて久しいが,社会実装するには依然ハードルが高い。主な原因は2つある。1つは,超臨界乾燥という特殊なプロセスを要すること。もう1つは,機械的な脆さである。しかし,近年は蒸発乾燥でもエアロゲルと遜色のない構造体ができることも報告されており,改めてエアロゲル研究の機運が高まっている。本講演では,これら2つの課題に対して,セルロースナノファイバーと呼ばれる新素材を使ってアプローチした事例について紹介する。
≪プログラム≫
1.セルロースナノファイバー(CNF)とは
1.1 セルロースの固体構造と化学変性
1.2 ナノファイバー変換
1.3 分散と集積
2.CNFエアロゲル
2.1 生産法:水分散液から超臨界乾燥体にいたる過程の構造制御
2.2 構造と物性の特徴
3.CNFキセロゲル
3.1 生産法:水分散体から蒸発乾燥体にいたる過程の構造制御
3.2 構造と物性の特徴
4.CNFクライオゲル
4.1 生産法:水分散体から凍結乾燥体にいたる過程の構造制御
4.2 構造と物性の特徴
□質疑応答□