放熱材料におけるTIMの選定方法から、CNFフィルムを基材とした冷却手法・樹脂中における絶縁・高熱伝導性フィラーの電界整列を3名の講師が紹介します!
※本セミナーはZOOMを使ったLIVE配信セミナーです。会場での参加はございません。
<第1部> 各種TIMの特徴と最適な選定手法(12:30~14:00)
【趣旨】
現在市場では多種多様なTIMが入手可能であるが、使い方を誤ると本来の性能が十分に発揮できないことが多い。一般的にTIMは製品開発において補助資材として扱われることが多いため、コストの制約も非常に厳しい。しかしTIMに関する深い知識がないと、カタログデータから本来の設計の趣旨に沿った製品を選び出すことは、思いの外難しい作業となる。
本セミナーでは多様なTIMの特徴や特性を個々に説明し、最も一般的に使われている熱伝導シートを例として、その熱的な特性と機械的な特性を説明することで、TIMの選定および使い方の概要を把握してもらうことを目的とする。
【プログラム】
1. TIMの役割と基本特性
1-1. 現在入手可能な各種TIMとその特徴
1-2. フィラーの役割
1-3. バインダーの役割
1-4. TIMの熱的特性
1-5. TIMの機械的特性
2. TIMの高性能化
2-1. 炭素繊維鉛直配向TIM
2-2. ソルダーTIM
2-3. 液体金属TIM
3. TIMの実際の製品における使用例
3-1. ノートPC
3-2. グラフィックボード
3-3. スマートフォン
3-4. 車載バッテリー
(質疑応答)
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<第2部> ナノセルロースの熱コンダクター特性とフィルム基材放熱に向けた新手法(14:15~15:15)
【趣旨】
本講演では、バイオマス素材で高熱伝導性が初めて見出されたセルロースナノファイバー(CNF)材料における伝熱の基本的特徴を概説し、CNFフィルムを基材としたペーパーエレクトロニクス(フレキシブル電子デバイス)をヒートシンクフリーで冷却する新手法について紹介する。小さな発熱源の温度が搭載基板によってどのように影響されるか、伝熱シミュレーション結果を元に解説し、またヒートシンクが内在する放熱性能の構造的トレードオフを紹介しながら、新規放熱手法の特徴を明確にする。実際の発熱性電子デバイスをCNF基材上に実装して冷却性能を確認し、また近接実装された熱源の熱干渉を防ぎながら冷却する手法についても概説する。
【プログラム】
1. セルロースナノ材料の伝熱の特徴
1-1. 伝熱異方性を持たせたCNF紙材料
(1) 熱流制御性
(2) 透明と伝熱の両立
1-2. 湿度と吸湿の効果
1-3. 金属イオンの添加による効果
2. 熱源の放熱による冷却
2-1. 基材の面積や熱伝導率の寄与
2-2. ヒートシンクの放熱設計におけるトレードオフ
2-3. 切り紙加工による新奇放熱技術
2-4. 炭素繊維を複合した異方的熱拡散フィルム
(質疑応答)
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<第3部> 電界整列による放熱シートの熱伝導性向上(15:30~16:30)
【趣旨】
半導体デバイスの高性能化、高集積化に伴い、電子デバイスの放熱が課題になっている。昨今の電子デバイスでは、半導体素子モールド内の熱抵抗は低減されてきているものの、最終的なヒートシンクへの熱伝達を担う放熱シートは高性能化が未達であり、放熱系全体の半分程度の熱抵抗に相当する。放熱にかかる消費電力の低減は、今後のカーボンニュートラルの実現に向けた喫緊の課題である。
本講演では、高熱伝導・高絶縁・フレキシブルといった高機能な放熱シートの開発にむけて、筆者が取り組んでいる樹脂中における絶縁・高熱伝導性フィラーの電界整列について、学術論文をベースとした様々な高熱伝導率化手法と合わせて概説する。また、放熱シートのさらに先の課題として、伝熱性能に分布を持たせた放熱シートについても紹介する。
【プログラム】
1. 放熱シートの概要
2. フィラー整列技術
2-1. 粒子の整列事例
2-2. 電界整列の原理
2-3. 回転電極電界整列法
3.実験・結果
3-1. 放熱シートの作製方法
3-2. 放熱シートの内部構造
3-3. 球状粒子の整列(ダイヤモンド粒子を例に)
3-4. 板状粒子の整列(六方晶窒化ホウ素を例に)
4. 意図的熱伝導率分布
4-1. 熱分布シートの提案
4-2. 作製方法
4-3. 熱特性評価結果
(質疑応答)