第1部 12:45~13:45
LMFP正極LiBや次世代蓄電池の最新展望
東 哲也 氏
(株)産業タイムズ社 東京本社 編集部 電子デバイス産業新聞 記者
LFP正極LiB同様に低コスト、高安全、長寿命に対応しつつも三元系正極LiBに匹敵するエネルギー密度を有するLMFP正極LiBについて、M3P(CATL)やHLM(高リチウム・マンガン、ユミコア・BASF)といった競合技術を交えて最新動向を述べる。併せて、車載用で量産化が本格化しつつある新型円筒型LiBセル「4680」をはじめ、ナトリウムイオン電池、全固体電池などの次世代電池についても言及する。
1. LiB概要・市場動向
2. 電極(正極、負極)トレンド
3. LMFP正極や競合技術の業界動向
4. 新型円筒型LiBセル「4680」や次世代蓄電池(ナトリウムイオン電池、
全固体電池、リチウム硫黄電池など)の実用化
第2部 13:55~15:25
高電圧系Mn正極材と電池特性、LMFPなどの多様化と棲み分け
菅原 秀一 氏
泉化研代表
本講演は、マトを絞れば、講演タイトルの「高電圧系Mn正極材と電池特性、LMFPなどの...」であるが、そこに至る経緯は、かなりの伏線が存在する。その背景には、2022年グローバルで、年間1,000万台を越えたEVと、それに対する電池供給の問題、むしろ“ストレス“とも言える状況がある。2023~2024においては、必要なリチウムイオン電池は1,000GWhの大台に乗るレベルである。それに対する正極材用のニッケルとコバルトのサプライは、恐らくかなりの不足が予測される。サプライの隘路は同時にコストアップを伴い、正極材コストは何らかの出口を求めて、NMC(Ni、Mn、Co)三元系から、左記の元素を含まない鉄リン酸リチウムLFPへ殺到した。LFPは理論容量170Ah/Kgに対して、比較的に近い実用容量165Ah/Kgが可能であるが、出力電圧が、実用電池で3.2V程度と低い。電圧評価を含む、(Wh/Kg正極材)値は、NMC811の660に対して、LFPは540(-18%)と低い。一方で代表的な汎用正極材であるマンガン酸リチウムs-LMOは、3.8Vと言う高い出力電圧が特徴である。今回のテーマであるLMFPは、LFPの遷移元素Feの一部を、Mnに置き換えて出力電圧のアップを狙った開発である。開発途上ではあるが、その4V級の高いレベルは注目されている。本講義では、上記の背景なども含めて、実用評価の視点で説明を進めたい。
1. (背景1) 正極材の元素、Ni/Co/Mn/Feと容量Ah/Kgと電圧V
1.1 単元系正極材
1.2 二元系正極材
1.3 三元系正極材
1.4 安全性と耐熱性
1.5 用途と選択、民生用とEVなど
2. (背景2) 正極材の選択とセル設計
2.1 Ah/Kgと出力電圧V、エネルギーWh=Ah×V
2.2 負極と正極の関係、主役と脇役
2.3 エネルギーWhとパワーW
2.4 設計の事例、EV用と定置蓄電池用
3. コバルトフリー系への転換
3.1 鉄リン酸リチウム系LFPの基礎特性、Wh/Kg
3.2 LFPのメリット vs.デメリット、導電付与など
3.3 マンガン置換LMFP系
3.4 Mn/Ni系5V正極材
3.5 各社の開発事例
4. EV用電池における動向
4.1 コストダウンとサプライ・チェーン
4.2 自動車各社の選択と電池メーカー
4.3 急速充電、走行距離との関係
4.4 廃電池リサイクルとの関係
4.5 ハイニッケル系との棲み分け、Wh/Kg
第3部 15:30~17:00
LFP、LMFP活物質の特徴・課題と性能向上のための材料改質技術
渡辺春夫技術士事務所 所長
工学博士、技術士
渡辺 春夫 氏
リン酸鉄リチウム(LFP)、リン酸マンガン鉄リチウム(LMFP)は、他のリチウム二次電池正極活物質に比較して、資源的に豊富な遷移金属元素で構成されている。このLFP、LMFP活物質の特徴・課題を明確にし、性能向上のための材料改質技術について解説する。LFP、LMFP活物質の大きな課題は、導電性の改善である。この導電性改善のための活物質粉体の改質技術を 形状的改質技術,材料的改質技術,表面改質技術の各材料改質技術の観点から解説する。
1. はじめに
2. LFP、LMFP活物質の特徴と課題
3. 形状的改質(キャリアパス縮小)
・小粒子化 ・非等方粒子化
4. 材料的改質(バルク導電性付与)
・異元素置換 ・異相析出形成
5. 表面改質(表面導電性付与)
5.1 イオン導電層形成
5.2 電子導電層形成
5.2.1 非炭素質層
・金属層 ・金属酸化物層 ・有機高分子
5.2.2 炭素質層
・被着方法 ・出発炭素源 ・被着炭素物性
6. まとめ