事業化に向けた課題を解決するためのポイントを、事例を含めて解説します。
【講演の趣旨】 ドラッグ・リパーパシングは、市販薬の新規適応症を探索する。大きく二つの課題があり、ある疾患について別の疾患に適用されていたが当該疾患にも薬効を示す市販薬を探索するという課題と、ある市販薬について添付文書に記載のない新しい適応症を探索するという課題である。ただし、薬の側からみれば、どちらも同じく新規適応症の探索になる。 通常のドラッグ・リパーパシングは、薬理学や医薬品化学の専門家の頭の中にある知識をフル活用して、薬効の分子機序が共通であるもしくは化合物の構造が類似している(標的分子が共通である)と想定できる疾患の間で新規適応の仮説を立て、その仮説を実験的に検証する、というプロセスで進む。私どものアプローチは、オミックスデータ(特に遺伝子発現データ)に現れる薬剤投与もしくは疾患の細胞内分子変動に着目して、市販薬の新規適応症を探索します。この探索に際しては、分子変動の検出、市販薬の参照変動データの整理収納、それらデータと探索する対象の変動データとの照応をシームレスに実行する探索プラットフォームを完成させている。 特に我々のプラットフォームで差別化されるのは、ネットワーク解析技術の積極的な導入である。分子間相互作用から生物学機能が発揮されることを鑑みて、新規適応症発見の精度向上に役立ている。また、この技術は、ドラッグ・リパーパシングのみならず、活性化した細胞シグナル伝達経路の選定や前向きデータに頑強な層別化マーカーの発見に利用されている。 実際のシステムやその実施例、さらに利点と欠点について会場で解説する。
【プログラム】
1.ドラッグ・リパーパシングの背景
1‐1 ドラッグ・リパーパシングの様々な方法
1‐2 細胞内変動分子の探し方
2.細胞内分子変動に基づくドラッグ・リパーパシング
2‐1 ある疾患に薬効を示す市販薬の探索
2‐2 ある市販薬の新規適応症の探索
3.ネットワーク解析技術の適応拡張
3‐1 活性化リン酸化マスウェイの同定
3‐2 層別化マーカーの発見
【質疑応答・名刺交換】
【習得できる知識】 ・ALSの臨床/病理/分子病態のup-to-dateな知識 ・様々な遺伝子異常によるALSと孤発性ALSとの相違点・共通点 ・ALSの病因解明にいたる疾患特異的病変 ・治療標的分子を定めたALSの治療法開発 ・必ず成功する治療法開発戦略とは ・臨床試験実施へのハードル:研究者と治療法開発者の橋渡し 【趣旨・ポイント】 ・ALSを臨床・病理・分子病態から理解する -疾患概念 -臨床像が多彩な理由 -特異的病理像 -家族性ALSと孤発性ALS ・孤発性ALSに働いている疾患特異的な分子病態を理解する -患者に見出された分子異常(AMPA受容体サブユニットのRNA編集異常、RNA編集酵素ADARの選択的Downregulation) -分子病態モデル動物作製を通じた病因的意義の証明(コンディショナルADAR2 ノックアウトマウスの作製、ALS様表現型の解析) -モデルマウスと患者での病変の相同性の解析・病因メカニズムの解析(ALSに特異的なTDP-43病理の再現・形成メカニズムの解明、核膜孔複合体の破綻) ・細胞死カスケードの解明から治療標的分子異常を同定した道筋を理解し治療戦略を知る(疾患特異的なADAR2発現低下から運動ニューロン死に至る細胞死カスケード) ・治療標的を特定した特異治療法の開発に至る道筋を知り、治療実現の可能性を知り新たな治療法開発を探る -モデル動物(分子病態の再現) -臨床試験(分子標的に対する特異的治療法)
【プログラム】
1.ALS概説:current topicsを含む
(ア) ALSは健康成人が罹る数年で死に至る難病である
(イ) 疫学概説:遺伝子変異など
(ウ) 孤発性ALSと家族性ALSの相違点・共通点
(エ) 臨床像の多彩さと病因との関連
(オ) 臨床像が多彩であるにも拘わらず病理像が均一であること
2.孤発性ALSの病因解明
(ア) 病的組織に見られる疾患特異的分子変化
(イ) 分子病態を再現するモデルマウスの開発・解析
(ウ) 病因メカニズム・細胞死に至る分子カスケードの解析
3.治療法開発
(ア) 細胞死カスケード解析から特定された治療標的の特定
(イ) 分子異常の正常化の方法の開発
(ウ) 分子病態モデル動物を用いた治療成績
(エ)治療が成功する可能性が高い治療法開発方法について
4.臨床試験
(ア) ペランパネルによる孤発性ALSを対象とした医師主導試験事例
(イ) AAV-ADAR2ベクターを用いたALSの遺伝子治療開発
5.今後の方向性
【質疑応答・名刺交換】
【趣旨・ポイント】
Re-positioning医薬の研究開発から薬価を含む事業化戦略については、アカデミア、製薬業界、個別企業、個人レベルの「既成概念」や「通年」が多いことを彼方此方で痛感する。「通念が痛念にならないよう」価値最大化へとガイドすることを主目的とします。突っ込みQ&Aディスカッション大歓迎です。但しインサイダー情報は開示しません。
【プログラム】(一部仮)
1.Re-positioningによる価値創出、アンメット医療ニーズに対する医薬の応答
2.Re-positioning医薬に重要な戦略思考、開発戦略により事業価値が大きく上下する
3.事業価値を上げる為に創薬研究開発ステージから必要な薬価を含む事業化戦略代替案
4.薬価を含む事業化戦略は開発戦略との繋がり一貫性が欠かせない、後付けはムリ?
5.開発/事業化について、適応拡大シナリオと別もの戦略、夫々の有利不利を考察する
6.ケーススタディ:薬価既収載品から、抗喘息薬から難病治療薬へ、その他
7.ケーススタディ:創薬研究段階で情報開示されたアカデミアプロジェクトから
8.Re-positioning医薬ライセンス導出導入:顕在&潜在課題と課題解決代替案
9.Re-positioning自社創薬およびライセンス候補品の事業価値評価の基本的な考え方
10.Re-positioning医薬マーケティング戦略、顕在&潜在課題と課題解決代替案
11.Re-positioning医薬マーケティングリサーチの狙いと陥りがちな問題と解決代替案
12.業界、社内、個人によく見られる通念OXOXO「通念が痛念」にならないように
【質疑応答・名刺交換】