~物理的性質・測定と脳の認知科学の双方から迫る光沢質感~
市場にある製品全般について言えることであるが,求められる機能を持つことは当然として,競合する製品との差別化のために,高い質感が要求されている. 例えば,バスタブや洗面台では,見た目の質感を高めるために半透明な人工大理石が用いられる.車のボディーについても,透過性をもつ薄い層を積層するなどして,光沢や深みといった質感が与えられている.本講演では,光沢計測の実際とその限界について述べるとともに,半透明材料の質感の一つと言える透明感について,それをもたらす因子と,それが与える影響を定量化する試みを紹介する.
1.光沢の計測
1.1 JIS Z 8741 鏡面光沢度 - 測定方法
1.2 反射計測におけるIntensityとFlux
1.3 2方向反射率の計測
1.4 例えば,その数値的予測
1.5 光沢度と光沢感
2.半透明材料の光学的質感
2.1 散乱・吸収性媒質とは
2.2 その光物性と,透明度と呼ばれるもの
2.3 計測方法と装置
2.4 透明感の定量化
2.5 透明感に影響をおよぼす物理的因子
3.質感研究への期待
□質疑応答・名刺交換□
光沢をはじめとする物の質感は私達の知覚世界を豊かにしてくれる.また,商業製品の価値に対して大きな影響を与える.一体私たち人間はどのようにして質感を知覚しているのであろうか.本講演の前半では,人間がどのようにして光沢を知覚しているのか,そして,どのようにすれば映像において光沢をより効果的に表現できるのかご紹介する.講演後半では,光沢がどのようにして脳内で処理されているのか,また,脳活動計測に基づいて質感を評価する技術を確立するためにはどのような課題が残っているのかについて述べる.
1.光沢知覚のメカニズム
1.1 光沢知覚の定義
1.2 光沢手がかりとしての画像統計量について
1.3 光沢知覚に与える両眼視と頭部運動の効果
2.立体ディスプレイによる光沢感の定量的評価
2.1 ディスプレイの種類(平面,二眼式立体と多視点立体)による光沢感の違い
2.2 多視点立体ディスプレイの視点数とクロストークの影響
3.光沢の脳内処理
3.1 光沢の脳内処理を解明する難しさとその解決方法
3.2 脳内の二つの処理経路における光沢の処理
3.3 光沢処理に関与する脳内部位の役割とネットワーク
4.脳活動計測に基づく質感評価への展望
4.1 どのような課題が残されているのか
4.2 課題解決の先にあるもの
□質疑応答・名刺交換□