高齢者による自動車事故・免許返納が社会問題となっている現在、急務となっているドライバーモニタ・アシスト技術にクローズアップ。運転中の危険認知能力・機能を判断する指標とは?若年者と高齢者の運転特性・危険認知・反応の違いとは?
高齢ドライバは,視覚や認知,運動機能などの人間特性と,運転時の判断や操作などの運転特性の個人差が大きいことが特徴である.よって,それらの特性の違いを考慮した運転支援が高齢ドライバには効果的であると考えられる.本講演では,高齢ドライバの人間・運転特性について,300名の高齢ドライバの追跡調査を元にした研究結果と,それに基づいたセンシングやアシストシステムの必要性と取り組み状況を論じる.
1.はじめに
1.1 日本および世界の高齢化状況
1.2 高齢ドライバの事故
1.3 加齢と運転移動量の関係
2.高齢ドライバの人間特性
2.1 視覚機能
2.2 認知機能
2.3 運動機能
3.高齢ドライバの運転特性
3.1 運転データ収集・解析
3.2 人間特性と運転特性の関係
4.高齢ドライバの人間・運転特性に基づいたセンシング・アシストシステム
4.1 視覚支援技術
4.2 体調不良対応技術
4.3 ドライバ・エージェント技術
4.4 人間・機械協調支援と自動運転システム
□質疑応答・名刺交換□
高齢ドライバーの運転事故の原因は不注意による発見の遅れ(69.5%),判断ミス(8.8%),操作ミス(5.5%)の順に多く,違反件数も安全不確認(30.9%),交差点安全進行(18.3%),前方不注意(10.8%)の順に多い.高齢ドライバーには能力低下の自覚のない軽度認知症者が30万人以上含まれるとされ,高齢ドライバーに対する事故防止への対策が急務となっている.開発中の模擬運転テストは手掌部発汗反応と皮膚電位反射を危険認知の指標として評価する.脳血流動態の変化を含め,これまでの研究成果を紹介する.
1.研究の背景
・ 警察庁方式CRT運転適性検査
・ 手掌部発汗現象とは
・ 手掌部発汗と皮膚電位反射(SPR)
・ 自動車運転認知行動評価装置
2.高齢者の模擬運転特性
・ 高齢者と若年者の応答比較
・ 高齢者のブレーキ操作
3.模擬運転時の視線動作と手掌部発汗反応
・ 視線動作と手掌部発汗・SPRの反応例
・ 危険場面と危険予測場面の視線動作
・ 危険場面での視線動作,デバイス操作,手掌部発汗,SPRの応答潜時
4.模擬運転と実車運転の比較
・ 手掌部発汗・SPRの平均波形比較
・ 実車運転を基準とする模擬運転時の発汗反応の相互相関
・ 模擬運転時と実車運転時の手掌部発汗比較
5.高齢者の模擬運転時の発汗反応と認知・注意機能との関連
・ 認知機能低下が疑われる高齢者の反応
・ 認知症高齢者の反応
6.模擬運転時の手掌部発汗と脳血流動態
・ 危険場面と危険予測場面の手掌部発汗と前頭前野脳血流の変化
7.危険場面と危険予測場面の手掌部発汗と脳血流動態
□質疑応答・名刺交換□
情報通信技術やセンサ技術の発達により,人が携帯・装着でき,かつ無線通信機能を備えたセンサデバイスが普及し始めています.本講演では,「人が持ち歩くセンサ」で日常生活行動を計測する人間行動センシング技術を,自動車ドライバーの運転行動を常時計測してリアルタイムに安全アドバイスを提供する安全運転支援システムや,高齢者安全運転講習への応用といった事例を交えながら紹介します.
1.安全・安心のための人間行動センシング技術
1.1 人間行動センシング技術とは
1.2 顕在的危険と潜在的危険
1.3 人間行動センシング技術に基づく潜在的危険の検出
2.アイカメラを用いた高齢ドライバーの運転特性分析
2.1 一般道における運転特性分析
2.2 高速道における運転特性分析
3.人間行動センシング技術を用いた運転技能評価システム
3.1 装着型センサによる視線行動の推測
3.2 人間行動センシング技術を用いた運転技能評価手法
3.3 職業ドライバー向け安全運転講習への応用
3.4 高齢者講習への応用
3.5 高齢者講習データから見る高齢ドライバーの特性
3.6 リアルタイム安全運転アドバイス提供システム
3.7 安全アドバイスの提供が高齢ドライバーの運転行動に与える影響
3.8 人間行動センシング技術と高齢ドライバー教育
□質疑応答・名刺交換□