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粉砕操作による微粉体の製造は、最も手軽な方法である反面、最もエネルギー効率の悪い操作といわれています。その上、さらなる微細化を目的としたナノサイズ粉体を得るための超微粉砕操作となるとなおさらです。これは、粉砕操作を固体の表面積の増加法としてだけ捉えているためですが、粉砕操作によって固体は実に様々な変化、すなわちメカノケミカル現象を生じているのです。
本セミナーでは、まず粉砕操作を理解するために必要な粉体工学の基礎を解説した後、実際の粉砕操作における様々な問題点を明らかにします。次いで、粉砕操作で生じる種々のメカノケミカル現象を解説するとともに、その効果的な利用法の一例を紹介します。さらに、これまで実験研究を行った超微粉砕操作への粉砕助剤の数多くの適用例を示し、わずかな添加で粉砕性が飛躍的に向上するという粉砕助剤を上手に利用することで、ナノサイズ粉体の製造が可能であることをわかりやすく講義します。
1.粉砕操作の基礎
1.1 粉体工学の基礎
○粉体って何? ○粉が小さくなると? ○粉体工学とは?
1.2 粉体の基礎物性
○粒子径 ○粒子径分布 比表面積
1.3 粉体の製造
○粉砕操作と粉砕速度論 ○粉砕機の種類
1.4 粉砕操作における諸問題
○粉砕機はたくさんある? ○使った粉砕機が違うと? ○粉砕エネルギーは? ○回分操作では? ○乾式粉砕と湿式粉砕
2.粉砕操作で生じる様々な現象
2.1 メカノケミストリー
2.2 種々のメカノケミカル現象
○固体構造の変化 熱の発生 ○摩擦ルミネッセンス ○ラジカルやイオンの生成
2.3 石英のメカノラジカル
○ESRによるメカノラジカル測定 ○メカノラジカルの安定性
2.4 粉砕操作を利用した複合材料の製造
○メカノケミカル重合反応とは? ○粉砕で重合が起こる?
○無機固体の粉砕によるメカノケミカル重合反応
○無機-有機・有機-有機複合材料 ○メカノケミカル共重合反応
○ポリマー系ナノコンポジット ○無機微粉体の表面改質
3.粉砕助剤を活用したナノサイズ粉体製造技術
3.1 粉砕助剤とは
○粉砕助剤の例 ○用いた粉砕試料と粉砕助剤
3.2 乾式粉砕における粉砕助剤の効果
○長石 ○石英 ○アルミナ ○トルマリン ○フリットガラス ○石灰石 ○粉砕助剤の添加方法
3.3 乾式粉砕における助剤分子の挙動
○粉砕産物の分析 ○粉体層への液体の浸透速度 ○粉砕時のモニタリング ○乾式粉砕助剤の作用メカニズム
3.4 湿式粉砕における粉砕助剤の効果
○湿式粉砕助剤として使われてきた代表的物質
○石灰石スラリの粉砕に対する無機リン酸塩
○石灰石スラリの粉砕に対するポリアクリル酸ナトリウム
3.5 水中での微粉体の挙動
○水中における微粉体表面 ○ゼータ電位 ○粉体の分散・凝集 ○湿式粉砕助剤の作用メカニズム
4.まとめ
□質疑応答・名刺交換□