【第1部】磁性材料の取り扱い 12:30~14:25
【講演の趣旨】
磁性や磁性材料は日常生活の“縁の下の力持ち”として目に見えない形で大活躍しています。磁性材料屋は「よく理解してもらって、正しく使えばコスト下げられるし,性能も出るだろうけど・・・」などと思うところもあるようですし、設計屋、回路屋にとってみれば、磁性材料はいわば“最後の隠し球”とも言われているようです。それなのに学生時代の講義の中でほんの少し紹介されただけで「難し過ぎて興味が・・・」、実験をやったけど、あまりに測定に時間がかかって「磁性材料っていうのは面倒な・・・」などの残念な声が時々聞えてきます。本講演では磁気工学の視点で基本から順を追って分かり易く解説しますので、是非とも磁性材料に親しんで下さい。
【プログラム】
1.磁気現象(マクロ視点から)
1.1 電荷と磁気モーメント
1.2 コイルと強磁性体の作る磁場
2.磁性の基礎(ミクロ視点から)
2.1 周期律表と電子状態
2.2 原子と磁気モーメント
2.3 磁性体の種類
3.強磁性の基礎
3.1 磁化過程と磁区構造
3.2 磁気異方性と磁歪
4.磁性材料の応用
4.1 軟磁性材料
4.2 硬磁性材料
4.3 その他の磁性材料
5.演習
簡単な事例について計算して理解を深めましょう。
【第2部】軟磁性・硬磁性材料の基礎知識と取り扱い 14:35~16:30
【講演の趣旨】
軟磁性・硬磁性材料は,古典的な磁性材料であり,大学での研究者なども減少する傾向にあります。しかしながら,それらが内蔵されているモータなどの電気機器(パワーエレクトロニクス分野での機器)の需要は,HVやEVなどの自動車用途を始めとして増加傾向にあります。「電気電子材料」に関する基本的な内容を含む教科書を開くと「半導体」を中心とした事項に多くのページがさかれており,「磁性材料」に関する内容は限られたページで説明されています。一方,「磁性材料」の専門書では,「言葉の定義」や「単位系」等をはじめとした難解な内容が盛りだくさん含まれ,これから「軟磁性材料・硬磁性材料」を学ぼうとする初学者にはハードルが高いように感じられます。
本セミナーでは,これまで「軟磁性材料・硬磁性材料」にあまり縁のなかった技術者に向けて,「基礎の基礎」からスタートし,最近の開発動向やその応用先まで,コンパクトに説明する事で,将来的に,より深く勉強する必要が出た際に,「磁性材料」に関する専門書を違和感なく読み進められるような内容で構成しております。
【プログラム】
1. はじめに
2. 軟磁性と硬磁性
3.軟磁性材料
3.1 軟磁性材料開発の基本的指針
3.2 代表的な軟磁性材料の理解(磁区構造,結晶磁気異方性)
3.3 軟磁性材料の高性能化とデバイス応用
4.硬磁性材料
4.1 硬磁性材料の性能の表現方法と性能を決定する要因
4.2 代表的な硬磁性材料の理解(磁壁ピニング型, ニュークリエーション型)
4.4 最近の永久磁石の高性能化と今後の展望
5.おわりに