○ EV1000万台/-年800GWhの電池は液系か全固体か
 ○ 電解液レス、パレータレス全固体電池の安全レベルは
 ○ 固体電解質と正・負極材との界面形成の方法と限界は
 ○ 全固体電池は円筒、角槽あるいは積層(ラミネート)
 ○ エネルギー特性vs.パワー特性、全固体の得意、不得意は
 ○ 現行液系リチウムイオン電池の限界と全固体電池による打開は
 ○ 全固体の電池コスト、サイクル寿命と安全性規格への対応は何処までか・・・

全固体リチウムイオン電池の展望
All Solid State Lithium-ion Cell & Battery, Feasibility and Paradigm Shift in Component Materials

商品概要
個数

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略称
全固体リチウムイオン電池
商品No
bk8049
発刊日
2018年08月01日(水)
ISBN
978-4-904482-50-6
体裁
(株)シーエムシー・リサーチ
価格
99,000円 (本体価格:90,000円)
送料
当社負担(国内)
価格関連備考
本体価格  90,000円 + 消費税
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発行
(株)シーエムシー・リサーチ
問い合わせ
Tel:03-5857-4811 E-mail:info@rdsc.co.jp 問い合わせフォーム
監修
調査・執筆:菅原秀一
著者
調査・執筆:菅原秀一
発刊にあたって
 本書は、「全固体リチウムイオン電池の展望」と題して、正・負極材および材料・部材のパラダイムシフトをテーマにした。いささか木に竹をつないだ様な違和感がある内容かもしれないが、全固体電解質の開発を一過性と見るか、あるいは中長期を見据えた事業化の課題と捉えるか、実務者の立場でかなり温度差はあろう。
 この2,3年でEVを含むリチウムイオン電池の状況は劇的に変わった。メインは欧米とアジアにおける、脱ガソリンZEV化である。その実現性を危ぶむ声は、以前よりはかなり小さくなっている。むしろ行くとところまで行ってみよう、というスタンスが多勢であろう。
 ここでの不安定要素は、1.安全性、2.コストと 3.Co やLi の資源である。特に安全性は可燃性の有機電解液を使用した二次電池として、その性能が高くなるほど、問題解決のハードルが高くなってきた。1991年に始まったリチウムイオン27年の歴史の中で、電解液に関する、原理的なブレークスルーは何もない。
 全固体電池・・燃えない、分解ガスの出ない無機物質である固体電解質の利用は、安全性への切り札でもある。そのサイエンスとテクノロジーは過去の膨大な研究を背景に、この数年で実用化への芽が出て来た。2018年にトヨタ自動車がその実用化へ乗り出したのは、極めて象徴的である。
 一方で2つの考え方、A.現在の延長線上の液系電池で、10~20年先のEV化をカバーできる。B.今の内に全固体電池にシフトしてしまった方が賢明である。何れが正解であるかは、日本がその技術で回答を出す立場ではなかろうか。コピー技術であるアジアや欧米のメーカーが、前記A.の本質を理解してとは思えないし、B.はいずれはアジアに技術がコピーされるとしても、日本以外にそれを実現させる可能性はないであろう。
 筆者はSONY㈱のリチウムイオン電池の創生時から、電池材料と製造に関わって来た。その後はポリマー電解液も担当したが、全固体電解質に関しての実務経験はない。この経緯から、現行の液系リチウムイオン電池が、ある意味でのボトルネックから抜け出せない状態である、との感を強く持っている。
 現時点で、全固体電池の実用化と工業生産に、否定的な見解を示す方が妥当ではあろう、しかしながらEVの拡大で仮に1,000万台/年、1,000GWhレベルを、現行の液系電池でやり切れる否かも、はなはだ疑問である。液系電池の、特に電解液系の“不合理性”を、全固体電池のもつ多くの“合理性”でカバーして行くとの解決に期待したい。目的はEVであり、電池は消耗するデバイスに過ぎない。
 本書では上記の問題点を中心に、可能な限り数値で定量的に試算して考察を加えた。工業製品としての試算には、ケースバイケースの再計算に対応するために、全て算定の条件とその過程を示した。本書が関連業界の方々に、選択肢のヒントを示すことができれば幸いである。

               調査・執筆:菅原秀一
               企画・編集:シーエムシー・リサーチ
趣旨
第1章 単元・多元系正極材、新規負極材の特性と電極板製造の隘路
  <リチウムイオン電池の現状と性能向上>
 EV用途などリチウムイオン電池の高性能化の要求に伴い、正極材の容量アップに向けた開発競争が激化している。第1章では物質としての正負極材を、解説する。セルの段階では電解液、電解質やセパレータが加わってくるので、全固体セルとの関係や、液系では解決不可能であった事項、特に電極板製造との関係も解説した。
第2章 全固体リチウムイオン電池への期待と展望(電池/セル)
  <パラダイムシフト=局面の転換、材料とプロセス技術基盤の再構築へ>
 正・負電極材の開発をベースに電池(セル)にした場合の、構造や特性について解説する。この章の問題意識は、材料とプロセス技術基盤の再構築。全固体リチウムイオン電池への期待と展望である。

第3章 安全性問題、規格・規制と安全試験の概要
  <全固体リチウムイオン電池の扱いほか>
 液系リチウムイオン電池は、1991年の創生以来、安全性問題に立ち向かってきた。電池工業会の安全性ガイドラインや電気用品安全法の制定を経て、多くの用途分野で安全性は確保されつつある。EVの場合は、他の用途とは性格が異なるが、安全性規格と試験方法が整備されつつある。全固体リチウムイオン電池においても安全性問題は無くなるとわけではなく、安全性の課題を示す。

第4章 全固体リチウムイオン電池の可能性
 この章は本書の核になる部分である。第1~3章の考察をふまえて全固体リチウムイオン電池の可能性を探りたい。
 目下の開発状況では、全固体リチウムイオン電池(セル)への期待は大きい反面、実用化の目処、工業生産の可否は見えていない。ここでは液電解質系の不合理性の解決を、全固体セルに求めた。
 できるだけ定量的に数字で可能性を示した。また2016から現在までの公開情報から、国内各社の開発状況および用途分野を一覧した。

第5章 電池原材料の試算と市場
  <EVなど需要拡大と電池原材料の試算と市場規模>
 今後のEVなど需要拡大を踏まえ、それに対応した電池原材料の試算と市場規模を考察した。
 試算をする中で電解質やセパレータなどの問題で、溶液系電解質のボトルネックあるいは隘路も見える。これら問題を解決して行く手段として、全固体電解質を活用を期待したい。
 
書籍の内容
第1章 単元・多元系正極材、新規負極材の特性と電極板製造の隘路
   (リチウムイオン電池の現状と性能向上)

 1.1 リチウムイオン電池の基本3 特性(エネルギー、パワーとサイクル)
 1.2 正極材の特性と選択(1)単元系、多元系
 1.3 正極材の特性と選択(2)研究から実用へのシミュレーション
 1.4 多元系正極材の化学組成(湿式合成とモルフォロジー)
 1.5 新規負極材の特性と選択(セルの基盤としての役割)
 1.6 電極板の製造における正極材の課題(アルカリ性と塗工への適合)
 1.7 正極材の実用電池としての課題(材料コストと用途分野)
 1.8 (参考)正極材のファラディー則と拡大
 1.9 (参考)NMC正極材の特許問題
第2章 全固体リチウムイオン電池への期待と展望(電池/セル)
   (パラダイムシフト=局面の転換、材料とプロセス技術基盤の再構築へ)

 2.1 リチウムイオン電池(セル)の構成、構造と電気化学(イオン伝導、電子伝導と内部インピーダンス)
 2.2 現行(液系電解液(質))電池の基本特性と性能レベル
 2.3 モバイル、EV、定置ほかの電池特性と要求レベル
 2.4 構成材料の限界とブレークスルー(電解液、電解質)
 2.5 イオン伝導性のレベルアップ(有機電解液系、ポリマーゲル系と全固体電解質)
 2.6 セル内部の電解質と正負極材の関係(重量、体積の分布と電気化学的ポテンシャル)
  2.6.1 電解質溶液の不合理と固体電解質のポテンシャル
  2.5.2 試算の過程(1)Faraday 則、電解質の比容量、正負電極層、セパレータ
  2.5.3 試算の過程(2)仮想正極材VTCM
  2.5.4 セルの構成(1)材料と部材の重量と体積
  2.6.5 セルの構成(2)リチウム含有成分の重量と体積
  2.6.6 電解質と比較物質の“比容量”
 2.7 まとめ
第3章 安全性問題、規格・規制と安全試験の概要
   (全固体リチウムイオン電池の扱いほか)

 3.1 安全性(1)過充電、過放電、外部・内部短絡と熱暴走
  3.1.1 過充電、過放電とガス膨張
  3.1.2 内部短絡とセパレータ
  3.1.3 電解液系セルの安全対策
 3.2 安全性(2)国内外&グローバル規制と試験規格への対応
  3.2.1 国内外の安全性規格と試験方法
  3.2.2 EV用リチウムイオン電池の安全性試験規格
 3.3 安全性(3)法規制(消防法、電気用品安全法、毒物及び劇物取締法ほか)
 3.4 安全性(4)製造工程における安全品質と運用
 3.5 (資料)リチウムイオン電池の規格一覧表
第4章 全固体リチウムイオン電池の可能性
 4.1 全固体リチウムイオン電池の可能性(1)セルの構成(正・負極材の選択)
  4.1.1 正極/電解質/負極
  4.1.2 電解質、溶液から固体へ
  4.1.3 セルの構成、アイデアも含めて
  4.1.4 正・負極材の選択と新たな可能性
 4.2 全固体リチウムイオン電池の可能性(2)セルの設計(電極面積の課題とセル設計)
  4.2.1 電極面積
  4.2.2 セル設計のステップ
 4.3 全固体リチウムイオン電池の可能性(3)セルの特性(放電容量 Wh=Ah×V)
  4.3.1 ラボデータから実用セルのシミュレーション
  4.3.2 電解質の耐電圧 CV測定例
  4.3.3 双極子セルの可能性
 4.4 全固体リチウムイオン電池の可能性(4)セルの製造(全固体による乾式工程への転換の期待)
 4.5 全固体リチウムイオン電池の可能性(5)安全性とコストダウンの想定
 4.6 全固体電池に関する各社の開発事例 2016-2018 日本
 4.7 第4章のまとめ
 4.8 追補 電気化学的な要件
第5章 電池原材料の試算と市場
   (EVなど需要拡大と電池原材料の試算と市場規模)

 5.1 EVの予測、電池総量とコスト推定
 5.2 電池総量GWh あたりの原材料の所要量試算
 5.3 試算の算定基礎と参考データ
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